資格・キャリア2026年度試験対応
公務員は行政書士になれる?特認制度の17年・20年と登録手続
公務員経験が長ければ、誰でも自動的に行政書士になれるわけではありません。行政書士法2条6号は、国・地方公共団体などで行政事務を担当した期間が通算20年以上、一定の学歴要件を満たす人は17年以上であることを資格ルートの一つにしています。年数だけでなく担当事務の中身を公務員職歴証明書で示し、欠格事由と登録審査を通る必要があります。
- 公開日
- 2026年8月2日
- 更新日
- 2026年8月2日
- 読了目安
- 約22分
- 法令基準日
- 2026年4月1日

国や地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間などが通算20年以上ある人は、行政書士法2条6号により行政書士となる資格を得られる可能性があります。高等学校を卒業した人その他学校教育法90条に該当する人は17年以上です。これは全公務員への自動的な試験免除ではなく、対象機関、行政事務の内容、通算期間を公務員職歴証明書で確認する別の資格ルートです。資格要件を満たしても、行政書士として業務を行うには都道府県行政書士会を通じて日行連の名簿登録を受ける必要があります。在職中に開業する場合は国家公務員法・地方公務員法上の兼業制限も別に確認します。
迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます
- 年数は原則20年以上、高校卒業者その他学校教育法90条該当者は17年以上
- 公務員だった期間ではなく、行政事務または行政事務に相当する事務を担当した期間を数える
- 公務員職歴証明書は職務内容が判断できる具体性と任命権者の証明が必要
- 資格の成立、行政書士名簿への登録、在職中の兼業許可はそれぞれ別に判断する
01結論:公務員なら無条件で免除ではなく、行政事務の職歴で資格を判定する
行政書士法2条6号は、一定の公務員等の職歴を行政書士となる資格の一つとして定めています。中心となる条件は、対象となる機関で行政事務または行政事務に相当する事務を担当し、その期間が通算20年以上になることです。学校教育法による高等学校を卒業した人その他同法90条に規定する人は、必要期間が17年以上になります。
一般に公務員特認や試験免除と呼ばれますが、行政書士試験の一部科目が免除される制度ではありません。試験合格とは別に、法2条6号の職歴要件によって行政書士となる資格を有するかを判断するルートです。勤続年数が達した日に行政書士証票が交付される仕組みでもなく、行政書士として業務を始めるには日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録が必要です。
判断で最も重要なのは、在籍していた組織名や職名ではなく、いつ、どの部署で、どのような行政事務を担当したかです。日行連の公務員職歴証明書も、職務内容を行政事務担当内容が判断できるよう具体的に記載するよう求めています。最初に年数を自己計算して結論を出すのではなく、職歴を期間と職務内容に分解し、登録予定の都道府県行政書士会へ事前相談するところから始めます。
02行政書士法2条は、試験合格以外にも六つの資格ルートを置く
行政書士法2条は、行政書士となる資格を有する人を六つに分けています。行政書士試験に合格した人のほか、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士となる資格を有する人、そして所定の公務員等の行政事務経験を有する人です。公務員経験は六番目に並ぶ独立した資格根拠であり、試験合格を前提にした加点制度ではありません。
対象は国または地方公共団体の公務員だけではありません。行政執行法人または特定地方独立行政法人の役員・職員として、行政事務に相当する事務を担当した期間も条文上の対象です。ただし、独立行政法人や地方独立行政法人という名称だけで一律に含まれるのではなく、条文が指定する類型と担当事務を確認します。
資格ルートが違っても、行政書士になった後の基本的な職責と業務範囲が軽くなるわけではありません。行政実務の経験があっても、受任契約、他士業との境界、帳簿、報酬掲示、守秘、会則、専門分野の最新実務は別に学ぶ必要があります。公務員職歴は登録への入口であり、民間から報酬を得て案件を完了させる能力まで自動認定する仕組みではありません。
| 資格の根拠 | 確認する事実 | 名簿登録前の注意 |
|---|---|---|
| 行政書士試験合格 | 合格証等 | 合格後も登録が必要 |
| 弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格 | 各資格を有すること | 登録書類と欠格事由を確認 |
| 公務員等の行政事務経験 | 対象機関、担当事務、通算17年または20年 | 公務員職歴証明書で具体的に証明 |
03必要年数は20年が原則で、高校卒業者等は17年になる
行政書士法2条6号の原則は、対象となる行政事務の担当期間が通算20年以上です。一方、学校教育法による高等学校を卒業した人と、同法90条に規定する人は17年以上です。90条は大学に入学できる者の要件を定める規定であり、条文は大学卒業を17年要件としているわけではありません。高校卒業その他の該当根拠を、卒業証明書など登録先が求める資料で確認します。
17年と20年の差は、総勤続年数ではなく対象事務の通算期間に適用します。たとえば20年間在職していても、行政事務に算入できる期間が途中の15年間だけなら、勤続20年だけを理由に条件を満たしたとはいえません。反対に、複数の対象機関で行政事務を担当した期間は、条文上通算して判断します。
期間の起算日と終了日は、辞令、在職記録、休職記録など客観資料に合わせます。月数や日数の端数を自己判断で切り上げたり、証明書の発令日と実勤務開始日が違うのに説明を省いたりしないことが重要です。申請予定日から逆算するのではなく、証明できる期間を部署ごとに並べて合計します。
| 区分 | 必要な対象期間 | 確認資料 | 誤りやすい読み方 |
|---|---|---|---|
| 高校卒業者その他学校教育法90条該当者 | 通算17年以上 | 学歴を示す資料と職歴証明 | 大学卒業者だけが17年と考える |
| 上記に該当しない人 | 通算20年以上 | 職歴証明 | 公務員の総勤続年数をそのまま使う |
| 複数機関・部署の経験 | 対象期間を通算 | 機関・部署ごとの証明 | 空白や非対象期間まで合算する |
| 休職等の期間 | 実際の職務従事状況を確認 | 証明書に休職等も記載 | 在籍していれば全期間算入すると決める |
04行政事務かどうかは、職名ではなく具体的な職務内容で確認する
法2条6号は、公務員として在職した期間ではなく、行政事務を担当した期間を要件にしています。日行連の公務員職歴証明書は、所属部署、身分・階級等、役職名、発令庁、年月日、職務内容を記載する書式です。備考では、職務内容について行政事務担当内容が判断できるよう具体的に記載するよう求めています。
したがって『一般事務』『係員』『主査』のような職名だけでは、何を担当したかが読み取れません。法令・条例に基づく審査、許認可、届出、契約、予算、徴収、住民記録、内部管理など、実際の担当を事実に沿って説明します。ここで挙げた業務名が自動的に算入対象となるという意味ではなく、最終的には提出資料をもとに登録手続で確認されます。
現場作業、技能、医療、教育、研究、単純な補助などを経験していても、その期間を一律に除外または算入することはできません。同じ職種名でも、行政上の決裁・審査・管理を担当した期間と、それ以外の現場業務を担当した期間が混在することがあります。異動ごとに職務を区切り、境目が不明なら人事担当と登録予定会へ確認します。
| 確認欄 | 記録する内容 | 避けたい記載 |
|---|---|---|
| 所属・期間 | 発令日、異動日、終了日、休職等 | 勤務先名と総年数だけ |
| 役職・身分 | 辞令どおりの正式名称 | 通称だけ |
| 職務内容 | 対象法令、処理内容、判断・決裁・管理の役割 | 一般事務、窓口業務など抽象語だけ |
| 証明者 | 任命権者の官職・氏名 | 本人や元上司の私的な説明だけ |
05国・自治体などの対象期間は通算できるが、空白まで埋めてはいけない
条文は、国・地方公共団体で行政事務を担当した期間と、対象となる行政執行法人・特定地方独立行政法人で行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して所定年数になることを求めています。一つの自治体に17年または20年連続して勤務することだけが条件ではありません。転職や出向があっても、それぞれの対象性と職務内容を証明できれば通算の検討対象になります。
一方、民間企業での総務・法務経験は、仕事内容が行政機関に似ていても、法2条6号が定める対象機関の職歴とは別です。会計年度任用職員、非常勤、派遣、委託、外郭団体なども、名称や勤務場所だけで判断しません。任用関係、身分、所属機関の法的類型、担当事務を資料で確認します。
複数の証明書を用意する場合は、期間の重複と空白を一覧にします。出向元と出向先が同じ期間を二重計上していないか、退職と採用の間を連続期間として扱っていないかを点検します。合計年数を先に作って証明を合わせるのではなく、証明された期間を最後に合計する順序が安全です。
06公務員職歴証明書は、期間だけでなく職務の中身を任命権者に証明してもらう
日行連の新規登録手続ページは、場合によって必要な書類として公務員職歴証明書の所定様式を公開しています。様式には、所属部署、身分・階級等、役職名、発令庁、年月日、職務内容を記載し、任命権者の官職・氏名で証明する欄があります。履歴書や辞令の写しだけを自分で束ねる書類ではありません。
備考は、懲戒免職の処分を受けている場合はその旨を記載し、職務内容は行政事務担当内容が判断できるよう具体的に記載し、休職等で本来の職務に従事していない期間も記入するよう求めています。複数枚になる場合は契印が必要です。登録審査で重要な情報が、年数、担当内容、非従事期間、証明者であることが書式から読み取れます。
退職後に古い職歴を一から復元すると、組織改編、保存期間、担当者変更で確認に時間がかかることがあります。在職中に証明書を勝手に完成させるのではなく、人事担当へ発行手順と必要期間を確認し、登録予定の都道府県行政書士会にも事前相談します。各都道府県行政書士会が追加書類や必要部数を定める場合があるため、日行連様式だけで完結すると決めないでください。

| 項目 | 準備する情報 | 確認先 |
|---|---|---|
| 年月日 | 発令・異動・休職・復職・退職 | 人事記録、辞令 |
| 所属部署・役職 | 当時の正式名称 | 人事担当、組織記録 |
| 職務内容 | 行政事務の担当が判断できる具体的内容 | 職務分掌、当時の記録 |
| 証明 | 任命権者の官職・氏名 | 所属機関の発行窓口 |
| 追加資料 | 学歴、複数機関の証明等 | 登録予定の都道府県行政書士会 |
07退職前は、開業準備より職歴の再現性を確保する
退職前に最優先で行うのは、顧客を探すことではなく、対象職歴を証明できる状態にすることです。異動履歴を時系列にし、各期間の所属、身分、役職、職務内容、休職等を並べます。17年または20年に近い場合は、どの期間が算入される前提かを自分だけで決めず、余裕を持って登録予定会へ相談します。
次に、所属機関の公務員職歴証明書の発行窓口、申請方法、所要日数、退職後の連絡先を確認します。職務分掌や辞令など手元に置けない内部資料を持ち出してはいけません。必要な証明は正式な手続で発行してもらい、個人情報や公文書の取扱規程を守ります。
行政書士として扱いたい分野が前職と関係していても、在職中に得た非公開情報、審査上の内部情報、住民・事業者情報を営業や受任に使うことはできません。公務経験から得た制度理解と、守るべき秘密を分けます。退職後の仕事設計は公開法令、審査基準、正規の研修と自分の実務体制から作ります。
- 異動・休職を含む職歴表を作る
- 職歴証明書の発行窓口と期間を確認する
- 登録予定の都道府県行政書士会へ事前相談する
- 内部資料や個人情報を持ち出さない
08算入が不明な期間は、結論ではなく事実をそろえて相談する
判断が難しいのは、職名と実際の職務が一致しない期間、出向・派遣・非常勤の期間、休職・育児休業等を含む期間、組織改編前の古い職歴などです。インターネット上の体験談で同じ職種が認められたとしても、自分の任用関係と担当事務が同じとは限りません。
相談するときは『この職歴は認められますか』だけでなく、機関の法的類型、任用身分、開始・終了日、部署、職務内容、証明可能な資料を示します。不足している情報が明確になれば、人事担当へ追加確認できます。結論だけを求めるより、登録審査で説明できる形へ整えることが先です。
年数がぎりぎりで証明に疑義がある場合は、試験ルートも比較できます。公務員特認の要件確認と行政書士試験の受験は排他的ではありません。証明手続に必要な時間、試験までの学習時間、退職・登録の時期を並べ、自分にとって確実なルートを選びます。
09在職中の登録・開業は、公務員の兼業制限を別に確認する
法2条6号の職歴要件を満たすことと、在職中に報酬を得て行政書士業務を行えることは別問題です。国家公務員法103条は営利企業の役員兼業や自営を制限し、104条は報酬を得て事業・事務に従事する場合に許可を求めています。2026年4月時点で人事院は、自営兼業について知識・技能を生かした事業等を承認可能とする見直しを案内していますが、承認が不要になったわけではありません。
地方公務員法38条も、任命権者の許可を受けずに自ら営利企業を営み、または報酬を得て事業・事務に従事することを制限しています。許可基準は人事委員会規則や各団体の規程で具体化されるため、国家公務員と地方公務員を同じ手続だと考えないでください。勤務形態による適用関係も所属先へ確認します。
行政書士登録は事務所、会への入会、業務上の義務を伴います。登録だけして受任しない場合でも、所属先の服務規程や登録審査上の確認が不要になるとは限りません。在職中に進めるなら、まず所属機関の人事・服務担当と登録予定の都道府県行政書士会の双方へ、予定する登録属性、事務所、業務内容、時間を具体的に示して確認します。
| 論点 | 国家公務員 | 地方公務員 | 共通する行動 |
|---|---|---|---|
| 自営・有報酬業務 | 国家公務員法103条・104条と人事院規則等 | 地方公務員法38条と各団体の規則 | 開始前に正式な承認・許可の要否を確認 |
| 行政書士資格 | 法2条6号の対象職歴を確認 | 法2条6号の対象職歴を確認 | 職歴証明を準備 |
| 行政書士登録 | 日行連・所属予定会の審査 | 日行連・所属予定会の審査 | 事務所と登録属性を相談 |
| 秘密・利害関係 | 公務上の秘密・信用を守る | 公務上の秘密・信用を守る | 前職情報を営業・案件に流用しない |
10退職後は、資格確認から登録・入会・事務所準備へ順番に進む
退職しただけで行政書士になるわけではありません。まず、公務員職歴証明書と学歴関係資料などで法2条6号の資格を説明できる状態にします。次に、行政書士事務所を設けようとする都道府県の行政書士会を通じ、日行連の行政書士名簿への新規登録を申請します。
日行連は、行政書士登録申請書、履歴書、誓約書、本籍地記載の住民票、身分証明書、顔写真などを案内し、公務員特認の場合に公務員職歴証明書を必要書類として挙げています。戸籍抄本、事務所確認資料など、事情に応じて必要となる書類もあります。都道府県行政書士会が会則で追加書類や必要部数を定める場合があるため、全国共通一覧だけで発送しないことが重要です。
退職直後に業務開始日を広告するのではなく、登録完了、証票等の受領、職印、帳簿、報酬掲示、情報管理、委任契約、専門分野の研修を整えてから受任します。前職で許認可審査をしていたとしても、申請者側の資料収集、報酬説明、本人確認、他士業との境界、納期管理は別の実務です。
11名簿登録では、資格を有することと行政書士としての適格性が審査される
日行連の案内によれば、行政書士となる資格を有する人が行政書士になるには、行政書士名簿への登録を受けなければなりません。登録申請は事務所を設けようとする都道府県行政書士会を通じて行い、その行政書士会への入会も伴います。公務員職歴の年数を満たすことだけで登録手続を省略できません。
行政書士法6条の2は、資格を有するかだけでなく、所定の登録拒否事由に該当しないかを審査する仕組みを置いています。日行連の案内は、心身の故障により業務を行えない場合や、信用・品位を害するおそれがあるなど職責に照らして適格性を欠く場合を挙げています。提出書類へ事実を正確に記載し、疑問点は隠さず事前相談します。
登録の具体的な費用、面談、事務所確認、期間は所属予定会の最新案内を確認します。地域の体験談に書かれた金額や日数を全国共通の制度として使わないでください。開業日や退職後の資金計画には、審査期間が変動し得ることを織り込みます。
| 段階 | 確認すること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 職歴整理 | 対象機関、行政事務、通算期間、学歴区分 | 証明を依頼できる職歴表がある |
| 資格資料 | 公務員職歴証明書、学歴等の資料 | 法2条6号の要件を資料で説明できる |
| 新規登録申請 | 共通書類、追加書類、事務所、欠格・拒否事由 | 所属予定会を経由して申請 |
| 登録・入会 | 日行連名簿、所属会、証票等 | 行政書士としての登録が完了 |
| 業務準備 | 帳簿、報酬、情報管理、契約、研修 | 受任から完了までの手順がある |
12欠格事由は、年数を満たしていても先に確認する
行政書士法2条の2は、法2条の資格ルートに該当しても行政書士となる資格を有しない欠格事由を定めています。日行連の案内は、未成年者、破産手続開始の決定を受け復権を得ない者、一定の刑や懲戒処分等から3年を経過しない者などを挙げています。
公務員経験者に特に関係するのは、公務員として懲戒免職の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない場合です。公務員職歴証明書の備考も、懲戒免職の処分を受けている者についてその旨を記載するよう求めています。証明書から不利な事実を外しても、要件を満たすことにはなりません。
また、欠格事由に当たらなくても、登録申請では行政書士としての適格性に関する審査があります。自分の事情がどの条項に関係するか不明な場合は、期間満了や書類提出を自己判断せず、登録予定会へ事実と日付を示して確認してください。この記事は個別の登録可否を判定するものではありません。
| 確認区分 | 例 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 法2条の2の欠格事由 | 未成年、未復権、一定の刑・懲戒等 | 条文と日行連案内を確認 |
| 公務員の懲戒免職 | 処分日から3年未経過 | 職歴証明へ正確に記載 |
| 登録拒否事由 | 業務不能、信用・品位等の適格性 | 申請前に所属予定会へ相談 |
| 在職中の服務 | 自営・有報酬兼業の承認・許可 | 所属機関の規程と担当窓口を確認 |
13登録後の働き方は、個人開業・法人所属・使用人を分けて選ぶ
公務員特認で登録する人が全員、退職日に個人事務所を開く必要はありません。行政書士には、個人で事務所を設ける働き方、行政書士法人の社員・使用人、行政書士や行政書士法人の使用人として勤務する働き方があります。登録属性によって事務所の扱いと必要書類が変わります。
行政書士法8条は、個人で業務を行う行政書士に事務所を設ける義務を課し、事務所を二以上設けることを禁止しています。一方、使用人である行政書士等は、自分の業務用事務所を設けてはならないとしています。勤務で経験を積みながら自分の個人事務所でも受任する、という組合せを当然にできると考えないでください。
個人開業を選ぶなら、前職の知識が生きる一分野に絞っても、最新法令、審査基準、申請者側の証拠資料、他士業との境界を学び直します。勤務を選ぶなら、扱う分野、レビュー体制、登録費用・会費の負担、雇用契約を確認します。資格を得る道と、実務を安全に始める道を別々に設計します。
14公務員特認で避けたい五つの思い込み
一つ目は、公務員として17年または20年勤めれば足りるという思い込みです。数えるのは行政事務等の対象期間です。二つ目は、大卒なら17年という言い換えです。条文は高校卒業者その他学校教育法90条該当者と定めています。
三つ目は、職歴証明書に部署名と期間だけあれば足りるという思い込みです。日行連様式は職務内容を具体的に書くよう求めています。四つ目は、資格要件を満たせば登録なしで相談料や作成報酬を受け取れるという理解です。行政書士として業務を行うには名簿登録が必要です。
五つ目は、在職中でも勤務時間外なら自由に開業できるという理解です。国家公務員と地方公務員にはそれぞれ兼業制限があり、所属先の承認・許可の要否を確認します。こうした思い込みは、年数、資格、登録、服務を一つの制度として扱うことで生じます。確認表を分ければ防げます。
- 1.総勤続年数ではなく対象となる行政事務期間を数える
- 2.17年要件は条文どおり学歴要件を確認する
- 3.職務内容を具体的に証明する
- 4.資格取得後も名簿登録を受ける
- 5.在職中は別に兼業承認・許可を確認する
15今日やること:異動履歴を一枚にし、二つの窓口へ確認する
最初に、採用から現在または退職までの異動履歴を一枚にします。列は、開始日、終了日、機関、任用身分、部署、役職、職務内容、休職等、証明窓口です。17年または20年の合計欄は最後に置き、証明できる対象期間だけを足します。
次に、所属機関の人事担当へ公務員職歴証明書の発行方法を確認し、行政書士事務所を置く予定地域の都道府県行政書士会へ事前相談します。在職中の登録や業務を予定する場合は、これに所属機関の服務・兼業担当を加えます。口頭で確認した内容は、日付、担当窓口、次に必要な資料を記録します。
特認要件が明確になったら、個人開業か行政書士事務所・法人での勤務かを決めます。実務分野を一つ選び、行政書士法の業務・事務所・守秘の条文と、その分野の公開された審査基準を読みます。公務経験を強みに変えるのは、内部事情を使うことではなく、公開ルールを正確に処理する力へ置き換えることです。
よくある質問
公務員は行政書士試験を受けずに行政書士になれますか?
国・地方公共団体の公務員等として行政事務を担当した対象期間が通算20年以上あり、高校卒業者その他学校教育法90条該当者は17年以上ある場合、行政書士法2条6号による資格ルートを利用できる可能性があります。ただし全公務員への自動免除ではなく、対象機関、担当事務、期間を公務員職歴証明書で確認し、別に行政書士名簿への登録を受ける必要があります。
行政書士の公務員特認は17年と20年のどちらですか?
原則は行政事務等の対象期間が通算20年以上です。学校教育法による高等学校を卒業した人その他同法90条に規定する人は17年以上です。総勤続年数ではなく、対象機関で行政事務または相当する事務を担当した証明可能な期間で判断します。
地方公務員も行政書士の特認制度を使えますか?
行政書士法2条6号は国または地方公共団体の公務員を対象に含めています。地方公務員であることだけでは足りず、行政事務を担当した期間と職務内容が要件を満たすかを確認します。在職中に業務を行う場合は、資格・登録とは別に地方公務員法38条や所属団体の許可基準も確認してください。
公務員職歴証明書には何を書きますか?
日行連の所定様式には、所属部署、身分・階級等、役職名、発令庁、年月日、職務内容などを記載し、任命権者が証明します。職務内容は行政事務担当内容が判断できるよう具体的に書き、休職等で本来の職務に従事していない期間も記載するよう案内されています。
公務員在職中でも行政書士を開業できますか?
法2条6号の資格要件を満たすことと、在職中に開業できることは別です。国家公務員法103条・104条や地方公務員法38条は自営・有報酬兼業を制限し、承認・許可が問題になります。所属機関の服務担当と登録予定の都道府県行政書士会へ、登録属性、事務所、業務内容、時間を示して開始前に確認してください。
公務員を退職すればすぐ行政書士として仕事ができますか?
退職だけでは行政書士として業務を開始できません。職歴証明等で行政書士となる資格を示し、都道府県行政書士会を通じて日行連の行政書士名簿への登録を受けます。登録後も、事務所、証票、職印、帳簿、報酬掲示、情報管理、専門分野の研修などを整えてから受任します。
この記事の参照元
法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。