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勉強法

行政書士の勉強法|独学で迷わない5ステップと教材の選び方【2026年版】

独学が崩れる原因は、教材の質より学習の順番にあります。行政書士試験は300点満点で、法令等122点・基礎知識24点・総得点180点の3つを同時に満たす必要があります。この3条件から逆算すると、何を先にやり、何を後回しにしてよいかが決まります。以下は、実施機関が公表している数字だけを使って順番を組み立てたものです。

最終確認:2026年7月31日

01結論:独学は読む時間ではなく、戻る仕組みで決まる

令和7年度の行政書士試験は、受験者50,163人に対して合格者7,292人、合格率14.54%でした。ただしこの試験は絶対評価で、上位何人までを合格させるという定めがありません。法令等122点以上・基礎知識24点以上・総得点180点以上の3つを同時に満たせば、その年に何人いても全員が合格します。独学者が向き合う相手は他の受験者ではなく、180点という固定の線です。

独学が止まるのは、たいてい教材の質ではなく、学習の順番と復習の設計です。テキストを最初から通読し、理解できたと感じてから問題に進む進め方だと、行政法を読み終えるころに最初の章を忘れています。本試験の出題は、条文の主体・期間・要件を1語だけ入れ替えて誤りを作る形が中心なので、読んだ記憶だけでは2択から先へ進めません。

必要なのは、読んだ内容をその日のうちに問題の形で取り出し、答えられなかった箇所だけ本文へ戻る往復です。この往復が回っていれば、教材が1冊でも得点は積み上がります。逆に往復がなければ、3冊買っても同じ場所で止まります。独学で用意すべきものは、追加の教材ではなく、この往復を毎日成立させる手順です。

以下では、まず何が公表されていて何が公表されていないかを確認し、そのうえで学習順序、教材の選び方、記述式60点の始め方、過去問の入手先、立て直しの手順を順に扱います。数値はすべて行政書士試験研究センター(https://gyosei-shiken.or.jp/)の公表資料と、e-Gov法令検索の条文から取っています。

02独学者の合格率は公表されていない。使える数字と使えない数字を分ける

行政書士は独学で受かるのか、という問いに公的な数字で答えることはできません。センターが公表しているのは、受験申込者数・受験者数・合格者数・合格率・合格者平均得点、そして年齢層別と男女別の内訳までです。合格者が独学だったか講座を使ったか、何回目の受験だったかは公表されていません。

したがって独学合格率という数字を見かけたら、それはどこかの事業者が自社の受講者や回答者に対して行った調査であり、受験者全体の数字ではありません。この記事ではその種の数字を使いません。使えるのは、下の表で公表ありに分類したものだけです。

そのうち最初に押さえるべきは合格者平均得点です。令和7年度は197点、令和6年度は198点でした。合格ラインは180点なので、実際に受かった人の平均はそこから17点から18点上にあります。記述式60点は自己採点で確定しない領域なので、目標を180点ちょうどに置くと、採点次第で落ちる位置に自分を置くことになります。計画上の目標は195点前後に取ります。

年齢層別の実績も公表されています。令和7年度は30歳代の合格率19.41%が最も高く、60歳代以上が7.02%で最も低い結果でした。ただしセンターは学習方法も受験回数も公表していないため、この差が何によって生じたかは資料からは特定できません。年齢を判断材料にせず、確保できる時間と復習の設計で判断してください。

行政書士試験について公表の有無独学の計画にどう使うか
受験者数・合格者数・合格率公表されている過去10年の推移まで確認できる。難易度の年ごとの振れ幅がわかる
合格者平均得点公表されている令和7年度197点。目標得点を180点より上に設定する根拠になる
合格基準点(法令等122点・基礎知識24点・全体180点)公表されている3条件を同時に満たす前提で科目配分を決める
年齢層別・男女別の受験者数と合格者数公表されている直近3年分が属性資料として公開。ただし因果は読み取れない
独学者と講座受講者の別公表されていない独学合格率と称する数字は根拠として扱わない
受験回数・学習期間公表されていない何回目で受かるかを示す公的統計はない
科目別・問題別の正答率公表されていないどの問題が難しかったかの公式データはない
不合格者がどの基準で落ちたかの内訳公表されていない足切りによる不合格者数は算出できない

03300点の設計図を、テキストを開く前に1枚にする

独学の最初の作業は、テキストを開くことではなく、300点の内訳を1枚の表にすることです。行政書士試験は60問300点で、法令等が46問244点、基礎知識が14問56点です。出題形式は5肢択一が1問4点、多肢選択式が1問8点(空欄1つにつき2点)、記述式が1問20点と決まっています。

令和7年度の実際の出題を問題番号で追うと、基礎法学が問1から問2、憲法が問3から問7、行政法が問8から問26、民法が問27から問35、商法・会社法が問36から問40、多肢選択式が問41から問43、記述式が問44から問46、基礎知識が問47から問60でした。多肢選択式の内訳は憲法1問・行政法2問、記述式は行政法1問・民法2問です。

この内訳から出る結論は単純です。行政法112点と民法76点で188点、300点の62.7%を占めます。一方で商法・会社法は20点、基礎法学は8点しかありません。同じ1時間を置くなら、行政法に置いたほうが総得点に効きます。独学では時間配分を自分で決めるので、この比率を紙に書いて机に貼っておく価値があります。

科目の順番も、この表から決まります。配点が最大で、条文の構造を整理すれば安定しやすい行政法を先頭に置き、理解に時間がかかる民法を続けます。憲法は判例の結論と理由で取れる範囲を確保し、商法・会社法は頻出に絞ります。基礎知識は足切りがあるため、最初の月から週次で回します。

科目5肢択一択一以外の出題満点300点に占める割合
行政法19問76点多肢選択式2問16点・記述式1問20点112点37.3%
民法9問36点記述式2問40点76点25.3%
基礎知識14問56点なし56点18.7%
憲法5問20点多肢選択式1問8点28点9.3%
商法・会社法5問20点なし20点6.7%
基礎法学2問8点なし8点2.7%
合計54問216点多肢選択式3問24点・記述式3問60点300点100%

04独学で伸びない最大の原因は、読む時間と解く時間の比率

独学者の学習記録を分解すると、伸びない時期には共通の形があります。テキストを読む時間が全体の7割から8割を占め、問題を解く時間が2割から3割しかない状態です。本試験で問われるのは、読んだことがあるかではなく、5つの記述のうちどれが誤りかを判定できるかです。判定は、判定の練習でしか伸びません。

目安として、読む時間と解く時間の比率は1対1を下限にします。新しい章を45分読んだら、その日のうちに同じ範囲の問題を45分解きます。解く材料が足りないと感じるかもしれませんが、○×の一問一答なら1問あたり30秒から1分なので、45分で40問から80問を回せます。当サイトの /drill には620問を収録してあり、科目と重要度で絞り込めます。

2つ目の原因は、正解した問題を検証しないことです。5肢択一は勘で選んでも20%当たります。組合せ問題なら、2つの記述の正誤がわかれば残りを読まずに正解できます。正解した問題のうち、なぜ他の4つが誤りなのかを言えないものは、実質的に未習得です。○×形式で1肢ずつ判定する演習は、この取りこぼしを潰すためにあります。

3つ目は、復習の間隔を決めていないことです。間違えた問題をその場で解説だけ読み、二度と戻らない進め方では定着しません。誤答は翌日と1週間後にもう一度解きます。当サイトでは誤答が端末内の復習リストに自動で入り、/review から解き直せるようにしてあります。紙で管理する場合は、誤答の問題番号だけを日付つきで書き出す方式で十分です。

  • 読む時間と解く時間の比率が1対1を下回っていたら、配分が逆になっている
  • 正解しても、他の4肢が誤りである理由を言えない問題は復習対象に入れる
  • 誤答は翌日と1週間後の2回、必ず解き直す間隔を先に決めておく
  • 1日の最低ラインを時間ではなく問題数(たとえば10問)で決めると、忙しい日でもゼロにならない

05独学で迷わない5ステップ

学習の順序は、配点の大きさと、前提知識をどれだけ必要とするかの2つで決まります。行政法は条文の構造が整理できれば単独で得点でき、民法は事例処理に時間がかかります。基礎知識は範囲が閉じないため、早く始めて薄く長く続けます。以下の5ステップは、この性質に沿った並びです。

各ステップには、終わったと判断してよい条件を付けています。独学では終わりの合図を自分で決める必要があるため、期間ではなく到達状態で区切ります。期間で区切ると、理解が浅いまま次へ進むか、逆に1科目に張り付いて全範囲に届かないかのどちらかになります。

なお、ステップ2から5は完全な直列ではありません。基礎知識と記述式は、それぞれステップ2の途中とステップ3の途中から並走させます。直列にすると、この2つが必ず後回しになり、9月の時点で56点分と60点分が未着手のまま残ります。

ステップやること終わったと判断する条件並走させるもの
1. 全体像を確定する受験案内で日程・手数料・合格基準を確認し、300点の配点表を作る3つの合格基準と6科目の満点を、見ないで言えるとくになし
2. 行政法を一巡する行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法の役割を分ける5つの法律について、誰が誰に何を求める手続かを1行で説明できる基礎知識を週2回開始する
3. 民法を一巡する総則・物権・債権・親族・相続を、当事者関係の図とセットで進める頻出論点で登場人物の関係を図にでき、誰が誰に何を請求できるか言える記述式を週2問書き始める
4. 残り3科目を頻出に絞る憲法の主要判例、商法・会社法の設立と機関、基礎法学の用語憲法の判例で結論と理由を言え、会社法の機関設計を図にできる行政法・民法の2周目
5. 弱点と時間配分に寄せる誤答リストの解き直し、記述式の型の固定、3時間の解答順の決定模試で総得点180点を安定して超え、解答順が毎回同じになっている法改正の確認

06教材は商品名で選ばない。確認できるのは5つの点だけ

独学で最も時間を失うのは、教材の比較検討です。行政書士試験の教材は毎年更新され、どれが最適かは学習の進み方によって変わります。特定の商品を勧めることはできませんが、選ぶときに確認すべき点は限定できます。以下の5つを満たしていれば、あとはどれを選んでも学習は成立します。

重要なのは、基本テキストと問題集を同じシリーズでそろえるか、少なくとも参照関係が取れる組み合わせにすることです。問題の解説から本文へ戻れないと、往復の仕組みが成立しません。別々のシリーズを使うなら、テキストの目次に問題番号を書き込む作業を最初にしておきます。

冊数は、基本テキスト1・問題集1・条文が読める環境1が最小構成です。ここに記述式の対策を9月までに1つ加えます。模試は1回か2回で足ります。教材を増やすと、1冊あたりの周回数が下がり、どれも中途半端になります。独学では、教材の量ではなく1冊の使い切りで差がつきます。

買い足しを検討してよいのは、同じ論点で3回以上同じ間違い方をしたときだけです。その場合も、新しいテキストではなく、その論点だけを扱った資料や条文に戻るほうが早く解決します。教材の追加は、理解の不足ではなく復習の不足を隠してしまうことがあります。

  • 出題基準日への対応が明記されていること。試験は実施年度の4月1日現在施行の法令から出題される
  • 基礎知識に対応していること。令和6年度から一般知識等が基礎知識に変わり、行政書士法等の業務関連法令が範囲に入った
  • 記述式の扱いがあること。60点分をどう書くかの説明がない教材だけでは、配点の20%が空白になる
  • 解説が条文番号まで示していること。誤りの一語を特定するには、戻る先が条文でなければならない
  • 自分が1周できる分量であること。網羅性が高くても、3か月かけて1周しか回せない厚さは独学に向かない

07過去問は実施機関のPDFで解く。当サイトが本文を載せていない理由

このサイトには、行政書士試験研究センターが公表している令和2年度から令和7年度までの本試験問題のうち、5肢択一296問を年度別に収録しています。問題文・選択肢・正解番号は公表資料のとおりで、解説は編集部が独自に作成したものです。多肢選択式・記述式と、センターが著作権の関係で公表していない問題は収録していないため、その内訳は各年度のページで確認してください。

センターは令和2年度から令和7年度までの6年分の問題PDFと正解を公開しています(https://gyosei-shiken.or.jp/doc/exam/index.html)。画像ではなくテキストが埋め込まれたPDFなので、印刷しても画面でも読めます。正解は年度ごとの正解ページに掲載され、記述式については正解例も示されています。

ただし全問が載っているわけではありません。センター自身が著作権を理由に一部の問題を除いて公開しており、除かれている問題は年度ごとに違います。全年度で共通して非掲載なのは問1と問58から問60です。下の表で年度ごとの状況を確認してください。6年分で実際に解ける5肢択一は、合計296問です。

出題範囲は一般知識、行政書士法等の業務関連法令、情報通信・個人情報保護、文章理解の4つです。公開されている問47から問57にはこのうち3つが並びます。残る文章理解が問58から問60に置かれていると考えられますが、センターは問題番号と分野の対応を公表していないため断定はできません。文章理解の解法の型は、当サイトの /topics/reading-comprehension で確認してください。

年度問題PDF著作権を理由に掲載されていない問題5肢択一で解ける問題数
令和7年度https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/r7_mondai.pdf問1・問58〜6050問
令和6年度https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/r6_mondai.pdf問1・問58〜6050問
令和5年度https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/r5_mondai.pdf問1・問6・問56・問58〜6048問
令和4年度https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/r4_mondai.pdf問1・問58〜6050問
令和3年度https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/r3_mondai.pdf問1・問7・問58〜6049問
令和2年度https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/r2_mondai.pdf問1・問5・問58〜6049問
6年合計上記6ファイル全年度で問1と問58〜60が非掲載296問

08過去問を解きっぱなしにしないための手順

過去問には、年度別に3時間通しで解く使い方と、分野別に集めて解く使い方があります。独学では、学習が一巡するまでは分野別、一巡してからは年度別に切り替えるのが素直な順番です。分野別なら、いま学んだ範囲がどう問われるかを直後に確認でき、年度別なら3時間の配分と体力を測れます。

周回数の目安は、5肢択一で3周です。1周目は正解を選べるか、2周目は5つの記述それぞれの正誤を言えるか、3周目は誤りの一語を指摘できるかを基準にします。同じ問題を3回解いても、問う内容が毎回上がるので作業になりません。3周目で全肢を説明できる状態になれば、初見の問題でも同じ判断ができます。

解いたあとの処理は、正誤の記録だけでは足りません。誤りの肢について、条文または判例のどこに戻れば確認できるかを1行で書き残します。行政法なら条文番号、民法なら要件の名称、憲法なら判例名です。この1行があると、直前期に見返したときに思考を再現できます。

6年分を解き終えたあと、それ以上さかのぼる必要は基本的にありません。センターが公開しているのは6年分で、それ以前は入手経路が限られます。年度を増やすより、周回数を増やすほうが効果があります。過去問で埋まらない範囲は、当サイトの /drill で科目と重要度を絞って補ってください。

  • 1周目は正解を選べるか、2周目は5肢すべての正誤、3周目は誤りの一語まで
  • 誤答には、戻る先(条文番号・要件名・判例名)を1行で書き残す
  • 学習が一巡するまでは分野別、一巡後は年度別に3時間通しで解く
  • 年度を増やすより、6年分の周回数を増やすほうが効く

09記述式60点は、6年連続で行政法1問・民法2問

記述式は問44から問46の3問、1問20点で合計60点です。300点の20%を占めるにもかかわらず、独学では最後まで手つかずになりがちな領域です。理由は単純で、択一の演習に混ぜると必ず後回しになるからです。週に1時間でよいので、書く時間として独立させてください。

公表されている6年分の出題を並べると、配分が動いていないことがわかります。令和2年度から令和7年度まで、問44は行政法、問45と問46は民法です。行政法の1問は抗告訴訟の類型と被告を問う形が目立ち、民法の2問は当事者が3人前後の事例です。この傾向を前提に、練習の的を絞れます。

対策の起点は、択一の演習中に置けます。正解の肢を見ないで、その制度の要件と効果を口に出して言う練習です。記述式で問われる論点は択一と同じで、違うのは40字で書くという出力形式だけです。口で言えるものは書けますが、口で言えないものは書けません。

書く練習を始めるのは、民法を一巡した時点で十分です。それより早く始めても、要件が頭に入っていないため写経になります。逆に9月まで待つと、60点分を2か月で仕上げることになり、直前期の時間を圧迫します。当サイトの /topics には60論点の要件と判断順序を整理してあるので、書いたあとの答え合わせに使えます。

年度問44(行政法)問45(民法)問46(民法)
令和7年度裁決の手続に瑕疵がある場合、誰を被告にどの抗告訴訟を起こすか代理権のない配偶者の行為に、民法110条の趣旨を類推できる場合隣家の火災の消火活動を続ける法的根拠と、消火器代の償還の性質
令和6年度競願関係で免許を得られなかった者が、誰を被告に何の処分を争うか代金未払いの動産について、売主がどの権利でどう代金を確保するか登記名義が前主のままの不動産で、買主が対抗要件を備える方法
令和5年度出席停止の懲罰を議決前に止める訴訟と、仮の救済の組み合わせ抵当権者が火災保険金債権から優先弁済を受けるための法的手段請負の目的物に不具合がある場合、修補請求以外の3つの権利行使
令和4年度違反建築物の是正命令を出させる抗告訴訟と、その訴訟要件の主張無権代理人を本人が単独相続した場合に、本人は履行を拒めるか賃借権の登記も引渡しもない賃借人が、無権利者に何を請求できるか
令和3年度学校教育法の勧告が行政手続法上何に当たり、誰に何を求められるか譲渡制限特約付きの債権を譲り受けた者に、履行を拒める場合賃借人が住む家屋の外壁崩落について、誰が通行人に責任を負うか
令和2年度出訴期間経過後に換地処分の効力を争う抗告訴訟の被告と対象第三者にだまされて売却した者が、意思表示を取り消せるか背信的悪意者からの転得者が、権利を取得できる理由

1040字の答案は、聞かれた要素を数えることから始める

記述式の答案が書けない理由の多くは、知識ではなく設問の読み方にあります。行政書士試験の記述式は、問われている要素が設問の文末に明示されています。令和7年度の問44であれば、主張する瑕疵の内容、被告、訴訟の類型の3つです。まずこの要素を数え、40字の中に3つの空欄があると考えます。

次に、各要素を10字前後の句にします。誰を被告として、どの処分または裁決を対象に、何という訴訟を起こすか。この3つをつなぐと、それだけで35字から45字になります。文章として整える作業は最後で、要素が欠けているほうが失点は大きくなります。

民法の2問も同じ構造です。誰が誰に対して、どの制度に基づき、何を請求できるか。判例の理由を問う形であれば、結論ではなく理由を書きます。設問が場合分けを求めているときは、場合分けを省略しないでください。令和3年度の問46には、必要に応じて場合分けをしながらという指示が本文にあります。

練習量は、週2問を8週続ければ16問です。6年分の記述式が18問なので、それだけでほぼ一巡します。書いたあとは、要素が入っているかどうかだけを自分で採点します。文章の巧拙は採点基準が公表されていないため、そこを気にしても改善につながりません。

  • 設問の文末から、問われている要素をまず数える(多くは2つか3つ)
  • 1要素10字前後の句にしてから、つないで40字にする
  • 場合分けの指示があるときは、場合分けを省かない
  • 自己採点は、文章の巧拙ではなく要素の有無だけで行う

111週間の回し方:平日と休日で扱う教材を変える

独学では、まとまった時間が取れる日と取れない日で同じ教材を使おうとすると、効率が落ちます。平日の細切れ時間に民法の事例を10分だけ読んでも、当事者関係を追い切る前に中断します。時間の長さで教材を割り当てるほうが、総量が同じでも残る量が増えます。

平日に置くのは、中断しても損失が小さい作業です。○×の一問一答、暗記表の確認、前日の誤答の解き直し、基礎知識の用語確認がこれにあたります。当サイトの /drill と /memory は、この用途を想定して1項目ずつ独立して読める形にしてあります。

休日に置くのは、途中で止めると効率が落ちる作業です。民法の事例問題、記述式の答案作成、行政法の制度比較表の作成、過去問の3時間通しです。これらは30分では終わらず、集中が切れた状態で始めると質が落ちます。休日のうち少なくとも1日は、2時間以上の連続した枠を確保してください。

週の終わりには、科目別の到達率を見て次週の配分を決めます。到達率とは、理由を説明して正解できた問題の割合です。行政法が8割で民法が5割なら、次週は民法に寄せます。学習時間の記録より、この到達率のほうが次の1時間の使い道を決めてくれます。

時間帯扱うもの理由1回の目安
朝または通勤中前日の誤答の解き直し解いた直後より、一晩置いてからのほうが定着を測れる5問から10問
昼休みや移動中暗記表と基礎知識の用語1項目が独立していて、中断の損失が小さい10分から15分
平日の夜新しい論点を読み、同じ範囲の○×を解く読む時間と解く時間を同じ日に置き、往復を成立させる60分から90分
休日の午前民法の事例問題と記述式の答案作成連続した時間がないと当事者関係を追い切れない2時間以上
休日の午後過去問の年度別演習、制度比較表の作成3時間の配分と体力を測る作業は分割できない2時間から3時間
週末の最後科目別到達率の確認と次週の配分決定時間ではなく到達で測ると、次にやることが自動的に決まる15分

12誤答は3つに仕分ける。原因が違えば処置も違う

間違えた問題をすべて同じように復習すると、時間の割に成果が出ません。原因が違えば処置が違うからです。行政書士試験の誤答は、知識が入っていない、問題文を読み違えた、似た制度と比較していなかった、の3つでほぼ説明できます。解説を読む前に、自分でどれかを判定してください。

知識が入っていない場合は、条文または判例に戻ります。ここで注意すべきは、周辺まで広げずに、その1点だけを確認して戻ることです。1問の誤答から章全体を読み直すと、時間が溶けて他の科目に届かなくなります。

読み違いの場合は、知識に戻る必要はありません。処置は、問題文の読み方を固定することです。主体(誰が)、期間(いつまでに)、例外(ただし書き)に印を付けながら読む手順を決め、次の10問で実行します。読み違いは知識を増やしても減りません。

比較不足の場合は、その場で対比表を1つ作ります。審査請求と取消訴訟、聴聞と弁明の機会の付与、行政指導と行政処分のように、本試験は似た制度を並べて誤りを作ります。表にした瞬間に区別がつく論点は多く、当サイトの /topics にも制度ごとの判断順序を整理してあります。

  • 知識不足なら、条文または判例の1点だけを確認して戻る。周辺に広げない
  • 読み違いなら、主体・期間・例外に印を付ける手順を決めて次の10問で実行する
  • 比較不足なら、その場で対比表を1つ作る。項目は対象・相手方・期間・効果でそろえる
  • 3種類の内訳を月に1度集計すると、自分の弱点が知識なのか処理なのかがわかる

13つまずいたときの立て直し:症状から処置を決める

独学では、進まなくなったときに相談する相手がいません。そこで、症状と処置をあらかじめ決めておきます。多くの場合、問題は意志ではなく設計にあります。1日3時間の計画が守れないのは意志が弱いからではなく、3時間を確保できる週が実際には少ないからです。

立て直しで最もやってはいけないのは、翌週に取り返そうとして計画を前倒しすることです。前倒しは連鎖して崩れます。代わりに、その週に扱う予定だった範囲のうち配点の小さいものから削ります。商法・会社法や基礎法学の週なら丸ごと後ろに送っても影響は小さく、行政法の週なら演習量だけ落として範囲は維持します。判断の基準は常に配点です。

また、繁忙期がわかっているなら計画に先に書き込みます。決算期や年度末など学習時間が半減する月を最初から低い設定にしておけば、そこで破綻したという感覚を持たずに済みます。計画を守れなかったという体験の積み重ねが、独学の離脱理由として最も多いものです。

症状起きていること処置放置するとどうなるか
同じ論点を3回以上間違える条文の言葉ではなく、解説の言い回しで覚えている条文を1回だけ音読し、要件を自分の言葉で3つに分ける本試験で表現を変えられた瞬間に落とす
解くと2択までは絞れるのに外す似た制度の比較ができていない対比表を1つ作り、対象・相手方・期間・効果でそろえる正答率が5割前後で頭打ちになる
1週間まったく手をつけられなかった計画の時間設定が実生活と合っていない週の目標を時間から問題数に変え、1日10問を下限にする再開の心理的コストが上がり、離脱につながる
テキストは進むが問題が解けない読む時間と解く時間の比率が偏っている同じ日に読んだ範囲を必ず解く運用に切り替える全範囲を読み終えても得点が伸びない
基礎知識に手が回っていない足切りのある56点を後回しにしている週2回、20分ずつを固定枠として先に確保する直前期に56点分を詰め込むことになる
記述式を一度も書いていない書く時間を科目の時間に含めている週1時間を独立した枠として切り出す60点分が未着手のまま10月を迎える

14独学を続けるか、講座を検討するかの判断基準

独学と講座のどちらが優れているかという議論には意味がありません。判断すべきなのは、自分の詰まり方が独学で解けるものかどうかです。教材を読めば解決する詰まりなら独学で足ります。読んでも何が分からないのか特定できない状態が続くなら、外部の説明を入れたほうが早く進みます。

とくに独学が不利になりやすいのは、記述式の答案の評価です。択一は正解が公表されているので自分で判定できますが、記述式は採点基準が公表されていません。書いた答案が要素を満たしているかを自分で判断しきれない場合、添削のある形を検討する価値があります。ただし、書く前から添削を前提にする必要はありません。

費用と時間の比較も、感覚ではなく数字で行います。講座を使えば学習時間そのものが劇的に減るわけではありません。減るのは、何をやるかを決める時間と、間違った方向へ進む時間です。すでに順序が決まっていて詰まっていないなら、その削減効果は小さくなります。

以下の条件に複数当てはまるなら、独学以外の選択肢を検討する場面です。逆に、どれにも当てはまらないなら独学を続けて問題ありません。

  • 2か月以上、行政法の同じ範囲で正答率が上がらず、原因も特定できていない
  • 民法の事例問題で、当事者関係を図にするところから進めない状態が続いている
  • 記述式を書いてはいるが、自分の答案が要素を満たしているか判断できない
  • 学習時間は確保できているのに、模試の総得点が2回続けて150点を下回る
  • 受験が2回目以降で、前回の失点原因を得点通知から特定できていない

15このサイトの3つの道具を、どの場面で使うか

当サイトは、○×の一問一答620問、60論点の整理、暗記表566項目の3つで構成しています。すべて登録なしで使えます。3つは役割が違うので、同じ場面で3つとも使う必要はありません。使い分けの目安を下の表にまとめます。

一問一答は、読んだ直後に取り出すための道具です。1肢ずつ正誤を判定する形式なので、5肢択一で2択に迷う原因を1肢単位で潰せます。科目と重要度で絞り込めるため、行政法の重要度Sの75問だけを回すといった使い方ができます。誤答は端末内の復習リストに入り、翌日以降に解き直せます。

論点の整理は、間違えた理由が比較不足だったときに戻る場所です。1論点につき、判断の順序、根拠条文、覚えるべき数値、本試験が仕掛ける引っかけ、関連判例を同じ並びで置いてあります。行政法は24論点、民法は18論点、憲法は7論点、基礎知識は7論点、商法・会社法は3論点、基礎法学は1論点です。

暗記表は、数値と期間を横に並べて覚えるための道具です。行政法188項目、民法180項目、憲法59項目、商法・会社法40項目、基礎法学20項目、基礎知識79項目を科目別に置いてあります。審査請求期間3か月と出訴期間6か月のように、単独で覚えると混ざる数値をまとめて確認する用途に向いています。

場面使うものURLねらい
章を読み終えた直後○×一問一答620問/drill読んだ内容をその日のうちに取り出し、抜けを可視化する
2択で迷って外した60論点の整理/topics/appeal-period など判断の順序と引っかけの型を確認し、比較不足を解消する
数値や期間が混ざる暗記表566項目/memory/administrative-law など似た数値を横に並べ、起算点とセットで覚え直す
前日の誤答を処理したい復習リスト/review間違えた問題だけを翌日と1週間後に解き直す
今日やることが決まらない今日の10問/today配分を考えずに着手し、着手の心理的コストを下げる
科目の偏りを確認したい学習記録/progress科目別の到達率を見て、次週の時間配分を決める

16法令の基準日と、法改正の扱い方

行政書士試験は、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます。令和8年度試験なら令和8年4月1日時点です。4月2日以降に施行された改正を先取りして覚えると、本試験では逆に誤りになります。改正情報に触れるときは、必ず施行日を確認してください。

古い過去問を解くときも同じ注意が必要です。出題当時は正しかった肢が、その後の改正で結論が変わっていることがあります。センターが公開している6年分にも、出題時と現行法で理解が食い違い得る箇所が含まれます。解説を読むときは、条文の現行版をe-Gov法令検索で確認する習慣をつけてください。

e-Gov法令検索では、行政手続法(https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000088)、行政不服審査法(https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC0000000068)、行政事件訴訟法(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139)、国家賠償法(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000125)、地方自治法(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067)、行政書士法(https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004)を読めます。戻る先を最初にブックマークしておくと、往復が速くなります。

最後に令和8年度の日程を確認しておきます。試験日は令和8年11月8日(日)の午後1時から午後4時まで、申込みはインターネットが令和8年7月21日から8月24日午後5時まで、郵送が7月21日から8月17日消印有効です。受験手数料は10,400円、合格発表は令和9年1月27日(水)です。受験資格は年齢・学歴・国籍を問いません。

よくある質問

行政書士は独学でも合格できますか。

独学の合格者が何割かというデータは公表されていないため、確率で答えることはできません。制度上は、法令等122点以上・基礎知識24点以上・総得点180点以上を満たせば全員が合格する絶対評価なので、他の受験者との比較で不利になることはありません。独学で必要なのは、読んだ範囲をその日のうちに問題で取り出し、答えられなかった箇所だけ条文へ戻る往復を毎日成立させることです。この往復がない状態で教材を増やしても得点は伸びません。

何から始めればよいですか。

テキストを開く前に、300点の配点表を1枚作ってください。行政法112点、民法76点、基礎知識56点、憲法28点、商法・会社法20点、基礎法学8点です。行政法と民法で188点、全体の62.7%を占めるとわかれば、学習順序は自動的に決まります。そのうえで行政法から始め、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の役割を分けるところまでを最初の目標にしてください。基礎知識は最初の月から週2回、短時間でも触れ始めます。

独学の場合、過去問はどこで手に入りますか。

行政書士試験研究センターが令和2年度から令和7年度までの6年分の問題PDFと正解を公開しています。ただし著作権を理由に一部の問題が除かれており、全年度で問1と問58から問60が非掲載です。令和5年度は問6と問56、令和3年度は問7、令和2年度は問5も除かれています。6年分で実際に解ける5肢択一は296問で、当サイトはこの296問を年度別に収録しています。多肢選択式と記述式は出題形式が違うため収録していません。

記述式はいつから始めればよいですか。

民法を一巡した時点で、週2問の答案作成を始めてください。それより早いと要件が頭に入っておらず写経になり、9月まで待つと60点分を2か月で仕上げることになります。公表資料で確認できる令和2年度から令和7年度までの6年分は、いずれも問44が行政法、問45と問46が民法でした。この配分を前提に、行政法は抗告訴訟の類型と被告、民法は当事者3人前後の事例に的を絞れます。

テキストは何冊必要ですか。

基本テキスト1冊、問題集1冊、条文を読める環境(六法またはe-Gov法令検索)が最小構成です。ここに記述式の対策を9月までに1つ加えます。冊数を増やすと1冊あたりの周回数が下がり、どれも中途半端になります。買い足しを検討してよいのは、同じ論点で3回以上同じ間違い方をしたときだけで、その場合も新しいテキストより条文に戻るほうが早く解決します。選ぶときは、出題基準日への対応、令和6年度からの基礎知識への対応、記述式の扱い、解説に条文番号があるかを確認してください。

独学で伸び悩んだとき、講座に切り替えるべきですか。

詰まり方によります。教材を読めば解決する詰まりなら独学で足ります。読んでも何が分からないのか特定できない状態が2か月以上続く場合、記述式の答案が要素を満たしているか自分で判断できない場合、学習時間は確保できているのに模試の総得点が2回続けて150点を下回る場合は、外部の説明や添削を入れたほうが早く進みます。講座を使っても学習時間そのものは大きく減りません。減るのは、何をやるかを決める時間と、間違った方向へ進む時間です。