2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

商法・会社法

取締役・取締役会と役員の責任

429条の悪意・重過失は「職務を行うにつき」必要なのであって、第三者への加害についてではありません。競業取引で得た利益は損害額と「推定」されるだけで「みなす」ではない点も、条文の言葉づかいで狙われます。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

取締役会の決議

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その出席した取締役の過半数をもって行う。定款でこれを上回る割合に加重できるが軽減はできない(会社法369条1項)。決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができず(同2項)、解職の対象となる代表取締役や利益相反取引の当事者である取締役がこれにあたる。取締役会の議事録に異議をとどめない取締役は決議に賛成したものと推定される(同5項)。取締役は代理人によって議決権を行使できない。

覚え方頭数の過半数の過半数。代理出席も書面投票もできない

01重要暗記項目

01
重要度 A

取締役会の決議

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その出席した取締役の過半数をもって行う。定款でこれを上回る割合に加重できるが軽減はできない(会社法369条1項)。決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができず(同2項)、解職の対象となる代表取締役や利益相反取引の当事者である取締役がこれにあたる。取締役会の議事録に異議をとどめない取締役は決議に賛成したものと推定される(同5項)。取締役は代理人によって議決権を行使できない。

ひっかけ注意取締役会でも議決権の代理行使ができるとする誤りが定番。取締役の職務は個人的信頼に基づくため代理は認められない。

02
重要度 S

取締役の競業取引と利益相反取引

競業取引と利益相反取引(直接取引・間接取引)をしようとする取締役は、重要な事実を開示して株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の承認を受けなければならない(356条1項・365条1項)。取締役会設置会社では取引後遅滞なく取締役会に報告する義務もある。承認を欠く競業取引では取締役等が得た利益の額が会社の損害額と推定され(423条2項)、利益相反取引で会社に損害が生じたときは関与した取締役の任務懈怠が推定される(同3項)。

ひっかけ注意承認を得れば損害が生じても責任を負わないとする誤りが狙われる。承認は取引を有効にするだけで責任を免れさせない。

03
重要度 S

役員等の第三者に対する責任

最大判昭和44年11月26日は、会社法429条1項の責任を第三者保護のために特に認められた法定の特別責任と解し、悪意または重過失は職務を行うについて、すなわち任務懈怠について必要であって第三者への加害について必要なのではないとした。同判決は直接損害と間接損害のいずれについても責任が生じ、民法709条の不法行為責任とも競合しうるとする。計算書類等の虚偽記載や虚偽の登記・公告をした場合は、注意を怠らなかったことの証明責任が役員側に転換される(429条2項)。

ひっかけ注意悪意重過失を第三者への加害についてのものとする誤り、および間接損害が対象外とする誤りが狙われる。

04
重要度 A

取締役の任期と資格

取締役の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで、監査役は4年で、いずれも公開会社でない株式会社では定款により10年まで伸長できる(会社法332条2項・336条2項)。監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社では監査等委員・委員でない取締役の任期は1年である。取締役会設置会社では取締役は3人以上でなければならず(331条5項)、取締役が株主でなければならない旨の定款の定めは公開会社では認められない(同2項)。法人は取締役になることができない。

ひっかけ注意監査役の任期も定款で短縮できるとする誤りが狙われる。監査役の任期は伸長はできるが短縮はできない。

05
重要度 A

取締役の善管注意義務と経営判断

取締役と会社の関係は委任に関する規定に従い(会社法330条)、取締役は善管注意義務(民法644条)と法令・定款・株主総会決議の遵守および忠実義務(会社法355条)を負う。最大判昭和45年6月24日は忠実義務を善管注意義務を敷衍し明確にしたにとどまり別個の義務ではないとした。最判平成22年7月15日は、経営判断の過程および内容に著しく不合理な点がない限り善管注意義務違反にあたらないとした。取締役の監視義務は取締役会に上程されない事項にも及ぶ(最判昭和48年5月22日)。

ひっかけ注意監視義務が取締役会に上程された事項に限られるとする誤りが狙われる。判例は上程されない事項にも及ぶとする。

06
重要度 B

発起人の責任

発起人および設立時取締役は、現物出資財産等の価額が定款に記載された価額に著しく不足するときは、会社に対して連帯して不足額を支払う義務を負う(会社法52条1項)。ただし検査役の調査を経た場合、またはその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は免責される(同2項)。もっとも募集設立ではこの過失免責が認められず、責任は無過失責任となる(103条1項)。ほかに任務懈怠による会社への損害賠償責任(53条1項)と、悪意または重過失による第三者への責任(同2項)がある。

ひっかけ注意募集設立でも注意を怠らなかったことの証明で免責されるとする誤りが狙われる。103条1項が過失免責を排除している。

07
重要度 A

株主代表訴訟

株主代表訴訟(責任追及等の訴え)は、6箇月前から引き続き株式を有する株主が提起でき、公開会社でない株式会社ではこの保有期間の要件がない(会社法847条1項・2項)。持株数の要件はなく1株でも提起できる。株主はまず会社に対し書面等で提訴を請求し、会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときに自ら提起できる。60日の経過により会社に回復することができない損害が生じるおそれがあるときは、請求を経ずに直ちに提起できる(同5項)。訴額は財産権上の請求でない請求とみなされる(847条の4)。

ひっかけ注意株主代表訴訟に一定の持株数が必要とする誤りが狙われる。1株でも提起できる。

08
重要度 A

機関設計のルール

すべての株式会社は株主総会と取締役を置かなければならない(会社法326条1項)。取締役会の設置が必要なのは、公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社である(327条1項)。取締役会設置会社は原則として監査役を置かなければならないが、公開会社でない会計参与設置会社は例外である(同2項)。公開会社である大会社は監査役会および会計監査人を置く(328条1項)。大会社とは資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社をいう(2条6号)。

ひっかけ注意大会社の基準を「資本金5億円以上かつ負債200億円以上」とする誤りが狙われる。いずれか一方を満たせば大会社である。

商法・会社法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1機関設計を確認する。公開会社・監査役会設置会社・委員会型は取締役会が必須で、公開会社である大会社は監査役会と会計監査人が要る
  2. 2取締役の行為なら承認の要否を見る。競業取引と利益相反取引は重要な事実を開示して取締役会(非設置なら株主総会)の承認が要る
  3. 3責任追及なら条文を分ける。会社に対する責任は423条、第三者に対する責任は429条で職務を行うにつき悪意・重過失が要る

03覚える数値

取締役の任期 原則2年(監査役4年、公開会社でない会社は10年まで伸長可)
大会社 資本金5億円以上または負債総額200億円以上
株主代表訴訟 提訴請求から60日

04本試験の引っかけ

  • 429条の悪意・重過失を第三者に対する加害についてとする肢。必要なのは任務懈怠についての悪意・重過失である
  • 競業取引で得た利益を会社の損害額と「みなす」とする肢。推定にとどまる
  • 公開会社でない大会社にも監査役会の設置を義務付ける肢。監査役会が必要なのは公開会社である大会社

05おさえる判例

  • 経営判断の原則最判平成22年7月15日

    経営判断の過程および内容に著しく不合理な点がない限り、取締役の善管注意義務違反とはならない

  • 取締役の対第三者責任最大判昭和44年11月26日

    429条1項は第三者保護のための法定の特別責任であり、悪意重過失は任務懈怠について必要で、直接損害・間接損害のいずれにも及ぶ

06一次情報

根拠
会社法
基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

取締役・取締役会と役員の責任の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

商法・会社法重要度 S頻出度 12/24(編集部の目安)

役員等の第三者に対する責任

役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは第三者に対して損害賠償責任を負うが、この責任を追及する第三者は、役員等の自己に対する加害についての故意又は過失を立証しなければならない。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

620問ドリルへ