基礎知識
行政書士法(業務・登録・懲戒)
登録は日本行政書士会連合会、懲戒は都道府県知事という主体の振り分けが最初の関門です。不服申立ての代理は特定行政書士に限られるがADR代理権はない点、事務所は1か所でも法人は従たる事務所を持てる点で落とします。
要点 8件・確認問題 8問
行政書士の業務の範囲
1条の3第1項の書類作成業務の柱は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の3つである。作成に代えて電磁的記録を作成する場合の当該電磁的記録も含まれる。「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」という3要件を欠く行為は同条の業務にあたらない。自己の書類を作成することや、無報酬で1回限り作成することは業務にあたらない。他の法律で制限されている書類は作成できない(同2項)。
覚え方官公署・権利義務・事実証明の三本柱。他人・報酬・業としての三要件
01重要暗記項目
行政書士の業務の範囲
1条の3第1項の書類作成業務の柱は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の3つである。作成に代えて電磁的記録を作成する場合の当該電磁的記録も含まれる。「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」という3要件を欠く行為は同条の業務にあたらない。自己の書類を作成することや、無報酬で1回限り作成することは業務にあたらない。他の法律で制限されている書類は作成できない(同2項)。
ひっかけ注意無報酬で行う書類作成も業務にあたるとする誤りが狙われる。報酬を得ることが要件である。
行政書士の登録の手続
行政書士となるには行政書士名簿に住所・氏名・生年月日・事務所の名称および所在地等の登録を受けなければならず、名簿は日本行政書士会連合会に備えられ、登録も連合会が行う(6条)。申請は事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会を経由して連合会に対して行う(6条の2第1項)。連合会は資格と適格性を審査し、登録を拒否しようとするときは資格審査会の議決に基づき、あらかじめ申請者に弁明の機会を与えなければならない。登録したときは行政書士証票を交付する。
ひっかけ注意登録の主体を都道府県知事や都道府県行政書士会とする誤りが定番。登録するのは日本行政書士会連合会である。
行政書士に対する懲戒
行政書士が行政書士法もしくはこれに基づく命令・規則その他都道府県知事の処分に違反したとき、または行政書士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、都道府県知事が懲戒処分をする(14条)。処分の種類は戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3つである。懲戒権者は日本行政書士会連合会でも総務大臣でもなく都道府県知事である点が要点となる。都道府県知事は処分をしたときは遅滞なくその旨を当該都道府県の公報をもって公告しなければならない(14条の5)。
ひっかけ注意懲戒権者を日本行政書士会連合会や総務大臣とする誤りが定番。都道府県知事が処分する。
行政書士でない者の業務制限
行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として1条の3に規定する業務を行うことができない(19条1項本文)。ただし他の法律に別段の定めがある場合のほか、定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、相当の経験または能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は除かれる(同項ただし書)。あわせて19条の2は、行政書士でない者が行政書士またはこれと紛らわしい名称を用いることを禁じている。
ひっかけ注意無償で書類を作成する行為も19条違反になるとする誤りが狙われる。報酬を得て業として行うことが要件である。
行政書士法の使命と職責
令和7年法律第65号(2026年1月1日施行)により条ずれが生じ、1条が「使命」、1条の2が「職責」、1条の3が「業務」、1条の4が「代理等の業務」となった。1条は、行政書士が業務を通じて行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命とする。1条の2は品位の保持と法令・実務への精通に加え、デジタル社会の進展を踏まえた情報通信技術の活用の努力義務を定める。
ひっかけ注意1条を「目的」規定とする記述、および使命と職責を同一の条文とする記述が誤りとして出る。両者は別条である。
行政書士法人の設立と社員
行政書士法人は1条の3および1条の4第1項(2号を除く)の業務を行うことを目的として行政書士が設立する法人である(13条の3)。社員は行政書士に限られ、競業が禁止される。各事務所にはその事務所の所在する都道府県の行政書士会の会員である社員を常駐させなければならない。解散事由は、定款に定める理由の発生、総社員の同意、他の行政書士法人との合併、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判、懲戒による解散処分、社員の欠亡の7つである。社員が1人になっても直ちには解散しない。
ひっかけ注意社員が1人になれば直ちに解散するとする誤りが狙われる。解散事由は社員の「欠亡」であり、1人でも存続する。
特定行政書士の不服申立て代理
1条の4第1項が定める代理等の業務は、1号(官公署への提出手続および聴聞・弁明の機会の付与等の意見陳述手続の代理)、2号(審査請求・再調査の請求・再審査請求等の不服申立ての代理およびその手続についての書類作成)、3号(契約その他に関する書類を代理人として作成すること)、4号(書類の作成についての相談)の4類型である。このうち特定行政書士に限定されるのは2号だけであり、他の3類型は一般の行政書士も行える(同2項)。特定行政書士とは日本行政書士会連合会の会則で定める研修課程を修了した行政書士をいう。
ひっかけ注意1条の4の業務すべてが特定行政書士に限られるとする誤りが定番。限定されるのは2号のみである。
行政書士となる資格と欠格事由
2条の資格者は、行政書士試験に合格した者、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者、国または地方公共団体の公務員等として行政事務を通算20年以上(高等学校卒業者等は17年以上)担当した者である。司法書士・社会保険労務士・土地家屋調査士は無試験で資格を得られない。2条の2の欠格事由には未成年者、破産して復権を得ない者、拘禁刑以上の刑の執行終了等から3年を経過しない者などがあり「3年」が繰り返し登場する。
ひっかけ注意司法書士や社会保険労務士も無試験で行政書士となれるとする誤りが定番。2条に列挙されていない。
02正誤を分ける確認順
- 1主体を仕分ける。登録は日本行政書士会連合会、懲戒は都道府県知事、試験事務は都道府県知事(指定試験機関に委任可)
- 2業務なら他士業の独占業務に触れないかを確認する。訴訟書類は弁護士、登記申請書は司法書士、税務書類は税理士の独占
- 3不服申立ての代理かを見る。自ら作成できる書類に係る許認可等の審査請求等の代理は、特定行政書士に限られる
03覚える数値
- 帳簿の保存 帳簿閉鎖の時から2年
- 業務の停止 2年以内
- 欠格事由・登録取消し後 3年
- 登録申請から3か月で拒否されたものとみなす
04本試験の引っかけ
- 特定行政書士に裁判外紛争解決手続の代理権があるとする肢。ADRの代理権は認められていない
- 行政書士法人も事務所は1か所に限られるとする肢。法人は従たる事務所を設けられる
- 守秘義務は廃業により消滅するとする肢。従業者でなくなった後も存続する
06一次情報
- 根拠
- 行政書士法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
行政書士法(業務・登録・懲戒)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
基礎知識重要度 S頻出度 12/24(編集部の目安)
行政書士の業務の範囲
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類のほか、権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とし、その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録の作成も業とする。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。