商法・会社法
株式会社の設立・株式と株主総会
定款の絶対的記載事項5つに発行可能株式総数を紛れ込ませる肢が定番です。特別決議の定足数は定款でも3分の1未満に下げられない点、譲渡制限違反の株式譲渡が当事者間では有効という相対的無効説も要点になります。
要点 8件・確認問題 8問
株主総会の決議要件
普通決議は議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で成立し(309条1項)、定足数は定款で完全に排除できる。特別決議は定足数を定款で3分の1未満に下げることができず、出席株主の議決権の3分の2以上を要する(同2項)。全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更等は、株主の半数以上かつ議決権の3分の2以上による特殊決議である(同3項)。
覚え方普通は過半数、特別は三分の一の定足数と三分の二、特殊は頭数まで数える
01重要暗記項目
株主総会の決議要件
普通決議は議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で成立し(309条1項)、定足数は定款で完全に排除できる。特別決議は定足数を定款で3分の1未満に下げることができず、出席株主の議決権の3分の2以上を要する(同2項)。全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更等は、株主の半数以上かつ議決権の3分の2以上による特殊決議である(同3項)。
ひっかけ注意特別決議の定足数も定款で完全に排除できるとする誤りが狙われる。3分の1未満に下げることはできない。
株主総会の決議の瑕疵
決議取消しの訴え(831条1項)の取消事由は、招集手続または決議方法の法令・定款違反もしくは著しい不公正、決議内容の定款違反、特別の利害関係を有する者の議決権行使による著しく不当な決議の3つで、提訴期間は決議の日から3箇月である。違反する事実が重大でなく決議に影響を及ぼさないときは裁量棄却が認められる(同2項)。決議内容の法令違反は無効確認の訴え、決議の不存在は不存在確認の訴えによる(830条)。
ひっかけ注意決議内容が法令に違反する場合も取消事由とする誤りが定番。内容の法令違反は無効事由であり期間制限がない。
株主総会の権限
取締役会を設置しない株式会社の株主総会は、会社法に規定する事項および株式会社の組織・運営・管理その他一切の事項について決議できる万能の意思決定機関である(295条1項)。これに対し取締役会設置会社の株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り決議できる(同2項)。法律により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役や取締役会その他の機関が決定できる旨の定款の定めは効力を有しない(同3項)。取締役会設置会社では招集の際に定めた目的事項以外は決議できない(309条5項)。
ひっかけ注意取締役会設置会社でも株主総会が一切の事項を決議できるとする誤りが狙われる。権限は限定されている。
株主総会の招集手続
招集通知は原則として株主総会の日の2週間前までに発しなければならない(会社法299条1項)。公開会社でない株式会社では1週間前までに短縮され、取締役会を設置しない非公開会社では定款でさらに短縮できる。ただし書面投票または電子投票を定めた場合は、非公開会社でも2週間前までとなる。取締役会設置会社では招集通知を書面(または承諾を得た電磁的方法)でしなければならない(同2項・3項)。株主全員の同意があれば招集手続を省略できるが、書面投票等を定めた場合は省略できない(300条)。
ひっかけ注意非公開会社では常に1週間前でよいとする誤りが狙われる。書面投票・電子投票を定めた場合は2週間前が必要である。
株主総会の議決権
株主は1株につき1個の議決権を有するのが原則で、単元株式数を定めた場合は1単元につき1個となる(会社法308条1項)。株式会社が有する自己株式には議決権がなく(同2項)、議決権制限株式は定款で定めた事項についてのみ議決権を有する。会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有するなど経営を実質的に支配することが可能な関係にある相互保有株式にも議決権がない(同1項括弧書)。議決権は代理人によって行使でき、代理権の授与は株主総会ごとにしなければならない(310条2項)。
ひっかけ注意自己株式にも議決権があるとする誤り、および代理権の授与を包括的にできるとする誤りが狙われる。
持分会社の特徴
持分会社は、全社員が無限責任社員である合名会社、無限責任社員と有限責任社員からなる合資会社、全社員が有限責任社員である合同会社に分かれる(会社法576条)。社員は定款に別段の定めがある場合を除き全員が業務を執行する(590条1項)。定款の変更には総社員の同意を要する(637条)。持分の譲渡には他の社員全員の承諾が必要だが、業務を執行しない有限責任社員の持分譲渡は業務を執行する社員全員の承諾で足りる(585条)。持分会社の定款には公証人の認証が不要である。
ひっかけ注意合同会社の社員が全員無限責任を負うとする誤り、および持分会社の定款にも認証が必要とする誤りが狙われる。
変態設立事項と検査役の調査
変態設立事項は、現物出資、財産引受け、発起人が受ける報酬その他の特別の利益、株式会社が負担する設立に関する費用の4つで、定款に記載または記録しなければ効力を生じない(会社法28条)。現物出資・財産引受けについては原則として裁判所の選任する検査役の調査を要するが、定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合、市場価格のある有価証券で定款価額が市場価格以下の場合、弁護士・公認会計士・税理士等の証明(不動産は不動産鑑定士の鑑定評価も必要)を受けた場合は不要である(33条10項)。
ひっかけ注意検査役の調査が不要となる金額を「500万円以上」とする誤りが狙われる。正しくは500万円を超えない場合である。
株式譲渡自由の原則
株主はその有する株式を譲渡することができるのが原則である(会社法127条)。定款による譲渡制限に反してされた譲渡について、最判昭和48年6月15日は、会社に対する関係では効力を生じないが譲渡の当事者間では有効であるとした(相対的無効説)。したがって譲受人は会社に対して名義書換を請求できず、会社は譲渡人を株主として扱えば足りるが、譲渡人は譲受人に対して株主の地位を移転する義務を負う。権利株の譲渡や株券発行前の譲渡も会社に対抗できない(35条・128条2項)。
ひっかけ注意譲渡制限に反する譲渡が当事者間でも無効とする誤りが定番。判例は相対的無効説を採る。
02正誤を分ける確認順
- 1設立方法を分ける。募集設立では創立総会が要り、現物出資等の価額不足について発起人の過失免責が認められない
- 2定款の記載事項を仕分ける。絶対的記載事項は目的・商号・本店の所在地・出資される財産の価額または最低額・発起人の氏名等の5つ
- 3総会の決議なら要件を当てはめる。普通決議は定款で定足数を排除できるが、特別決議は3分の1未満にできない
03覚える数値
- 変態設立事項の検査役調査 総額500万円以下なら不要
- 招集通知 2週間前(公開会社でない会社は1週間前)
- 決議取消しの訴え 決議の日から3か月
04本試験の引っかけ
- 発行可能株式総数を定款の絶対的記載事項に含める肢。成立の時までに発起人全員の同意で定めればよい
- 譲渡制限に反する株式譲渡が当事者間でも無効とする肢。会社に対する関係で効力を生じないだけである
- 特別決議の定足数を定款で完全に排除できるとする肢。3分の1未満には下げられない
05おさえる判例
譲渡制限株式の譲渡最判昭和48年6月15日
定款による譲渡制限に反する譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間では有効である
06一次情報
- 根拠
- 会社法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
株式会社の設立・株式と株主総会の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
商法・会社法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)
株主総会の決議要件
定款の変更や事業の全部の譲渡などの特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行われる。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。