資格・キャリア2026年度試験対応
行政書士と司法書士の違い|試験・仕事・難易度・選び方を比較
行政書士と司法書士は、どちらも書類と法律を扱う国家資格ですが、中心業務は異なります。行政書士は官公署への許認可等や権利義務・事実証明に関する書類、司法書士は登記・供託、法務局・裁判所提出書類などが中心です。『書類を作る資格』という共通点だけで選ばず、試験形式、登録後の業務、追加認定の範囲まで分けて比較します。
- 公開日
- 2026年8月2日
- 更新日
- 2026年8月2日
- 読了目安
- 約24分
- 法令基準日
- 2026年4月1日

許認可・行政手続、契約書等の権利義務・事実証明書類を仕事の軸にしたいなら行政書士、不動産・会社の登記、供託、裁判所提出書類を軸にしたいなら司法書士が目的に近い資格です。行政書士試験は60題・3時間の筆記試験で、法令等・基礎知識・総得点の三基準を満たします。司法書士試験は午前・午後の多肢択一式と不動産登記・商業登記の記述式に加えて口述試験があり、各区分の基準点と総合点で判定されます。試験構造から司法書士の方が範囲と記述処理の負荷は大きいと推測できますが、公的な標準学習時間はありません。先に使う業務から選んでください。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 行政書士は許認可・行政手続、司法書士は登記・供託が法定業務の中心
- 司法書士試験は午前・午後の択一、登記記述、口述まであり、行政書士とは判定構造が違う
- 特定行政書士と認定司法書士は、追加要件も扱える手続も別で、名称だけでは比較できない
- 共通する民法・商法等は活かせるが、行政法と登記法は別に積み上げる必要がある
01結論:行政への申請か、登記・裁判所書類かで選ぶ
行政書士と司法書士の違いは、どの役所へ書類を出すかだけではありません。行政書士は、官公署へ提出する許認可等の書類、権利義務・事実証明に関する書類の作成と、法令の範囲で提出手続・相談などを行います。司法書士は、登記・供託手続の代理、法務局へ提出する書類、裁判所・検察庁へ提出する書類の作成などを行います。
会社設立や相続では両資格の仕事が同じ案件に現れます。たとえば会社の定款や事業許認可と会社設立登記、遺産分割協議書の作成支援と相続登記は、依頼者から見ると一続きです。しかし、資格ごとの業務は別の法律で定められ、行政書士資格だけで登記申請代理を行えるわけではありません。
選ぶときは、合格率や年収ランキングより、資格取得後にどの工程を担当したいかを決めます。事業者の許認可、行政との手続、在留・自動車・契約などに関わりたいなら行政書士が近く、不動産・会社の権利変動を登記へ反映し、裁判所提出書類や一定の裁判業務へ関わりたいなら司法書士が近い選択です。
02どちらも名称独占・業務規制があり、合格後に登録が必要
行政書士は行政書士法、司法書士は司法書士法に基づく資格です。試験に合格しただけで、その日から有償で法定業務を始められるわけではありません。行政書士は日本行政書士会連合会の行政書士名簿、司法書士は日本司法書士会連合会の司法書士名簿への登録など、それぞれの手続が必要です。
2026年4月1日現在、日本行政書士会連合会の公表会員数は54,186人、日本司法書士会連合会の全国会員数は23,505人です。人数の差は業務需要、収入、合格難易度を直接示すものではありません。制度の歴史、登録者の働き方、資格間の兼業などが異なるため、資格選びの優劣には使いません。
両資格とも、他の法律で制限される業務まで名称を変えて扱えるわけではありません。依頼者の目的が複数資格にまたがる場合は、工程を分け、適切な専門家と連携します。ダブルライセンスを取っても弁護士・税理士・社会保険労務士などの業務が自動的に加わるわけではありません。
| 比較 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 行政書士法 | 司法書士法 |
| 中心領域 | 行政手続、許認可、権利義務・事実証明書類等 | 登記、供託、法務局・裁判所提出書類等 |
| 試験実施 | 都道府県知事の委任を受けた行政書士試験研究センター | 法務省 |
| 業務開始 | 日行連の行政書士名簿への登録等 | 日司連の司法書士名簿への登録等 |
| 公表会員数 | 54,186人(2026年4月1日) | 23,505人(2026年4月1日) |
| 会員数の意味 | 登録会員数であり年収・難易度ではない | 登録会員数であり年収・難易度ではない |
03行政書士は、許認可と権利義務・事実証明書類が中心
行政書士法1条の3は、官公署に提出する書類、その作成に代わる電磁的記録、その他権利義務または事実証明に関する書類の作成を業務として定めます。さらに1条の4は、作成できる官公署提出書類の提出手続や許認可等に関する手続、書類作成の相談などを定めています。
実務分野には、建設業や飲食店などの事業許認可、在留関係、自動車登録、法人・事業支援、契約書、相続・遺言、事実証明などがあります。行政書士は依頼者の事実を聞き、要件を確認し、資料をそろえ、提出後の補正と期限を管理します。単なる清書ではありません。
ただし、行政書士法には『他の法律に別段の定めがある場合』の境界があります。登記、税務申告、労働社会保険、訴訟代理などはそれぞれの根拠法を確認します。行政書士の業務範囲は広いものの、役所へ出す書類なら何でもできるという意味ではありません。
| 業務群 | 例 | 確認する境界 |
|---|---|---|
| 官公署提出書類 | 事業許認可、届出、自動車・在留関連等 | 個別法令、他士業法、提出取次要件 |
| 権利義務書類 | 契約書、合意書、遺産分割協議書等 | 紛争性、代理交渉、登記・税務 |
| 事実証明書類 | 調査資料、証明資料、図面類等 | 根拠事実と調査方法 |
| 提出手続・相談 | 行政庁への提出、補正、作成相談 | 委任範囲と行政書士が作成できる書類か |
| 不服申立て | 対象許認可等の審査請求等 | 特定行政書士の研修修了と対象範囲 |
04司法書士は、登記・供託と法務局・裁判所書類が中心
司法書士法3条は、登記または供託に関する手続の代理、法務局・地方法務局に提出・提供する書類や電磁的記録の作成、登記・供託に関する審査請求手続の代理、裁判所・検察庁へ提出する書類の作成などを定めています。日本司法書士会連合会も、不動産登記、商業・法人登記、供託、裁判書類作成などを主要業務として案内しています。
不動産売買や相続では、所有権移転登記、相続登記、抵当権設定・抹消など、権利関係を登記記録へ反映する仕事があります。会社関係では設立、役員変更、本店移転、増資、解散などの商業・法人登記を扱います。登記は申請書を作るだけでなく、原因となる法律関係と添付情報を確認する仕事です。
裁判関係では、裁判所へ提出する書類の作成などが業務に含まれます。さらに、所定の研修を修了して法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所における訴額140万円以下の一定の訴訟、民事調停、裁判外和解などの代理・相談を扱えます。すべての司法書士が、すべての裁判で代理人になれるわけではありません。
| 業務群 | 例 | 範囲の注意 |
|---|---|---|
| 不動産登記 | 売買、相続、抵当権等 | 原因関係・添付情報・本人確認 |
| 商業・法人登記 | 設立、役員変更、本店移転等 | 会社法・商業登記法の要件 |
| 供託 | 供託手続の代理等 | 供託原因と手続要件 |
| 裁判所等提出書類 | 訴状・申立書等の作成 | 代理権とは別に考える |
| 簡裁訴訟代理等 | 訴額140万円以下の一定事件 | 法務大臣認定を受けた司法書士に限定 |
| 成年後見等 | 家庭裁判所から選任される後見人等 | 個別選任・職務範囲を確認 |
05会社設立と相続では、同じ案件を工程ごとに分担する
会社設立を例にすると、事業目的や許認可を見据えた定款等の作成支援と、会社・法人の設立登記は同じゴールへ向かう別工程です。行政書士が許認可や作成可能な書類を担い、司法書士が登記申請を担う連携が考えられます。税務届出や労働社会保険も加わる場合は、税理士・社会保険労務士などの範囲を確認します。
相続でも、相続人・財産の調査、遺産分割協議書等の作成支援、相続登記、相続税申告、紛争対応は根拠法が異なります。依頼者から見れば『相続手続』一つでも、資格者側は業務を分ける必要があります。行政書士と司法書士のどちらが上位という関係ではなく、担当する法的手続が違います。
資格選びでは、連携案件のどちら側を自分の軸にしたいかを考えます。許認可や行政庁との手続を入口に事業・生活を支援したいのか、登記を通じて権利関係を公示し取引の安全を支えたいのかで、日々読む法令も必要な実務も変わります。

| 依頼 | 行政書士が関わり得る工程 | 司法書士が関わり得る工程 | さらに確認する専門領域 |
|---|---|---|---|
| 会社設立 | 定款等、事業許認可 | 会社・法人登記 | 税務、労働社会保険 |
| 相続 | 遺言・遺産分割協議書等 | 相続登記、裁判所書類等 | 相続税、紛争 |
| 不動産事業 | 宅建業等の許認可 | 所有権・担保等の登記 | 税務、土地表示登記 |
| 法人変更 | 許認可の変更届、関連書類 | 役員・本店・目的等の登記 | 税務・社保の変更 |
| 事業承継 | 許認可・契約等を個別確認 | 株式・役員・組織再編登記等 | 税務・紛争・評価 |
06行政書士は3時間の筆記、司法書士は5時間の筆記と口述
2026年度行政書士試験は11月8日の13時から16時まで、3時間の筆記試験です。法令等46題と基礎知識14題の合計60題で、法令等は択一式・多肢選択式・40字程度の記述式、基礎知識は択一式です。年齢、学歴、国籍等に関係なく受験できます。
司法書士試験の筆記は午前の部2時間と午後の部3時間です。午前・午後に各35問の多肢択一式があり、午後には不動産登記法と商業登記法の記述式2問があります。2024年度以降、記述式は2問140点満点です。筆記試験合格者は口述試験へ進みます。
試験時間の長さだけで難易度を決めることはできませんが、司法書士は午前と午後の択一、登記の記述、口述という複数段階へ対応する必要があります。行政書士の記述式は40字程度で法的要件と結論を表現し、司法書士の記述式は登記申請情報等を具体的に組み立てます。同じ『記述式』でも練習方法は別です。
| 比較 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 受験資格 | 年齢・学歴・国籍等を問わない | 年齢・性別・学歴等を問わない |
| 筆記時間 | 3時間 | 午前2時間+午後3時間 |
| 択一 | 5肢択一・多肢選択を含む | 午前35問・午後35問の多肢択一 |
| 記述 | 40字程度の記述式3題 | 不動産登記・商業登記の2問、140点 |
| 口述 | なし | 筆記合格者に実施 |
| 法令基準 | 2026年4月1日現在施行法令 | 受験案内の指定を確認 |
07共通科目はあるが、行政法と登記法が大きく分かれる
行政書士試験の法令等は、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学です。行政法は行政法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心とし、試験の得点源になります。基礎知識には行政書士法等、情報通信・個人情報保護、文章理解などがあります。
司法書士試験は、憲法、民法、商法・会社法、刑法に加え、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法などを扱います。民法・会社法と登記法を結び付け、具体的な申請へ落とす力が必要です。
共通する民法、商法・会社法、憲法の学習経験は活かせます。ただし、必要な深さ、出題形式、条文の使い方が同じではありません。行政書士合格後に司法書士へ進む場合も、民法を免除されるわけではなく、登記法・民事手続法と合わせて学び直します。司法書士合格者が行政書士を受ける場合は、行政法と基礎知識を新たな主軸にします。
| 科目群 | 行政書士 | 司法書士 | 学び直しの要点 |
|---|---|---|---|
| 民法 | 択一・40字記述の主要科目 | 択一と登記記述の基礎 | 共通概念を使い、出題形式別に深める |
| 商法・会社法 | 法令等として出題 | 択一・商業登記記述と密接 | 機関・手続と登記を結ぶ |
| 憲法 | 法令等として出題 | 午前択一で出題 | 判例・条文の問われ方を確認 |
| 行政法 | 最大の中心科目 | 主要科目ではない | 行政書士向けに独立して学ぶ |
| 登記法 | 主要科目ではない | 不動産・商業登記が中核 | 司法書士向けに記述まで学ぶ |
| 民事手続・供託・司法書士法 | 主要科目ではない | 司法書士の固有科目群 | 司法書士用教材で積み上げる |
| 基礎知識 | 足切り基準がある14題 | 同じ区分はない | 行政書士用に文章理解等を準備 |
08行政書士は三つの割合基準、司法書士は区分基準と総合点
行政書士試験は300点満点で、法令等が244点、基礎知識が56点です。合格には、法令等で満点の50%以上、基礎知識で40%以上、試験全体で60%以上という三つをすべて満たす必要があります。通常の点数に直すと法令等122点、基礎知識24点、総得点180点です。試験問題の難易度に応じた補正的措置の可能性は試験案内に注記されています。
司法書士試験の筆記は、午前択一、午後択一、記述式の各成績がそれぞれ一定の基準点に達しない場合、その時点で不合格となります。そのうえで総合点の合格点を超える必要があります。基準点と合格点は年度ごとに公表されるため、特定年度の点を将来の固定基準にしません。筆記合格後には口述試験があります。
この違いにより、行政書士は固定割合から科目別の最低線を計画できます。司法書士は各区分を落とさず、さらに総合点を積み上げる必要があります。どちらも一科目だけ得意ならよい試験ではありませんが、足切りの置かれ方と最終判定が異なります。
| 判定 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 科目・区分基準 | 法令等50%以上、基礎知識40%以上 | 午前択一・午後択一・記述に各基準点 |
| 総合基準 | 全体60%以上 | 年度ごとの総合点合格点 |
| 口述 | なし | 筆記合格後に実施 |
| 年度差 | 割合基準が基本、補正措置の注記あり | 基準点・合格点を年度ごとに公表 |
| 計画 | 300点配点から最低線と目標点を置く | 各区分を超え、総合点を積み上げる |
09難易度は司法書士が高いと推測できるが、学習時間の公式値はない
二つの試験について、国や実施機関が『司法書士は行政書士の何倍難しい』『標準学習時間は何時間』と公表しているわけではありません。民間の学習時間は、初学者か、法学学習歴があるか、週何時間勉強するか、合格までの期間をどこまで含むかで大きく変わります。公式値のように固定しないでください。
それでも試験構造から比較はできます。司法書士は11科目前後の法令群、午前・午後70問の択一、不動産登記・商業登記の記述、口述に対応し、択一2区分と記述の基準点、総合点を超える必要があります。行政書士は60題・3時間で、行政法を中心に法令等と基礎知識を学び、40字記述へ対応します。この範囲・段階・記述処理の差から、一般に司法書士の方が長期かつ深い準備を要すると推測できます。
ただし、自分にとっての難しさは目的と基礎で変わります。登記実務経験があり行政法が初めての人、行政書士合格後に会社法が得意な人、法律学習が初めての人では同じ比較になりません。両方の公式問題と科目表を見て、未知の科目数と記述練習量を数える方が、合格率だけで決めるより具体的です。
10合格後の登録先・会・事務所要件を別々に確認する
行政書士試験の合格者が行政書士になるには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録を受けます。申請は所属予定の都道府県行政書士会を経由し、事務所、必要書類、費用、審査日程などを確認します。試験合格と登録は別の手続です。
司法書士も、司法書士となる資格を有する人が日本司法書士会連合会の司法書士名簿への登録を受け、所属する司法書士会へ入会して業務を行います。具体的な登録手続と費用は日司連・所属予定会の最新案内を確認します。行政書士登録が司法書士登録を兼ねることはありません。
ダブルライセンスの場合は二つの登録・会費・研修・職責を管理します。名刺に二資格を並べるだけでなく、案件ごとにどちらの資格で受任し、どの規程と帳簿に基づいて処理するかを明確にします。事務所表示、報酬、職印、情報管理も所属会の規則を確認します。
| 段階 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 合格 | 行政書士となる資格の一つ | 司法書士となる資格の一つ |
| 登録 | 日行連の行政書士名簿 | 日司連の司法書士名簿 |
| 所属会 | 都道府県行政書士会 | 各司法書士会 |
| 追加区分 | 特定行政書士法定研修等 | 簡裁訴訟代理等能力認定等 |
| 二資格保有 | 各制度の登録・義務を別に管理 | 各制度の登録・義務を別に管理 |
11特定行政書士と認定司法書士は、対象手続がまったく違う
特定行政書士は、日行連が実施する特定行政書士法定研修の課程を修了した行政書士です。行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等について、行政庁への審査請求、再調査の請求、再審査請求などを代理し、その書類を作成します。2026年改正で、行政書士が実際に作成した書類に限る構造から、作成することができる書類に係る許認可等へ対象が広がりました。
認定司法書士は、所定の研修を修了し、法務大臣の認定を受けた司法書士です。簡易裁判所における訴額140万円以下の一定の訴訟、民事調停、仲裁、裁判外和解などの代理・相談を扱えます。地方裁判所以上の訴訟を同じ資格で一般に代理できるという意味ではありません。
両者の共通点は、基本資格の登録だけで自動的に追加業務が付くわけではないことです。違いは提出先と手続で、特定行政書士は行政庁への対象不服申立て、認定司法書士は簡易裁判所の一定事件等です。『不服』『代理』という語だけで同じ業務と考えないでください。
| 比較 | 特定行政書士 | 認定司法書士 |
|---|---|---|
| 前提 | 行政書士登録+法定研修修了 | 司法書士登録+研修・法務大臣認定 |
| 主な提出先 | 行政庁 | 簡易裁判所等 |
| 中心手続 | 対象許認可等の審査請求等 | 訴額140万円以下の一定事件等 |
| 範囲外の例 | あらゆる訴訟・法律事件ではない | すべての裁判・金額の事件ではない |
| 共通注意 | 他法令による制限と個別要件を確認 | 他法令による制限と個別要件を確認 |
12ダブルライセンスは、案件の工程をつなげるときに生きる
行政書士と司法書士の両資格があれば、許認可・契約等と登記が連続する案件で、担当できる工程が広がります。会社設立後の許認可、相続書類と相続登記、不動産事業の許認可と登記などが接点です。依頼者が複数の専門家を探す負担を減らせる可能性があります。
しかし、資格が二つあれば依頼が自動的に増えるわけではありません。どの顧客のどの問題を一貫して支援するか、二資格の登録・会費・研修・システムを維持できるか、利益相反や職責をどう管理するかが必要です。専門分野が定まらないまま資格数だけ増やすと、実務経験が薄くなることもあります。
また、ダブルライセンスでも弁護士・税理士・社会保険労務士・土地家屋調査士などの業務は加わりません。相続や不動産ではさらに別資格が関係します。二資格で完結させることを目標にせず、依頼者の問題を適切な専門家へ切れ目なくつなぐ設計にします。
13許認可・行政法・依頼者との事業支援が軸なら行政書士
行政書士を先に選びやすいのは、官公署への許認可申請、行政庁との手続、在留、自動車、契約・事実証明などへ関心がある人です。前職が建設、運送、飲食、外国人雇用、総務、自治体関連などで、業界知識を使える場合も業務像を具体化しやすくなります。
試験では行政法が中心です。行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を学ぶことに抵抗がなく、民法の事例と40字記述にも取り組めるかを確認します。基礎知識には足切りがあるため、法律だけに偏らない学習が必要です。
受験前に、行政書士試験の公式案内と行政書士法の業務規定を読みます。仕事内容に関心が持てても、試験科目を継続できるとは限りません。当サイトの行政法・民法の○×問題を各10問解き、根拠へ戻る学習を続けられるか確かめてください。
- 行政庁への許認可・届出を仕事の軸にしたい
- 前職・地域・言語などを事業支援へ活かしたい
- 行政法を中心に、民法・基礎知識まで学べる
- 依頼者から事実を聞き、期限と資料を管理する仕事に関心がある
14登記・会社法・権利変動の正確な公示が軸なら司法書士
司法書士を先に選びやすいのは、不動産登記、商業・法人登記、供託、裁判所提出書類へ関心がある人です。不動産取引、金融、相続、会社法務などで、権利関係を登記へ正確に反映する仕事をしたい場合に目的が合います。
試験では民法・会社法の理解に加え、不動産登記法・商業登記法を択一と記述で処理します。午前2時間、午後3時間の筆記と口述へ対応する長期計画が必要です。行政書士の学習経験があっても、登記申請の記述は新しい技能として練習します。
司法書士の仕事内容と公式試験案内を読み、登記記述の問題形式を確認します。難しい資格だから価値が高いという抽象的な理由では、長期学習を続けにくくなります。合格後に扱いたい登記や裁判書類の場面を一つ選び、そこから逆算してください。
- 不動産・会社の登記を仕事の中心にしたい
- 権利変動と公示の正確性に関心がある
- 登記法と記述式を含む長期学習を継続できる
- 裁判所提出書類や成年後見等の業務にも関心がある
15両方を目指すなら、試験日ではなく使う資格を先にする
行政書士と司法書士の両方を目指す場合、共通科目があるから同時に始めるより、最初の合格目標を一つに固定した方が計画しやすくなります。行政書士は例年11月、司法書士筆記は夏ですが、試験日の間隔だけで二試験を完成させるのは困難です。固有科目の行政法・基礎知識と、登記法・民事手続法・登記記述が大きいからです。
行政書士を先にするなら、行政法を主軸に民法・会社法の基礎を作り、合格後に民法・会社法を司法書士の深さへ広げ、登記法を新規に積みます。司法書士を先にするなら、民法・会社法の強みを活かしつつ、行政書士では行政法と基礎知識を新たな主軸にします。どちらでも共通科目の免除はありません。
取得順は、難易度の低い方を自動的に先にするのではなく、1〜2年以内に使う業務で決めます。転職や開業で行政許認可が先なら行政書士、登記事務所への転職や登記業務が先なら司法書士です。使う場面が明確な資格ほど、学習内容と実務情報がつながります。
| 状況 | 先に検討する資格 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業許認可・在留・契約支援を早く使う | 行政書士 | 行政手続の業務へ直接つながる |
| 登記事務所・不動産登記へ進む | 司法書士 | 登記法と記述を早く積む必要がある |
| 行政書士受験を既に継続中 | 行政書士を完了 | 固有科目の学習を分散させない |
| 司法書士の登記記述まで進んでいる | 司法書士を完了 | 高負荷の技能を中断しない |
| 仕事の目的が未定 | 業務見学・公式問題を先に確認 | 資格数ではなく使う工程を決める |
16今日やること:二つの公式業務ページと試験形式を1枚で比べる
最初に、日本行政書士会連合会の行政書士の業務と、日本司法書士会連合会の司法書士の業務を読みます。興味を持った業務を各三つ書き、行政庁、法務局、裁判所のどこへつながるか分類します。両方に興味がある場合は、1年以内に使う可能性が高い方へ丸を付けます。
次に2026年度の試験案内を比べ、未知の科目、記述形式、試験時間、合格判定を記録します。民間の標準勉強時間を先に置かず、公式問題を少量見て、何を学び直す必要があるか数えます。行政書士を候補に残すなら、行政法と民法の○×問題を解きます。
資格選びは、どちらが上かを決める作業ではありません。自分が担いたい手続へ最短で進む資格を選ぶ作業です。行政書士を先にすると決めたら、2026年度の試験日と法令基準日を確認し、今週の学習科目を行政法から固定してください。
よくある質問
行政書士と司法書士の一番大きな違いは何ですか?
行政書士は官公署への許認可等、権利義務・事実証明に関する書類と関連手続が中心です。司法書士は不動産・会社等の登記、供託、法務局・裁判所提出書類が中心です。同じ会社設立や相続でも、担当する工程と根拠法が違います。
行政書士と司法書士はどちらが難しいですか?
公的機関は難易度の倍率や標準学習時間を公表していません。ただし司法書士は午前・午後70問の択一、登記記述2問、口述があり、各区分基準と総合点を超える構造なので、公式試験形式からは行政書士より広く深い準備が必要と推測できます。
行政書士は不動産登記や会社登記ができますか?
不動産・商業法人の登記申請代理は司法書士法などで確認すべき業務で、行政書士資格だけで一般に行えるものではありません。行政書士は会社設立や相続の関連書類、許認可等で関わり得ますが、登記工程は司法書士へつなぎます。
特定行政書士と認定司法書士は同じですか?
同じではありません。特定行政書士は対象許認可等について行政庁への不服申立てを扱います。認定司法書士は簡易裁判所における訴額140万円以下の一定事件等を扱います。研修・認定要件、提出先、対象手続が異なります。
行政書士と司法書士はどちらを先に取るべきですか?
許認可・行政手続を先に仕事で使うなら行政書士、登記を先に使うなら司法書士を優先します。共通科目はありますが、行政法・基礎知識と登記法・登記記述の固有部分が大きいため、最初の合格目標を一つに固定する方が学習を管理しやすくなります。
ダブルライセンスなら相続や会社設立を全部一人でできますか?
行政書士と司法書士の二資格で担当できる工程は広がりますが、税務申告、社会保険、紛争、土地の表示登記など別資格・別制度の業務まで自動的に加わりません。案件を工程に分け、必要に応じて税理士、社労士、弁護士、土地家屋調査士などへつなぎます。
この記事の参照元
法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。
- e-Gov法令検索 行政書士法確認日 2026年8月2日別画面で開く
- e-Gov法令検索 司法書士法確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 法務省 令和8年度司法書士試験受験案内書確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 法務省 司法書士試験記述式問題の配点変更確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本行政書士会連合会 行政書士とは確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本司法書士会連合会 司法書士の業務確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本行政書士会連合会 組織概要・沿革確認日 2026年8月2日別画面で開く
- 日本司法書士会連合会 会員数データ確認日 2026年8月2日別画面で開く