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行政書士試験の難易度と合格率|過去10年の推移と3つの合格基準を数字で読む

令和7年度の行政書士試験は、受験者50,163人に対して合格者7,292人、合格率14.54%でした。この数字だけを見ると「7人に1人しか受からない試験」に見えます。しかし行政書士試験には、上位何人までを合格させるという定めがありません。法令等122点以上、基礎知識24点以上、総得点180点以上という3つの基準をすべて満たせば、その年に何人いても全員が合格します。

最終確認:2026年7月31日

01行政書士試験の難易度は、合格率ではなく基準点との距離で決まる

令和7年度の行政書士試験は、受験者50,163人に対して合格者7,292人、合格率14.54%でした。この数字だけを見ると「7人に1人しか受からない試験」に見えます。しかし行政書士試験には、上位何人までを合格させるという定めがありません。法令等122点以上、基礎知識24点以上、総得点180点以上という3つの基準をすべて満たせば、その年に何人いても全員が合格します。

つまり合格率14.54%は、試験の難易度そのものではなく「その年の問題で、50,163人のうち何人が180点に届いたか」という結果です。競争相手の出来は自分の合否に影響しません。難易度を考えるときに見るべきなのは、他人との順位ではなく、自分の得点と180点との距離です。

もう一つ、公表資料から読み取れる重要な数字があります。令和7年度の合格者平均得点は197点でした(前年度は198点)。合格ラインは180点ですが、実際に受かった人の平均はそこから17点上にあります。180点ちょうどを目標に置くと、合格者集団の中では下位を狙う計画になります。

この記事では、行政書士試験研究センターが公表している一次資料の数字だけを使って、難易度を分解します。合格率が動く仕組み、3つの基準のどこで落ちるのか、他資格と比べたときの位置、そして年齢層別の実績までを順に見ていきます。

02過去10年の受験者数・合格者数・合格率の推移

年度受験申込者数受験者数合格者数合格率
令和7年度63,845人50,163人7,292人14.54%
令和6年度59,832人47,785人6,165人12.90%
令和5年度59,460人46,991人6,571人13.98%
令和4年度60,479人47,850人5,802人12.13%
令和3年度61,869人47,870人5,353人11.18%
令和2年度54,847人41,681人4,470人10.72%
令和元年度52,386人39,821人4,571人11.48%
平成30年度50,926人39,105人4,968人12.70%
平成29年度52,214人40,449人6,360人15.72%
平成28年度53,456人41,053人4,084人9.95%
10年通算569,314人442,768人55,636人12.57%

03行政書士試験の合格率はなぜ年によって10%台前半から15%台まで動くのか

10年間の合格率は、最も低い平成28年度の9.95%から、最も高い平成29年度の15.72%まで、5.77ポイントの幅で動いています。しかも平成28年度と平成29年度は連続した年です。受験者数はどちらも4万人台前半でほぼ変わりません。1年で合格者が4,084人から6,360人へ、2,276人増えました。

この変動が起きる理由は制度にあります。行政書士試験は相対評価ではなく絶対評価です。合格基準点は試験前に公示され、その基準を満たした人が全員合格します。上位10%を合格させるという運用ではないため、問題が易しければ合格率は上がり、難しければ下がります。合格率は事後的に確定する結果であって、事前に設定された目標値ではありません。

実際、行政書士試験研究センターの試験案内は合格基準を「法令等科目の得点が満点の50パーセント以上」「基礎知識科目の得点が満点の40パーセント以上」「試験全体の得点が満点の60パーセント以上」と割合で示しています。300点満点なので、順に122点・24点・180点です。この割合は毎年同じで、受験者の出来によって動かす仕組みにはなっていません。

ただし、まったく調整の余地がないわけではありません。試験案内には「合格基準については、試験問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることがあります」という注記があります。この規定が存在すること自体は公表されています。もっとも、公表されている過去の合否判定基準を確認できた年度では、いずれも122点・24点・180点のまま運用されています。

受験者にとっての意味は単純です。前年の合格率が低かったから今年は上がる、という予測は成り立ちません。合格率を予想するより、180点との距離を縮めるほうが直接的です。

04合格基準点は動いていない(公表資料で確認できた年度)

年度法令等科目基礎知識(一般知識等)科目試験全体
令和7年度122点以上24点以上180点以上
令和6年度122点以上24点以上180点以上
令和5年度122点以上24点以上180点以上
令和3年度122点以上24点以上180点以上
令和元年度122点以上24点以上180点以上
平成30年度122点以上24点以上180点以上

053つの合格基準は、どれか1つでも欠ければ不合格になる

行政書士試験の合格基準は3つあり、これらは「いずれも満たした者」を合格とする条件です。優先順位はなく、代替もききません。総得点が250点でも、基礎知識が20点なら不合格です。法令等が満点の244点でも、基礎知識が23点なら不合格です。

この構造が、行政書士試験の難易度を実質的に押し上げています。300点満点で180点は6割です。6割と聞くと余裕があるように感じますが、その6割の内訳に制約がかかっています。法令等244点のうち122点(50%)、基礎知識56点のうち24点(40%)を、それぞれ独立に確保しなければなりません。

基礎知識の24点は、5肢択一14問のうち6問正解に相当します。5肢択一なので、全問を当てずっぽうで塗った場合の期待値は14問中2.8問です。6問は運では届きません。しかも基礎知識の出題範囲は、一般知識、行政書士法など行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解と広く、法令科目の勉強では埋まらない領域です。

もう一つ、実務的に効いてくる公表事項があります。試験案内には「択一式問題の採点を完了した段階で合格基準を満たしていないと認められる場合には、記述式問題の採点を行わないことがあります」と書かれています。基礎知識が24点に届かなかった答案は、記述式の60点が採点されないまま不合格になる可能性があるということです。

0660問300点の配点内訳(令和7年度本試験の実際の構成)

科目5肢択一式多肢選択式記述式満点全体に占める割合
行政法(情報公開・個人情報保護を含む)19問76点2問16点1問20点112点37.3%
民法9問36点2問40点76点25.3%
基礎知識14問56点56点18.7%
憲法5問20点1問8点28点9.3%
商法・会社法5問20点20点6.7%
基礎法学2問8点8点2.7%
合計54問216点3問24点3問60点300点100%

07どの基準で落ちる人が多いのかを、配点から逆算する

行政書士試験研究センターは、不合格者がどの基準で落ちたかという内訳を公表していません。したがって「基礎知識で落ちる人が何%」という数字は、どこにも存在しません。それを断定的に書いている記事があれば、根拠のない数字です。ただし、配点構造から言えることはあります。

まず、法令等122点だけで落ちるケースは、理屈のうえで少なくなります。総得点180点に届く人は、基礎知識が満点の56点だとしても法令等で124点を取っていることになり、122点の基準を自動的に超えるからです。法令等の基準は、総得点180点を達成する過程でほぼ同時に満たされます。

実質的な関門は、基礎知識24点と総得点180点の2つです。そしてこの2つは連動します。基礎知識で取れなかった分は、そのまま法令等で必要になる点数に跳ね返ります。基礎知識を「足切りさえ回避できればいい」と割り切ると、法令等で244点中156点、つまり64%を取る必要が出てきます。

下の表は、基礎知識の得点ごとに、総得点180点に到達するために法令等で必要な点数を計算したものです。基礎知識を4問多く取れるだけで、法令等の要求水準が16点下がることがわかります。基礎知識の切り捨ては、法令科目の難易度を自分で上げる選択です。

08基礎知識の得点別・法令等で必要になる点数

基礎知識の得点(14問中の正答数)総得点180点に必要な法令等の得点法令等244点中の割合5肢択一40問だけで賄う場合の正答数
24点(6問・足切りぎりぎり)156点63.9%39問(ほぼ全問)
32点(8問)148点60.7%37問
40点(10問)140点57.4%35問
48点(12問)132点54.1%33問
56点(14問・満点)124点50.8%31問

09行政書士試験の難易度を押し上げている5つの要因

  • 記述式60点が、択一とは別の能力を要求する。40字程度で書く問題が3問(行政法1問・民法2問)出題され、配点は全体の20%を占めます。択一だけで180点に届く人は限られるため、多くの受験者は記述式で20〜40点を上乗せする前提で計画を立てることになります。採点基準は公表されず、自己採点で確定しない領域が60点分残ります。
  • 基礎知識に足切りがある。14問中6問(24点)に届かなければ、法令等が何点でも不合格です。出題範囲は一般知識・行政書士法等・情報通信・個人情報保護・文章理解で、法令科目の学習では自動的には埋まりません。範囲が広いうえに、投下時間と得点が比例しにくい領域です。
  • 配点が行政法と民法に集中している。この2科目だけで188点、全体の62.7%です。裏を返すと、商法・会社法(20点)や基礎法学(8点)に時間を配りすぎると、総得点への効き方が極端に悪くなります。時間配分を間違えると、勉強量に対して点が伸びません。
  • 5肢択一が1語の違いで正誤を分ける。審査請求の相手方を処分庁と最上級行政庁で入れ替える、取消訴訟の出訴期間を6か月と1年で入れ替える、執行停止の要件を重大な損害と償うことのできない損害で入れ替える、といった作り方が中心です。読んだことがある程度の理解では、2択まで絞ったところで止まります。
  • 3時間で60問を処理する必要がある。記述式3問に30分、多肢選択式3問に15分を割くと、残り135分で5肢択一54問、1問あたり2分30秒です。個々の知識があっても、判断が遅ければ時間切れで失点します。難易度は知識量だけでなく処理速度にも及びます。

10他の国家資格と比べたときの行政書士試験の位置

合格率だけで資格の難易度を並べると、実態からずれます。受験者層が違い、足切りの構造が違い、試験に到達するまでの前提条件も違うからです。それでも比較には意味があります。どの試験を目指すか決めるとき、必要な学習量のスケールを把握しておく必要があるからです。

下の表は、いずれも令和7年度(社会保険労務士は第57回)の公表資料から取った実績です。学習時間の目安だけは公的統計ではなく、各予備校や受験指導機関が示している一般的な数字を参考値として並べています。この列は根拠の質が他の列と異なる点に注意してください。

表を見ると、行政書士は合格率だけなら宅地建物取引士に近く、社会保険労務士や司法書士より高い位置にあります。一方で学習時間の目安は宅建の約2倍です。この差を生んでいるのは、記述式の存在と、扱う法令の数です。宅建は50問すべて4肢択一で足切りがなく、行政書士は5肢択一・多肢選択・記述の3形式に加えて2つの足切りがあります。

中小企業診断士は1次試験と2次試験の2段階で、2次には筆記と口述があります。行政書士のように1日で完結する試験とは構造が異なるため、単年の合格率を横に並べても比較になりません。同じ理由で、司法書士も筆記と口述の2段階です。合格率の数値そのものより、足切りの本数と出題形式の数を見るほうが、必要な準備量の見当がつきます。

11主要国家資格の令和7年度実施結果

資格受験者数合格者数合格率足切り(基準点)の構造学習時間の目安
宅地建物取引士(令和7年度)245,462人45,821人18.7%なし(総得点のみ・50問中33点)300〜400時間
行政書士(令和7年度)50,163人7,292人14.54%2つ(法令等122点・基礎知識24点)600〜1,000時間
社会保険労務士(第57回・令和7年度)43,421人2,376人5.5%選択式・択一式それぞれに総得点と科目別の基準点800〜1,000時間
司法書士(令和7年度)14,418人751人5.21%3つ(午前択一78点・午後択一72点・記述70点)3,000時間前後

12年齢層別に見た令和7年度の合格率

年齢層受験者数合格者数合格率
10歳代以下723人66人9.13%
20歳代8,294人1,517人18.29%
30歳代9,907人1,923人19.41%
40歳代12,161人1,867人15.35%
50歳代12,330人1,445人11.72%
60歳代以上6,748人474人7.02%
全体50,163人7,292人14.54%

13受かりやすい人・落ちやすい人の分かれ目

年齢層別の合格率は30歳代の19.41%が最も高く、60歳代以上の7.02%が最も低くなっています。ただし、これを「年齢が合否を決める」と読むのは早計です。センターは受験回数や学習歴を公表していないため、この差がどこから来ているのかは資料からは特定できません。学習時間の確保しやすさ、受験回数、仕事で法令に触れる頻度など、複数の要因が混ざった結果の数字です。

資料から確実に言えることは別のところにあります。10年通算で、受験申込者569,314人に対して実際に受験したのは442,768人でした。受験率は77.77%です。申し込んだ人の約22%は、試験当日に会場へ来ていません。合格率14.54%という数字は、そこまで残った人の中での比率です。まず受験する、という段階で2割が脱落しています。

配点構造から見て、得点が伸びにくいのは次のような進め方です。テキストを何周も読むが問題を解く時間が全体の半分に届かない。配点20点の商法・会社法と8点の基礎法学に、行政法と同じ時間をかける。基礎知識を直前に詰め込むと決めて、文章理解の演習を一度もしないまま本番を迎える。記述式を「択一が固まってから」と後回しにして、9月まで一度も40字を書かない。

逆に、得点が積み上がりやすいのは、配点の大きい順に時間を配り、基礎知識を最初の月から週次で回し、誤答を「知識が抜けていた」「問題文を読み違えた」「似た制度と比較していなかった」に分けて処理する進め方です。行政書士試験は誤りの型が決まっています。主体のすり替え、期間の改変、要件の追加、原則と例外の逆転。この型を知ったうえで問題文を読むかどうかで、同じ知識量でも正答率が変わります。

14受験資格はなく、誰でも受けられる

行政書士試験研究センターは、受験資格について「年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます」と明記しています。法学部を出ている必要も、実務経験も、他の資格も要りません。この点は司法書士や宅地建物取引士と同じで、社会保険労務士のように学歴・実務経験・資格のいずれかを要求する試験とは異なります。

令和7年度の実績では、受験申込者の最年長は94歳、最年少は9歳でした。合格者の最年長は77歳、最年少は13歳です。受験者50,163人のうち男性が33,313人(合格率15.31%)、女性が16,850人(合格率13.01%)でした。

令和8年度の試験は、令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時までです。行政書士試験は毎年11月の第2日曜日に実施されます。受験手数料は10,400円で、地震や台風等により試験が実施されなかった場合などを除き返還されません。申込みはインターネットが令和8年7月21日から8月24日午後5時まで、郵送が7月21日から8月17日消印有効です。合格発表は令和9年1月27日(水)です。

出題の基準日にも注意が必要です。法令は「試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令」から出題されます。令和8年度試験なら令和8年4月1日時点です。4月2日以降に施行された改正を先取りして覚えると、本試験では逆に誤りになります。

15難易度の情報を、明日の1時間に変える

ここまでの数字をまとめると、行政書士試験の難易度は次の形で表せます。300点満点で180点、ただし基礎知識56点のうち24点を独立に確保すること。配点の62.7%が行政法と民法に集中していること。60点分の記述式は自己採点で確定しないこと。3時間で60問を処理すること。合格者の平均得点は197点であること。

この5つから導ける行動は具体的です。目標は180点ではなく195点前後に置く。学習時間の配分は配点比率に従い、行政法と民法を最優先にする。基礎知識は初月から週次で回して、直前期の詰め込み対象から外す。記述式は9月からではなく、択一の学習中に「正解の肢を見ずに要件と効果を口で言う」練習として混ぜておく。

難易度を測るのに他人の合格体験記は要りません。必要なのは、自分が今どの論点を説明できて、どの論点で2択に迷うかという情報です。このサイトでは、行政法・民法・憲法・商法・基礎法学・基礎知識をカバーする620問の一問一答と、60論点の整理を登録不要で公開しています。誤答は端末内に記録され、科目別の到達率として見えるようにしてあります。

合格率14.54%は、あなたの合否を予測する数字ではありません。予測に使えるのは、直近1週間で解いた問題のうち、理由まで説明して正解できた割合です。難易度の記事を読み終えたら、次にやることは1問目を解くことです。

よくある質問

行政書士試験の合格率は何%ですか。

令和7年度は14.54%でした。受験者50,163人に対して合格者7,292人です。行政書士試験研究センターが公表している過去10年の推移では、最低が平成28年度の9.95%、最高が平成29年度の15.72%です。10年間の受験者442,768人・合格者55,636人から計算すると、通算の合格率は12.57%になります。

合格率が年によって大きく変わるのはなぜですか。

行政書士試験が絶対評価だからです。上位何%を合格させるという定めはなく、法令等122点以上・基礎知識24点以上・総得点180点以上という固定の基準を満たせば全員が合格します。基準が動かないので、その年の問題の難易度と受験者の実力分布がそのまま合格率に出ます。前年が低かったから今年は上がる、という予測は成り立ちません。

何点取れば合格できますか。

法令等科目122点以上、基礎知識科目24点以上、試験全体180点以上の3つをすべて満たす必要があります。1つでも欠ければ他が高得点でも不合格です。ただし令和7年度の合格者平均得点は197点でした。180点ちょうどを目標にすると合格者集団の下位を狙う計画になるため、記述式の採点が自己採点で確定しないことも踏まえると、190点台を目標に置くほうが安全です。

行政書士と宅建はどちらが難しいですか。

令和7年度の合格率は宅地建物取引士が18.7%、行政書士が14.54%です。ただし差は合格率よりも試験構造にあります。宅建は50問すべて4肢択一で足切りがなく、総得点だけで判定されます。行政書士は5肢択一・多肢選択式・記述式の3形式があり、法令等と基礎知識に2つの足切りがあります。学習時間の目安も、一般に宅建の約2倍が示されています。

基礎知識の足切りはどれくらい厳しいですか。

14問中6問(24点)が基準です。5肢択一なので、全問を勘で塗った場合の期待値は2.8問となり、運では届きません。出題範囲は一般知識、行政書士法等の業務関連法令、情報通信・個人情報保護、文章理解で、法令科目の学習では埋まらない領域です。なお試験案内には、択一式の採点段階で合格基準を満たさない場合は記述式を採点しないことがあると記載されています。

何回目の受験で合格する人が多いですか。

行政書士試験研究センターは受験回数を公表していないため、公的な数字は存在しません。公表されているのは年齢層別の受験者数と合格者数で、令和7年度は30歳代の合格率19.41%が最も高く、60歳代以上の7.02%が最も低い結果でした。ただし受験回数や学習歴が公表されていない以上、この差の原因は資料からは特定できません。