科目別対策
行政書士の基礎知識対策|24点の足切りを、5問20点の土台で外さない
基礎知識は14問56点、そのうち24点を取れなければ、法令等が満点でも不合格になります。24点は14問中6問。5肢択一なので、勘だけで届く数字ではありません。ただし範囲を全部追う必要もありません。確実に取れる5問20点を土台にすれば、足切りは構造的に外れなくなります。
最終確認:2026年7月31日
01基礎知識24点は、他の得点で埋め合わせができない
行政書士試験の合格基準は3つあり、いずれも満たした者が合格になります。法令等科目の得点が122点以上、基礎知識科目の得点が24点以上、試験全体の得点が180点以上です。優先順位はなく、代替もききません。総得点が250点でも、基礎知識が20点なら不合格です。
この構造が、基礎知識を他の科目と決定的に違うものにしています。行政法や民法は、取りこぼした分を別の科目で埋め合わせられます。基礎知識だけは埋め合わせができません。56点しかない科目に、単独の合格条件が置かれているからです。
一方で、基礎知識に必要なのは満点ではありません。24点、つまり14問中6問です。ここを取り違えて、範囲を全部押さえようとすると、政治・経済・社会の時事に無限の時間が吸われます。基礎知識の対策は、範囲を広げることではなく、確実に取れる問題を数えることです。
この記事では、公表されている令和6年度と令和7年度の出題内訳から、どの問題が確実に取りにいけるのかを特定します。出題範囲と合格基準は行政書士試験研究センター(https://gyosei-shiken.or.jp/)、条文はe-Gov法令検索によります。
0224点は14問中6問。勘では届かない
基礎知識は5肢択一14問、1問4点で56点です。24点は6問正解に相当します。5肢択一なので、全問を当てずっぽうで塗った場合の期待値は14問の5分の1、2.8問です。運で足切りを越えることはできません。
そして6問ちょうどを狙う設計には、余裕がありません。マークミスが1問あれば20点で不合格です。難しい年に当たれば、想定していた1問が落ちます。現実的な最低目標は8問32点、余裕を持つなら9問36点です。
下の表は、正答数ごとの得点と足切りとの距離を並べたものです。8問取れれば8点の余裕が生まれ、法令等の負担も下がります。基礎知識で1問多く取ることは、法令等の5肢択一で1問多く取るのと同じ4点です。しかも基礎知識のほうが、条文で確認できる範囲が多いぶん取りやすい問題が混ざっています。
なお、行政書士試験研究センターは不合格者がどの基準で落ちたかの内訳を公表していません。基礎知識で落ちる人が何パーセント、という数字はどこにも存在しません。ここで示せるのは、制度上そうなるという構造だけです。
| 14問中の正答数 | 得点 | 足切り24点との距離 | この水準の意味 |
|---|---|---|---|
| 5問 | 20点 | 4点足りない | 総得点にかかわらず不合格になる |
| 6問 | 24点 | ちょうど基準を満たす | 1問の取りこぼしで不合格に転じる位置 |
| 7問 | 28点 | 4点の余裕 | マークミス1問分の保険にしかならない |
| 8問 | 32点 | 8点の余裕 | 現実的な最低目標として設定する水準 |
| 9問 | 36点 | 12点の余裕 | 法令等で必要な得点を確実に下げられる |
| 10問以上 | 40点以上 | 16点以上の余裕 | ここから先は法令科目に時間を回したほうがよい |
03令和6年度から出題範囲が変わった。古い教材は範囲が足りない
令和6年度試験から、この科目の名称と出題範囲が変わりました。従来の行政書士の業務に関連する一般知識等が、行政書士の業務に関し必要な基礎知識になり、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令が範囲に加わりました。行政書士試験研究センターの試験の概要に、令和6年度試験から適用と明記されています。
実務的に効くのは、行政書士法や戸籍法、住民基本台帳法が正面から出題対象になったことです。これらは条文が短く、答えが条文に書いてあるため、時事問題より確実に得点できます。基礎知識の中で最も投下時間あたりの回収率が高い領域が新設された、と考えてよい変更です。
逆に、令和5年度以前の教材だけを使っていると、この領域がまったく載っていません。基礎知識対策で最初に確認すべきは、手元の教材が令和6年度以降の範囲に対応しているかどうかです。表紙の対応年度ではなく、目次に行政書士法があるかどうかで判断してください。
問題数と配点、足切りの水準は変わっていません。14問56点、24点以上という条件は従来どおりです。変わったのは中身だけです。
| 比較項目 | 令和5年度まで | 令和6年度から |
|---|---|---|
| 科目名 | 行政書士の業務に関連する一般知識等 | 行政書士の業務に関し必要な基礎知識 |
| 出題範囲 | 政治・経済・社会/情報通信・個人情報保護/文章理解 | 一般知識/行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令/情報通信・個人情報保護/文章理解 |
| 問題数と配点 | 5肢択一14問56点 | 変更なし。5肢択一14問56点 |
| 合格基準 | この科目で24点以上 | 同じく24点以上 |
| 教材への影響 | 行政書士法や戸籍法は扱われていないことが多い | 行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法が明示的に対象に入った |
04令和6年度と令和7年度に、実際に何が出たか
行政書士試験研究センターは、令和2年度から令和7年度までの問題PDFを公開しています。このうち令和6年度と令和7年度が、新しい基礎知識としての出題です。下の表は、公開されている問47から問57の内容を並べたものです。
並べると構造が見えます。問47から問51か問52までが一般知識(政治・経済・社会)、続く2問が行政書士法等、そのあとが情報通信・個人情報保護、そして問58から問60が非掲載です。行政書士法等が2問という配分は、2年とも同じでした。
問58から問60は、全年度で著作権を理由にセンターのPDFから除かれています。出題範囲の4つのうち、公開されている問47から問57には一般知識・行政書士法等・情報通信・個人情報保護の3つが並んでいるため、残る文章理解がこの3問に対応すると考えられます。ただしセンターは問題番号と分野の対応を公表していないため、断定はできません。
もう一つ、6年分を通して確認できる特徴があります。問57は令和2年度から令和7年度まで、6年連続で個人情報保護に関する出題でした。個人情報の保護に関する法律、行政機関の個人情報保護制度、個人情報保護委員会といった形で毎年置かれています。ここは対策の優先度が高い1問です。
| 問題番号 | 令和6年度に出た内容 | 令和7年度に出た内容 | 分類 |
|---|---|---|---|
| 問47 | 政治 | 日本の住民投票 | 一般知識 |
| 問48 | 中東やパレスチナ | 日本の政党と政治 | 一般知識 |
| 問49 | 日本円の外国為替 | 日本の米価 | 一般知識 |
| 問50 | 日本における外国人 | 自由貿易体制と関税 | 一般知識 |
| 問51 | ジェンダー | 経済 | 一般知識 |
| 問52 | 行政書士法 | ジェンダーと平等 | 令和6年度は行政書士法等、令和7年度は一般知識 |
| 問53 | 住民基本台帳法に明示されている住民票の記載事項 | 行政書士法 | 行政書士法等 |
| 問54 | デジタル環境での情報流通 | 戸籍法 | 令和6年度は情報通信、令和7年度は行政書士法等 |
| 問55 | 欧米の情報通信法制 | ディープフェイク | 情報通信 |
| 問56 | デジタル庁 | インターネット上の投資詐欺 | 情報通信 |
| 問57 | 個人情報保護法 | 個人情報保護制度 | 個人情報保護(6年連続) |
| 問58から問60 | 著作権を理由にPDFから除かれている | 同じく除かれている | 文章理解と考えられる(センターは分野を公表していない) |
0524点の作り方:行政書士法等2問と文章理解3問で20点を先に確保する
基礎知識の対策は、どこから確実に積むかを決めるところから始めます。令和6年度と令和7年度の構成を前提にすると、行政書士法等が2問8点、文章理解が3問12点、合わせて5問20点です。足切り24点の8割を、この5問で確保できます。
この2領域を土台にする理由は、どちらも範囲が閉じているからです。行政書士法は条文が短く、戸籍法と住民基本台帳法も出題される範囲は限られています。文章理解は知識ではなく、本文に根拠を探す手順で解けます。どちらも時事の当たり外れに左右されません。
残りの4点は、個人情報保護の1問か、情報通信の1問で拾います。個人情報保護は問57に6年連続で置かれており、定義と義務が条文で確定しているため準備しやすい領域です。ここまでで6問24点に届きます。
そのうえで、一般知識の5問から6問のうち2問か3問が取れれば、8問から9問、32点から36点になります。つまり一般知識は、最初から補助として位置づけて構いません。下の表は、この積み方を整理したものです。
| 得点源 | 問題数と配点 | なぜ取りにいけるか | どこまでやるか |
|---|---|---|---|
| 行政書士法等(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法) | 2問8点 | 条文が短く、答えが条文に書いてある | 行政書士法は全条文、戸籍法と住民基本台帳法は制度の骨格まで |
| 文章理解 | 3問12点 | 本文に根拠がある。知識ではなく手順で解ける | 週2問の演習を最後まで継続する |
| 個人情報保護 | 1問4点 | 問57に6年連続で置かれ、定義と義務が条文で確定している | 定義、要配慮個人情報、第三者提供、開示請求、委員会の権限 |
| 情報通信 | 1問から3問4点から12点 | 用語の意味を1行で言えれば判定できる肢が多い | 毎年の新語は深追いせず、繰り返し出る用語を優先する |
| 一般知識(政治・経済・社会) | 5問から6問20点から24点 | 範囲が原理的に閉じない | 時間の上限を先に決め、2問から3問取れれば足りるとする |
| 土台の合計 | 行政書士法等2問と文章理解3問で20点 | この5問で足切り24点の8割を確保できる | 残る4点をどこで拾うかだけを設計する |
06行政書士法は、条文を1回読めば取れる。ただし条文番号が動いている
行政書士法は昭和26年法律第4号で、条文数も少なく、通読しても1時間かかりません。出題されるのは、業務の範囲、資格と登録、事務所、帳簿、義務、懲戒、業務の制限と名称の使用制限といった、条文にそのまま書いてある事項です。判例の蓄積を追う必要もありません。
覚えるべき数値も限られています。事務所は2以上設けてはならないこと、帳簿は関係書類とともに帳簿閉鎖の時から2年間保存すること、懲戒処分は戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3種類であること。依頼は正当な事由がある場合でなければ拒めないこと、秘密を守る義務は行政書士でなくなった後も続くことも頻出です。
ここで注意が必要なのは、条文番号が令和8年1月1日に動いていることです。行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号、令和7年6月13日公布)が令和8年1月1日に施行され、行政書士の責務に関する規定が1条の2として新設されました。その結果、従来1条の2にあった書類作成の業務が1条の3に、1条の3にあった審査請求の代理等が1条の4に、それぞれ繰り下がっています。
行政書士試験は、実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます。令和8年度試験は令和8年4月1日時点なので、この改正後の番号が前提になります。令和7年度以前の教材で1条の2は業務と覚えていると、番号が合いません。条文はe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004)で確認できます。
- —事務所は2以上設けてはならない
- —帳簿は関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から2年間保存する
- —依頼は、正当な事由がある場合でなければ拒むことができない
- —秘密を守る義務は、行政書士でなくなった後も続く
- —懲戒処分は、戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3種類
- —令和8年1月1日施行の改正で、1条の2が責務、1条の3が書類作成の業務に変わった
07戸籍法と住民基本台帳法は、期限と記載事項だけで1問取れる
戸籍法と住民基本台帳法は、条文数こそ多いものの、出題されるのは制度の骨格に限られます。令和7年度の問54が戸籍法、令和6年度の問53が住民基本台帳法に明示されている住民票の記載事項でした。どちらも条文を確認すれば答えが確定する形です。
戸籍法で押さえるのは、届出の期限です。出生の届出は14日以内(国外での出生は3か月以内)、死亡の届出は届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡はその事実を知った日から3か月以内)です。起算点が出生は出生の日から、死亡は事実を知った日からと異なる点が、そのまま引っかけになります。
住民基本台帳法で押さえるのは、届出の期限と住民票の記載事項です。転入届と転居届は14日以内、転出届はあらかじめ行います。転出だけが事前である点が頻出です。記載事項は氏名、出生の年月日、男女の別、世帯主との続柄、戸籍の表示、住民となった年月日、住所などが並びます。
ここでも法改正の確認が必要です。住民票の記載事項には氏名の振り仮名が加わり、戸籍の記載事項にも氏名の振り仮名が入りました。令和6年度の問53が住民票の記載事項を問うている以上、この項目が令和8年度の出題対象に入ることは押さえておくべきです。条文はe-Gov法令検索の戸籍法(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224)と住民基本台帳法(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000081)で確認できます。
| 届出 | 期限 | 起算点 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|---|
| 出生の届出(戸籍法) | 14日以内 | 出生の日から | 国外での出生は3か月以内 |
| 死亡の届出(戸籍法) | 7日以内 | 届出義務者が死亡の事実を知った日から | 起算点が出生届と違う。国外での死亡は3か月以内 |
| 転入届(住民基本台帳法) | 14日以内 | 転入をした日から | 出生による場合は転入に含まれない |
| 転居届(住民基本台帳法) | 14日以内 | 転居をした日から | 同一市町村内での住所変更が転居 |
| 転出届(住民基本台帳法) | あらかじめ | 転出前 | これだけが事前の届出になる |
08個人情報保護は、問57に6年連続で置かれている
問57は令和2年度から令和7年度まで、6年連続で個人情報保護に関する出題です。行政書士試験研究センターは問題番号と分野の対応を公表していないため、これが今後も続く保証はありません。それでも、6年間同じ位置に置かれている領域を落とすのは、対策として不利です。
押さえるべきは、まず定義です。個人情報は生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの、または個人識別符号が含まれるものです。生存するという要件と、他の情報と容易に照合できることで識別可能になる場合を含む点が、引っかけによく使われます。
次に、要配慮個人情報の取得には原則として本人の同意が必要であること、第三者提供にも原則として本人の同意が必要でオプトアウトの手続が例外として置かれていること、保有個人データについて本人が開示、訂正、利用停止を請求できることを押さえます。
監督機関である個人情報保護委員会の権限も頻出です。令和7年度は問12(行政法の枠)と問57の両方で個人情報保護委員会が問われました。報告徴収、立入検査、指導助言、勧告、命令という権限の段階を整理しておくと、両方に対応できます。条文はe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)で確認できます。
09情報公開法と公文書管理法は、行政法の枠でも出る
情報公開と公文書管理は、基礎知識の枠だけでなく行政法の問25から問26の枠でも出題されます。令和7年度は問26が行政機関情報公開法、令和6年度は問26が公文書管理法でした。つまり1回の学習が2つの枠に効きます。
行政機関情報公開法で押さえるのは、開示請求権者が何人もであること、対象が行政文書であること、不開示情報の類型、部分開示、公益上の理由による裁量的開示、そして存否を明らかにしないで請求を拒否できる場合です。開示決定等は請求があった日から30日以内が原則で、正当な理由があるときは延長できます。
公文書管理法は、行政文書の作成、整理、保存、行政文書ファイル管理簿、国立公文書館等への移管または廃棄という流れを押さえます。情報公開法が請求に応じて出す仕組みであるのに対し、公文書管理法は作って残す仕組みであるという役割の違いを理解しておくと、混同しません。
当サイトでは /topics/information-disclosure に、この2つの法律の判断順序と根拠条文を整理してあります。条文はe-Gov法令検索の行政機関情報公開法(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042)と公文書管理法(https://laws.e-gov.go.jp/law/421AC0000000066)で読めます。
10情報通信は、用語の意味を1行で言えれば足りる
情報通信の分野は、毎年1問から3問が出ます。令和6年度はデジタル環境での情報流通、欧米の情報通信法制、デジタル庁、令和7年度はディープフェイク、インターネット上の投資詐欺が出題されました。新しい言葉が並ぶため身構えがちですが、問われているのは用語の意味の水準です。
したがって対策は、用語を1行で説明できる状態にすることに尽きます。深く掘っても、選択肢の判定に必要な情報量は増えません。逆に、まったく聞いたことのない語が出ると、5肢のうち2肢が判定できなくなります。広く浅く、が正しい方針になる数少ない領域です。
優先度が高いのは、法制度に紐づく用語です。デジタル庁の設置、マイナンバーとマイナンバーカード、電子署名、プロバイダ責任制限法から改正された情報流通プラットフォーム対処法など、条文や制度の裏づけがあるものは出題が安定します。純粋な技術用語より、こちらを先に固めてください。
時事寄りの新語は、直前1か月に1回まとめて確認する程度で十分です。ここに毎週時間を割いても、投下時間と得点が比例しません。基礎知識で時間の上限を決めるべき領域は、この情報通信の新語と、次に述べる政治・経済・社会の2つです。
11文章理解3問12点は、知識ではなく手順で取る
文章理解は3問12点で、基礎知識の中で最も安定して得点できる領域です。知識を必要とせず、本文の中に必ず根拠があるからです。にもかかわらず後回しにされやすいのは、演習に時間がかかり、伸びている実感が出にくいためです。
出題される形式は、空欄補充、文章の並べ替え、内容合致の3つです。それぞれ解く手順が違います。空欄補充は接続語と指示語から前後の論理関係を確定させ、並べ替えは指示語と接続語が指す先を追って順序を復元し、内容合致は選択肢の記述と同じ主張が本文にあるかを照合します。
共通するのは、常識として正しそうかで判断しないことです。本文に書いていないことは、たとえ一般論として正しくても正解になりません。逆に、本文に書いてあれば、自分の考えと違っても正解です。この切り替えが、文章理解の得点を分けます。
演習は週2問を最後まで続けてください。1回に5問まとめて解くより、間隔を空けて続けるほうが手順が定着します。当サイトの /topics/reading-comprehension に3形式それぞれの判断順序を整理してあります。なお、センターは著作権を理由に問58から問60をPDFから除いているため、本試験の文章理解そのものは市販の問題集で補う必要があります。
| 形式 | 問われること | 解く手順 | やってはいけないこと |
|---|---|---|---|
| 空欄補充 | 空欄の前後をつなぐ語句や文 | 空欄の直前と直後の論理関係を確定し、接続語の種類から候補を絞る | 意味が通るという理由だけで選ぶ |
| 文章の並べ替え | 段落や文の正しい順序 | 指示語と接続語が指す先を追い、必ず先に来る文を固定してから残りを並べる | 冒頭から順に読んで、それらしい流れを作る |
| 内容合致 | 本文の主張と選択肢の一致 | 選択肢の主張を1文に要約し、同じ主張が本文のどこにあるかを探す | 一般論として正しいかどうかで判断する |
12政治・経済・社会は、範囲が閉じない。時間の上限を先に決める
一般知識(政治・経済・社会)は、令和6年度が問47から問51の5問、令和7年度が問47から問52の6問でした。配点にすれば20点から24点で、基礎知識の中では最大です。それでも、ここに最も時間をかけるべきではありません。
理由は、範囲が原理的に閉じないからです。令和7年度は住民投票、政党と政治、米価、自由貿易体制と関税、経済、ジェンダーと平等が出ました。令和6年度は政治、中東やパレスチナ、外国為替、外国人、ジェンダーです。国際情勢から農政まで、あらかじめ範囲を確定できません。
そこで、時間の上限を先に決めます。週に30分、直前1か月は週に1時間まで、といった形です。上限の中でやることは、繰り返し出るテーマの基礎知識を固めることに限定します。6年分を見ると、選挙と政治制度、財政と経済の基本、社会保障、平等と差別に関するテーマは頻度が高い領域です。
当サイトでは、この領域を /topics/election-and-politics と /topics/fiscal-and-social-security の2論点に整理してあります。時事の細部ではなく、制度の基本と、そこから判断できる範囲に絞ってあります。5問から6問のうち2問から3問が取れれば設計どおりです。
13週2回30分の固定枠で回す
基礎知識が直前期の詰め込みになるのは、週の予定に枠がないからです。行政法や民法の学習の合間に余った時間でやろうとすると、必ず余りません。週2回、30分ずつを先に確保してください。合計1時間で、週25時間の学習なら4%です。
枠の中身は3つの箱に分けます。第1の箱が条文で確認できる領域(行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、個人情報保護法、情報公開法)、第2の箱が文章理解、第3の箱が時事寄りの領域(一般知識と情報通信の新語)です。この順番が優先度です。
回し方は単純で、学習の前半では第1の箱を集中的に潰します。条文で確認できる領域は、一度固めれば維持コストが低いからです。中盤から第2の箱の演習を毎週入れ、第3の箱は直前1か月に寄せます。時事は早くやっても、試験までに情報が更新されます。
下の表は、この配分を学習期間の段階ごとに整理したものです。週2回という頻度は変えず、中身だけを入れ替える設計にすると、忙しい週でも枠が消えません。
| 学習の段階 | 1回目の30分 | 2回目の30分 | この段階の到達目標 |
|---|---|---|---|
| 開始から2か月 | 行政書士法の条文を通しで読む | 戸籍法と住民基本台帳法の期限と記載事項 | 行政書士法等2問8点を取りにいける状態になる |
| 中盤 | 個人情報保護法の定義と義務 | 文章理解を1問解く | 個人情報保護の1問を加え、3問12点まで積む |
| 終盤 | 情報公開法と公文書管理法 | 文章理解を2問解く | 文章理解を含めて5問20点の土台が固まる |
| 直前1か月 | 情報通信の用語を1行で確認する | 一般知識の頻出テーマを確認する | 8問32点から9問36点の見込みを作る |
| 直前1週間 | 行政書士法等の数値の最終確認 | 文章理解を1問だけ解いて手順を維持する | 新しい情報を入れず、手順と数値を保つ |
14足切りに触れると、記述式が採点されない可能性がある
基礎知識を軽視できないもう一つの理由が、試験案内に書かれています。択一式問題の採点を完了した段階で合格基準を満たしていないと認められる場合には、記述式問題の採点を行わないことがある、という趣旨の記載です。
つまり、基礎知識が24点に届かなかった答案は、記述式60点が採点されないまま処理される可能性があります。記述式で挽回するという発想が、制度上そもそも成り立たない場面があるということです。基礎知識は、他の得点で埋め合わせられないだけでなく、埋め合わせの機会そのものが失われ得る科目です。
この点は、当日の時間配分にも影響します。基礎知識は問47から問60に置かれているため、問1から順に解くと最後になります。時間が足りなくなったときに削られるのが基礎知識だとすれば、削った瞬間に足切りのリスクが跳ね上がります。基礎知識を先に処理する解答順を検討する理由がここにあります。
とくに文章理解3問は、1問あたりの所要時間が長い領域です。疲労した状態で長文を読むと、正答率も速度も落ちます。3時間の中でどこに置くかを、模試や通し演習で1回試しておいてください。
15このサイトの基礎知識まわりの道具
当サイトには、基礎知識の○×一問一答が80問あります。重要度Sが12問、Aが32問、Bが24問、Cが12問という内訳です。論点の整理は7本、暗記表は79項目です。いずれも登録なしで使えます。
論点の7本は、行政書士法、戸籍法と住民基本台帳法、個人情報保護法と情報セキュリティ、情報公開法と公文書管理法、選挙制度と政治・国際関係、財政・経済と社会保障、文章理解です。この構成は、令和6年度と令和7年度の実際の出題内訳とそのまま対応しています。
使い方の順序は、条文で確認できる領域から入ることです。/topics/gyoseishoshi-law で行政書士法の判断順序を確認し、/drill で科目を基礎知識に絞って一問一答を回します。数値が混ざるようになったら /memory/basic-knowledge の79項目に戻ります。
過去問については、センターが令和2年度から令和7年度までの問題PDFを公開しています。基礎知識の範囲では問47から問57が読めます。当サイトは掲載の許諾を得ていないため、過去問の本文は載せていません。文章理解の本試験問題は、著作権を理由にセンター自身がPDFから除いているため、市販の問題集で補ってください。
| やりたいこと | 使うもの | URL | 備考 |
|---|---|---|---|
| 行政書士法の全体像をつかむ | 論点整理 | /topics/gyoseishoshi-law | 業務・登録・懲戒を判断順序で整理してある |
| 戸籍法と住民基本台帳法を確認する | 論点整理 | /topics/family-and-resident-register | 届出の期限と記載事項が中心 |
| 個人情報保護の1問に備える | 論点整理 | /topics/personal-information | 問57に6年連続で置かれている領域 |
| 文章理解の手順を固める | 論点整理 | /topics/reading-comprehension | 空欄補充・並べ替え・内容合致の3形式 |
| 1肢単位で判定力をつける | 基礎知識の一問一答80問 | /drill | 科目を基礎知識に絞り、重要度Sの12問から回す |
| 数値と用語を固める | 基礎知識の暗記表79項目 | /memory/basic-knowledge | 期限と記載事項をまとめて確認できる |
よくある質問
基礎知識の足切りは何点ですか。+
24点です。基礎知識は5肢択一14問、1問4点で満点56点なので、24点は6問正解に相当します。法令等122点以上、総得点180点以上と並ぶ独立した合格条件で、1つでも欠ければ不合格です。総得点が250点でも基礎知識が20点なら不合格になります。5肢択一なので全問を勘で塗った場合の期待値は2.8問であり、運では届きません。現実的な最低目標は8問32点です。
基礎知識は直前期の詰め込みで間に合いますか。+
おすすめしません。理由は2つあります。1つは範囲が広く、一般知識と情報通信は原理的に閉じないため、短期間で網羅できないこと。もう1つは、確実に得点できる行政書士法等と文章理解が、どちらも積み上げに時間がかかる領域であることです。文章理解は解く手順の定着に反復が必要で、1週間では固まりません。週2回30分ずつの固定枠を学習開始時から確保するほうが、総時間は少なくて済みます。
令和6年度から出題範囲はどう変わりましたか。+
科目名が行政書士の業務に関連する一般知識等から、行政書士の業務に関し必要な基礎知識に変わり、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令が範囲に加わりました。行政書士試験研究センターの試験の概要に、令和6年度試験から適用と記載されています。実際に令和6年度は問52で行政書士法、問53で住民基本台帳法、令和7年度は問53で行政書士法、問54で戸籍法が出題されました。問題数14問と配点56点、24点という足切りの水準は変わっていません。
行政書士法はどこまで覚えればよいですか。+
条文数が少ないため、全条文を1回読んでおく価値があります。頻出は、事務所を2以上設けてはならないこと、帳簿を関係書類とともに帳簿閉鎖の時から2年間保存すること、依頼は正当な事由がある場合でなければ拒めないこと、秘密を守る義務が行政書士でなくなった後も続くこと、懲戒処分が戒告・2年以内の業務の停止・業務の禁止の3種類であることです。なお令和8年1月1日施行の改正で条文番号が動き、1条の2が責務、1条の3が書類作成の業務になりました。試験は実施年度の4月1日現在施行の法令から出題されるため、令和8年度は改正後の番号が前提になります。
文章理解はどう対策すればよいですか。+
3問12点で、基礎知識の中で最も安定して得点できる領域です。出題形式は空欄補充、文章の並べ替え、内容合致の3つで、それぞれ手順が違います。共通するのは、常識として正しそうかで判断せず、本文に同じ主張があるかだけで判断することです。演習は週2問を最後まで続けてください。なお本試験の文章理解は、課題文の著作権を理由に行政書士試験研究センター自身がPDFから除いているため、公式サイトでは解けません。市販の問題集で補う必要があります。
政治・経済・社会の時事はどこまで追うべきですか。+
時間の上限を先に決めて、その範囲でだけ追ってください。令和6年度は5問、令和7年度は6問が一般知識でしたが、内容は国際情勢から農政まで広く、あらかじめ範囲を確定できません。目安は週30分、直前1か月でも週1時間までです。優先するのは、選挙と政治制度、財政と経済の基本、社会保障、平等と差別といった繰り返し出るテーマの制度的な基礎です。5問から6問のうち2問から3問取れれば、行政書士法等と文章理解と個人情報保護を合わせて8問から9問に届きます。