実務・開業2026年度試験対応
行政書士に相続をどこまで頼める?業務範囲と費用【2026年版】
相続は一つの手続ではありません。死亡後の戸籍確認、遺言書、相続人・財産調査、遺産分割協議書、預貯金、不動産登記、相続放棄、相続税、紛争で担当と期限が変わります。行政書士へ相談する前に、三か月の相続放棄、相続人間の争い、不動産、相続税の四点を先に切り分けます。
- 公開日
- 2026年8月2日
- 更新日
- 2026年8月2日
- 読了目安
- 約25分
- 法令基準日
- 2026年4月1日

行政書士は、法的紛争、税務、登記申請等を除き、遺言書作成支援、相続人・財産の調査、相続関係説明図、遺産分割協議書など、行政書士法上作成できる権利義務・事実証明書類と関連手続で相続を支援できます。ただし、相続放棄の申述や遺産分割調停など家庭裁判所の手続、相続人間の紛争対応、相続登記の申請代理、相続税の申告・税務相談はそれぞれ別の専門領域です。死亡を知った時から三か月の相続放棄が問題になる場合は、遺産分割協議書より先に家庭裁判所・弁護士等へ確認してください。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 相続放棄の三か月、紛争、不動産、相続税を最初に確認して相談先を分ける
- 行政書士は紛争・税務・登記申請を除く相続関係書類や前提調査で関わり得る
- 相続登記は2024年4月1日から義務化され、行政書士へ書類を頼んでも登記申請は別に必要
- 報酬統計は案件単価の回答統計で、戸籍・証明書等の実費と他士業費用は別に確認する
01結論:相続は、行政書士へ一括ではなく工程ごとに担当を決める
行政書士へ相続を依頼できる範囲は、『相続手続』という名称だけでは決まりません。日行連は、法的紛争段階・税務・登記申請業務を除き、遺言書作成支援、相続人・財産調査、遺産分割協議書、相続関係説明図等で行政書士が支援できると案内しています。どの書類を何の提出先・目的で作るかを確認します。
行政書士が相続関係を整理しても、不動産の名義変更が自動的に完了するわけではありません。相続登記申請は司法書士等の領域、相続税申告・税務相談は税理士の領域、遺産分割の争い・交渉・裁判所手続は弁護士等へつなぎます。相続放棄の申述は家庭裁判所の手続です。
相談の順番を誤ると、三か月の相続放棄期間や十か月の相続税申告、不動産取得を知った日から三年以内の相続登記義務に影響します。最初に期限、争い、不動産、税、遺言書を確認し、その後で行政書士が作成できる調査・書類の範囲を見積書へ明記してもらいます。
02死亡を知ったら、まず相続放棄の三か月を確認する
裁判所は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から三か月以内に、単純承認、相続放棄、限定承認を選ぶと案内しています。相続放棄または限定承認をするには家庭裁判所への申述が必要です。三か月は遺産分割協議書の完成期限ではなく、承認・放棄を判断するための重要な期間です。
裁判所の相続放棄案内では、申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、費用は申述人一人につき収入印紙800円と連絡用郵便切手です。必要戸籍は申述人と被相続人の関係により異なります。行政書士へ相続関係書類を依頼中でも、家庭裁判所の期限は止まりません。
三か月で財産状況を調査しても判断資料が得られない場合、裁判所は相続の承認または放棄の期間伸長の申立てを案内しています。遺産の一部を処分するなど、承認と評価され得る行為もあるため、借金、保証、不明財産があるときは預金解約や遺産分配より先に弁護士・家庭裁判所等へ確認します。
| 選択肢 | 概要 | 主な手続先 | 行政書士だけで完結しない点 |
|---|---|---|---|
| 単純承認 | 権利・義務を承継 | 各財産の手続先 | 債務・登記・税を別途確認 |
| 相続放棄 | 権利・義務を一切承継しない | 家庭裁判所 | 申述は裁判所手続 |
| 限定承認 | 相続財産の限度で債務等を承継 | 家庭裁判所 | 共同相続・公告等を含め専門相談 |
| 期間伸長 | 判断期間の伸長を求める | 家庭裁判所 | 自動延長ではなく申立てが必要 |
03行政書士は、紛争・税務・登記を除く相続書類と前提調査で関わる
行政書士法は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署提出書類、権利義務・事実証明に関する書類等を作成する業務を定めています。日行連は遺言・相続業務として、遺言書作成支援、相続人・財産調査、遺産分割協議書、相続関係説明図等を案内しています。
具体的には、相続人全員の合意内容が確定し争いがない場面で、その内容を遺産分割協議書へ正確に反映する、戸籍等から相続関係を整理する、財産資料を一覧化するなどが考えられます。ただし、依頼時の事情と書類の使用目的により、行政書士法上扱える範囲を個別に確認します。
『戸籍を集めて協議書を作る』という同じ説明でも、相続人の探索、外国籍・海外在住、数次相続、未成年、行方不明、認知・養子、遺言、債務、事業承継などで難易度と関連手続が変わります。行政書士へ、作成書類、調査範囲、完了条件、他士業へ渡す資料を見積書で示してもらいます。
| 工程 | 支援例 | 依頼前に確認すること |
|---|---|---|
| 遺言 | 遺言書の起案・作成支援等 | 方式、内容、保管・公証手続 |
| 相続人調査 | 戸籍等の収集・関係整理 | 業務目的、対象範囲、追加相続人 |
| 財産調査 | 提示資料・証明書等の整理 | 債務・評価・漏れの確認方法 |
| 協議書 | 合意済み内容の遺産分割協議書等 | 全員の合意と紛争の有無 |
| 手続連携 | 金融・登記・税務等へ使う書類整理 | 各機関・専門家の要件 |
04相続放棄・紛争・登記申請・税務は別の担当へつなぐ
相続放棄や限定承認、遺産分割調停・審判、遺言書検認などは家庭裁判所の手続です。裁判所提出書類、手続代理、紛争中の交渉を行政書士へ一括で頼めると考えず、裁判所の案内や弁護士・司法書士等へ確認します。相続人間で分け方に争いがある場合、行政書士が一方の主張を代理して解決する領域ではありません。
不動産の相続登記申請代理は司法書士法等を確認すべき業務です。行政書士が相続関係説明図や遺産分割協議書等を作成した場合も、法務局への登記申請工程を誰が担当するか別途決めます。土地・建物がある時点で司法書士への相談時期を置きます。
相続税の要否判断、税額試算、申告書作成、税務相談は税理士法上の税理士業務です。行政書士が財産一覧を整理しても、課税財産や評価を決めることとは異なります。相続税の可能性がある場合は、死亡を知った日の翌日から十か月という申告期限を見据えて早く税理士へつなぎます。
| 問題・手続 | 主な相談先 | 先に伝える情報 |
|---|---|---|
| 争い・交渉・調停等 | 弁護士、家庭裁判所 | 相続人、対立点、期限、財産 |
| 相続放棄・限定承認 | 弁護士、司法書士、家庭裁判所等 | 知った日、債務、処分行為、戸籍 |
| 相続登記 | 司法書士、法務局 | 不動産、取得を知った日、遺産分割 |
| 相続税 | 税理士、税務署 | 財産・債務、相続人、死亡日、過去贈与 |
| 紛争のない相続関係書類等 | 行政書士 | 目的、相続人、財産、他工程 |
05初回相談では、遺言・相続人・財産・期限・争いの五項目をそろえる
行政書士へ相談する前に、被相続人の氏名、死亡日、最後の住所、本籍、家族関係、遺言書の有無、不動産、預貯金、有価証券、事業、保険、債務、保証、相続人間の連絡状況を分かる範囲で整理します。分からない項目を空欄のまま示すことが重要です。
とくに『死亡を知った日』『借金を知った日』『遺言を見つけた日』『不動産取得を知った日』『遺産分割が成立した日』は別の期限に関係し得ます。すべて死亡日と同じと決めず、通知、郵便、戸籍、連絡記録など確認できる資料を残します。
相続人同士で連絡できることと合意していることも別です。一人でも分け方、使途、遺言の有効性、寄与、贈与、債務等に異議があるなら、協議書の文案作成を進める前に紛争対応の専門家へ相談します。行政書士へは争いの有無を隠さず伝えてください。
| 項目 | 持参・共有するもの | 未確認なら伝えること |
|---|---|---|
| 遺言 | 原本、保管通知、公正証書情報等 | あるか不明・開封状態 |
| 相続人 | 家族メモ、戸籍、連絡先 | 前婚・養子・認知等の可能性 |
| 財産・債務 | 通帳、通知、登記事項、契約等 | 保証・事業・海外財産の可能性 |
| 期限 | 死亡日、知った日、通知・申告状況 | 正確な日付が不明 |
| 争い | 連絡履歴、異議の内容 | 合意がまだない |
06遺言書が見つかったら、方式・保管場所・検認の要否を先に確認する
遺言書の有無は遺産分割の前提を変えます。封印された自筆証書遺言等を見つけた場合、自己判断で開封・処分せず、家庭裁判所の検認が必要か確認します。公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書では取扱いが異なります。
法務省は、自筆証書遺言書保管制度について、法務局が遺言書を保管することで紛失・改ざんを防ぎ、保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要と案内しています。ただし、保管時の外形的チェックは遺言の有効性を保証するものではなく、法務局は遺言内容の相談を行いません。
行政書士は遺言書の起案・作成支援等で関わり得ますが、遺言内容に争いがある、無効を主張する、遺留分侵害額請求、執行を巡る対立などは別途弁護士等へ相談します。相続開始後は新たな遺言書を作るのではなく、既存遺言の方式と内容を正しく確認します。
| 確認 | 行動 | 避けること |
|---|---|---|
| 種類・保管 | 公正証書、法務局保管、自宅保管等を確認 | 見た目だけで方式を断定 |
| 検認 | 家庭裁判所・公式案内で要否確認 | 封印遺言を自己判断で開封 |
| 内容 | 対象財産、受遺者、執行者等を確認 | 有効性・解釈の争いを放置 |
| 実現工程 | 登記、金融、税務、引渡しを分ける | 遺言だけで全手続完了と考える |
07相続人調査は、家族の記憶ではなく連続した戸籍等で確認する
相続人の範囲は、現在連絡を取っている家族だけでは確定しません。被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍等、相続人の現在戸籍などを目的に応じて確認します。転籍、改製、婚姻、離婚、養子、認知、代襲相続、数次相続により必要資料が増えることがあります。
行政書士が職務上請求書を使える場面でも、依頼を受けた業務の遂行に必要な範囲に限られ、資格があれば私的な戸籍を自由に取得できるわけではありません。依頼目的、委任範囲、取得対象、使用・保管・返却を確認します。自分で請求する場合は各市区町村の本人確認・委任案内に従います。
相続関係説明図は関係を見やすくしますが、図を作っただけで相続人の不存在や協議成立が保証されるわけではありません。基礎となる戸籍の範囲、確認日、未収集資料、外国・海外関係を明記し、金融機関、法務局、税務等の提出先が求める資料へ合わせます。
| 事情 | 追加で確認すること | 次の連携 |
|---|---|---|
| 転籍・改製 | 連続する前後の戸籍 | 不足期間を再請求 |
| 前婚・養子・認知 | 親子・婚姻関係と現在戸籍 | 全相続人への連絡 |
| 相続人が死亡 | 代襲・数次相続の関係 | 対象者・協議当事者を再確認 |
| 未成年・行方不明 | 代理・利益相反・所在 | 家庭裁判所手続等を確認 |
| 外国・海外 | 身分関係・署名証明等 | 各国・提出先の要件を確認 |
08財産調査は、プラス財産より債務・保証・契約の確認を先に置く
財産一覧には、不動産、預貯金、有価証券、保険、車両、貴金属、貸付金、事業資産、デジタル資産だけでなく、借入、未払税、カード、保証、賃貸借、事業債務等を含めます。残高証明や通知の基準日をそろえ、死亡後の入出金を別に記録します。
自宅の郵便、通帳、カード、確定申告書、固定資産税通知、登記事項、保険証券、証券会社・ネット銀行の通知など、確認した資料と未確認先を分けます。財産がないと思っても、債権者から後日請求が来る可能性があります。三か月の判断に関わるときは弁護士等へ早く相談します。
行政書士による財産調査の範囲は、依頼者が提示した資料の整理、各機関への照会支援など契約で具体化します。すべての財産を必ず発見するという保証にはしません。相続税評価、登記、紛争、海外財産などは適切な専門家と提出先へ確認します。
| 区分 | 確認資料の例 | 期限・専門判断 |
|---|---|---|
| 不動産 | 登記事項、固定資産税資料、契約 | 相続登記・評価を別途確認 |
| 金融資産 | 通帳、残高証明、証券・保険通知 | 基準日と死亡後取引を分離 |
| 事業・契約 | 決算、許認可、賃貸、取引契約 | 承継・解約・保証を確認 |
| 債務 | 借入、カード、税、請求、保証 | 相続放棄等の判断を優先 |
| 不明・デジタル | メール、郵便、端末、契約一覧 | 権限・利用規約を守る |
09法定相続情報証明制度は、戸籍束の代わりになる場面を提出先ごとに確認する
法務局の法定相続情報証明制度は、戸除籍謄本等と相続関係を一覧にした図を法務局へ提出し、登記官の確認を受けた法定相続情報一覧図の写しを無料で交付する制度です。相続登記、預貯金払戻し、相続税申告、年金等の各種手続で利用できる場合があります。
一覧図の写しがあれば、すべての手続で戸籍も本人確認も不要になるわけではありません。提出先が制度へ対応しているか、追加の戸籍、遺言、協議書、印鑑証明、本人確認等を求めるかを確認します。必要部数と利用予定先を先に数えると、同時並行の手続に使いやすくなります。
行政書士へ制度利用を依頼する場合は、法定相続情報一覧図の作成・申出、戸籍収集、各機関手続のどこまでが委任範囲か確認します。登記官の確認を受けた一覧図と、行政書士が作る相続関係説明図を名称だけで混同しないでください。
| 確認事項 | 質問 | 理由 |
|---|---|---|
| 利用先 | 金融、登記、税、年金等で使えるか | 機関ごとに追加資料が異なる |
| 戸籍範囲 | 申出に必要な連続戸籍は揃ったか | 一覧図の基礎となる |
| 記載範囲 | 住所等をどこまで記載するか | 利用先の要件に合わせる |
| 部数・順序 | 何件を同時に進めるか | 戸籍原本の往復を減らす |
10遺産分割協議書は、合意を作る書類ではなく合意済み内容を正確に残す
遺産分割協議書は、相続人全員が誰に何を取得させるか合意した内容を記録する書類です。行政書士が書類作成で関わり得ますが、対立する相続人の間に入り、一方の利益のために交渉して合意を成立させる業務とは分けます。合意がなければ文案作成を急ぎません。
書類には、被相続人、相続人、対象財産、取得者、債務・費用、後に判明した財産、日付、署名・押印等を、使用目的と提出先の要件に合わせて記載します。不動産なら登記記録、預貯金なら金融機関・支店・口座等を特定し、通称や家族の呼び方だけで書きません。
協議書を作っても、金融機関の払戻し、名義変更、相続登記、税務申告は各手続が別に残ります。誰が原本を保管し、何部作成し、各提出先へどの資料を添えるかを工程表にします。内容変更が必要になったら、一人の訂正だけで済ませず全員の合意と提出先の扱いを確認します。

| 段階 | 確認すること | 完了後に残る手続 |
|---|---|---|
| 作成前 | 全相続人、遺言、財産、債務、合意、争い | 未合意なら専門相談 |
| 作成 | 財産特定、取得者、条件、日付、署名押印 | 提出先要件の照合 |
| 作成後 | 原本、部数、保管、各手続担当 | 金融、登記、税、引渡し等 |
| 追加財産等 | 協議条項と新たな合意 | 追加書類・申告・登記等 |
11相続登記は三年以内の義務を確認し、協議書作成と別工程にする
法務省は、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されたと案内しています。相続により不動産を取得したことを知った日から三年以内に相続登記を申請する必要があり、遺産分割が成立した場合にも成立日から三年以内の追加的義務が問題になります。
2024年4月1日より前に開始した相続も未登記なら義務化の対象となり、法務省は原則として2027年3月31日までの対応を案内しています。家族名義のまま長年使っている土地・建物があれば、死亡時期だけで対象外と判断せず登記記録と相続経過を確認します。
行政書士が戸籍整理や遺産分割協議書等を支援しても、相続登記申請代理は別の業務です。司法書士へいつ渡すか、法定相続情報一覧図、協議書、印鑑証明、評価資料等の必要書類を確認します。分割が決まらない場合の相続人申告登記等も法務局・司法書士へ相談します。
| 場面 | 公式案内の期限 | 行動 |
|---|---|---|
| 相続で不動産取得を知った | 知った日から3年以内 | 登記対象・取得者・必要書類を確認 |
| 遺産分割が成立 | 成立日から3年以内の追加的義務 | 合意内容に沿う登記を確認 |
| 2024年4月1日前の未登記相続 | 原則2027年3月31日まで | 過去相続の関係・登記記録を確認 |
| 分割未了等 | 事情に応じた制度を確認 | 相続人申告登記等を法務局へ相談 |
12相続税は十か月の期限を置き、行政書士の財産整理と税務判断を分ける
国税庁は、相続税の申告が必要な場合、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から十か月以内に申告・納税するよう案内しています。相続税がかかるか分からない場合も、財産の把握、評価、債務、過去の贈与、特例等の確認に時間がかかるため、期限直前まで待ちません。
行政書士が財産資料や相続関係を整理しても、相続税の要否、評価、特例、申告書作成、税務相談を担当できるとは限りません。税理士法上の税理士業務を分け、財産の種類、概算、相続人、死亡日を税理士へ早めに共有します。資料共有には依頼者の同意と安全な方法を使います。
遺産分割が未成立でも申告期限が自動的に延びるわけではありません。未分割での申告や後の更正等、税務上の取扱いは税理士・税務署へ確認します。税負担を減らす目的で協議内容を行政書士だけに相談せず、民事・登記・税務を同じ工程表へ置きます。
| 作業 | 行政書士が関わり得ること | 税理士へ確認すること |
|---|---|---|
| 相続関係 | 戸籍等の整理・作成可能な関係書類 | 税法上の相続人等の判断 |
| 財産資料 | 依頼範囲での資料整理 | 課税財産・評価・債務控除 |
| 協議書 | 争いのない合意内容の書類作成等 | 税額・特例への影響 |
| 申告 | 税務申告は担当外として連携 | 要否判断、申告書、納税、税務相談 |
13行政書士の相続費用は、書類名・調査範囲・実費・関連業務に分ける
行政書士の報酬は各行政書士が自由に定めます。日行連の令和7年度報酬額統計調査では、遺言書の起案・作成指導は平均76,855円、最頻値50,000円、遺産分割協議書は平均69,752円、最頻値55,000円、相続人・財産調査は平均61,722円、最頻値50,000円と掲載されています。
同統計は令和8年1月に行われた報酬回答の集計で、金額は消費税込み、立替金を含まず、同一業務でも具体的取扱いにより大きな差があると日行連は説明しています。平均・最頻値は全国一律料金、見積上限、相続一式の総費用ではありません。回答数や最小・最大も一緒に読みます。
見積りでは、戸籍等の収集範囲、相続人数、数次・代襲、財産調査先、協議書の財産数、金融手続、出張、郵送、証明書実費、追加相続人・財産、他士業費用を分けます。『相続手続一式』なら、完了する手続と対象外を一覧にしてもらいます。
| 業務 | 平均 | 最頻値 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 遺言書の起案・作成指導 | 76,855円 | 50,000円 | 方式・財産・支援範囲で変動 |
| 遺産分割協議書 | 69,752円 | 55,000円 | 相続人・財産・合意内容で変動 |
| 相続人・財産調査 | 61,722円 | 50,000円 | 調査先・戸籍経過等で変動 |
| 証明書・他士業等 | 上記報酬と別確認 | 上記報酬と別確認 | 実費・登記・税・紛争を分ける |
14依頼先は、相続専門の表示より業務境界と工程表で選ぶ
行政書士を選ぶときは、相続専門・実績多数という表示だけでなく、自分の相続の期限、争い、不動産、税、遺言、相続人・財産の事情を伝え、行政書士が担当する工程と担当外を説明できるか確認します。担当外を弁護士・司法書士・税理士へ早くつなげる事務所は、範囲が狭いのではなく工程を管理しています。
相談時には、誰が担当するか、戸籍・原本の保管、連絡頻度、進捗表、追加費用、業務終了、他士業への資料共有を聞きます。複数事務所を比較する場合は、報酬総額だけでなく、相続人調査、財産調査、協議書、金融、登記・税連携の各欄をそろえます。
許可なく家族全員の個人情報をメールで送る、争いを隠して協議書だけ作る、相続放棄期限を後回しにする依頼方法は避けます。行政書士側から本人確認、利益相反、業務範囲、秘密保持、期限を質問されるかも選定材料にしてください。
| 確認 | 質問例 | 良い状態 |
|---|---|---|
| 範囲 | 作成・調査・手続のどこまでですか | 成果物と対象外が明確 |
| 期限 | 三か月・三年・十か月を誰が管理しますか | 工程別担当と日付がある |
| 連携 | 争い・登記・税は誰へつなぎますか | 紹介条件と情報共有が明確 |
| 費用 | 報酬、実費、追加、他士業費用は何ですか | 総額の構成を説明可能 |
| 情報 | 原本・戸籍・データをどう保管しますか | 受領・返却・削除を記録 |
15相談前に一枚の相続メモを作り、分からない項目を隠さない
相続メモの上部に、被相続人の氏名、死亡日、最後の住所・本籍、相談者との関係、遺言書、三か月の起算に関わる日を記載します。中央に相続人候補と連絡状況、下部に財産・債務、不動産、事業、保険、争い、税の可能性を置きます。
資料は戸籍、住民票除票、遺言、固定資産税資料、登記事項、通帳、残高通知、保険、証券、借入・請求、確定申告書、契約等を種類別にします。取得できていないものは空欄にせず『未確認』と書きます。原本を送る前に、必要性、送付方法、受領記録、返却時期を行政書士へ確認します。
家族へ連絡する前に法的文案を作る必要はありません。相続人間の争いがあるなら事実と各人の主張を混ぜず、弁護士等へ相談します。合意できている場合も、電話だけでなく全員が同じ財産一覧と分割内容を確認できるよう、版と日付をそろえます。
- 1.死亡日・知った日・遺言書を確認する
- 2.相続人候補と連絡・合意状況を書く
- 3.財産・債務を確認済みと未確認に分ける
- 4.不動産・相続税・争い・放棄を印で示す
- 5.資料原本の送付前に受領・返却方法を確認する
16今日やること:三か月・三年・十か月を一枚に置き、相談先を決める
今日、死亡を知った日、遺言書、債務、不動産、相続人間の争い、相続税の可能性を確認します。三か月以内の相続放棄が問題になるなら、財産処分や協議書作成より先に家庭裁判所・弁護士等へ相談します。期限が迫る場合は資料が全部揃うのを待ちません。
次に、行政書士へ依頼したい成果物を一つずつ書きます。相続人調査、財産調査、相続関係説明図、遺産分割協議書、金融手続支援等を分け、不動産登記、相続税、紛争・裁判所手続の担当欄を別に置きます。少なくとも二つの見積りで同じ範囲を比較します。
依頼後は、戸籍収集、財産確認、合意、書類作成、各機関手続を一つの進捗表で管理します。行政書士へ頼んだことで全工程を任せたつもりにならず、各担当、期限、次に動く人を確認してください。相続人全員が同じ版の財産・協議内容を見ていることも確認します。
| 時期・期限 | 確認すること | 主な行動先 |
|---|---|---|
| 直ちに | 遺言、債務、争い、不動産、税 | 必要な専門家・機関を決める |
| 知った時から3か月 | 承認・放棄・限定承認 | 家庭裁判所・弁護士等 |
| 知った日の翌日から10か月 | 相続税の申告要否・納税 | 税理士・税務署 |
| 不動産取得を知った日から3年 | 相続登記 | 司法書士・法務局 |
| 各資料整備 | 相続人・財産調査、協議書等 | 行政書士の依頼範囲 |
よくある質問
相続は行政書士にどこまで頼めますか?
行政書士は、法的紛争、税務、登記申請等を除き、遺言書作成支援、相続人・財産調査、相続関係説明図、遺産分割協議書など、行政書士法上作成できる相続関係書類や関連支援を扱い得ます。案件ごとに成果物と対象外を確認し、登記・税・紛争・家庭裁判所手続の担当を別に決めます。
相続放棄を行政書士に依頼できますか?
相続放棄は家庭裁判所への申述で、自己のために相続開始があったことを知った時から三か月以内が原則です。裁判所提出書類や手続代理の範囲は行政書士へ一括せず、弁護士・司法書士・家庭裁判所等へ確認してください。行政書士へ別の相続書類を依頼中でも三か月の期間は止まりません。
相続登記は行政書士ができますか?
不動産の相続登記申請代理は司法書士法等を確認すべき業務です。行政書士が相続人調査や遺産分割協議書等で関わっても、登記申請は別工程です。2024年4月1日から相続登記は義務化されているため、不動産があれば期限と必要書類を司法書士・法務局へ早めに確認してください。
行政書士へ相続を頼む費用はいくらですか?
日行連の令和7年度報酬額統計では、遺言書起案等の平均76,855円、遺産分割協議書69,752円、相続人・財産調査61,722円ですが、税込・立替金除外の回答統計で全国一律料金ではありません。戸籍等実費、調査範囲、相続人数、財産数、追加業務、登記・税・紛争の他士業費用を分けて見積りを取ります。
遺産分割でもめていても行政書士へ相談できますか?
相続人間で分け方や遺言の有効性などに争いがある場合、行政書士が一方の代理として交渉・紛争解決を行う領域ではありません。協議書の文案作成を先に進めず、弁護士や家庭裁判所の調停等を確認します。争いが解決し全員の合意が確定した後の書類工程は別途切り分けます。
行政書士に相続を依頼すれば相続税申告も終わりますか?
相続税の要否判断、評価、申告書作成、税務相談は税理士の業務です。行政書士が相続関係や財産資料を整理しても、相続税申告が完了するわけではありません。申告が必要な場合は死亡を知った日の翌日から十か月以内が期限のため、税理士・税務署へ早めに確認します。
この記事の参照元
法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。
- e-Gov法令検索 行政書士法確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本行政書士会連合会 遺言・相続確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本行政書士会連合会 行政書士の業務確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 裁判所 相続の放棄の申述確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 裁判所 遺産分割調停確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 法務省 相続登記の申請義務化確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 法務局 法定相続情報証明制度確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 法務省 自筆証書遺言書保管制度確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 国税庁 相続税の申告書の提出期限確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本行政書士会連合会 令和7年度報酬額統計調査結果確認日 2026年8月2日別画面で開く