行政法
取消訴訟の訴訟要件(被告適格・出訴期間・管轄)
平成16年改正で被告は処分庁ではなく国または公共団体になりました。出訴期間は知った日から6か月・処分の日から1年で、審査請求をすれば起算点が裁決に移ります。前置と自由選択の原則・例外の逆転も頻出です。
要点 8件・確認問題 8問
取消訴訟の出訴期間
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは提起できず(14条1項)、処分又は裁決の日から1年を経過したときも提起できない(同2項)。いずれもただし書で正当な理由があるときの例外が認められる。両者は併存し、どちらか早い方の経過で出訴できなくなる。平成16年改正前は主観的期間が3か月であった。行政不服審査法の審査請求期間(3か月・1年)との違いに注意する。
覚え方訴訟は知って6か月、審査請求は知って3か月。客観はどちらも1年
01重要暗記項目
取消訴訟の出訴期間
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは提起できず(14条1項)、処分又は裁決の日から1年を経過したときも提起できない(同2項)。いずれもただし書で正当な理由があるときの例外が認められる。両者は併存し、どちらか早い方の経過で出訴できなくなる。平成16年改正前は主観的期間が3か月であった。行政不服審査法の審査請求期間(3か月・1年)との違いに注意する。
ひっかけ注意改正前の3か月や行政不服審査法の審査請求期間3か月と混同させる肢。「正当な理由」を「やむを得ない理由」と書き換える改変も狙われる。
取消訴訟の被告適格
平成16年改正で行政庁主義から行政主体主義へ変わり、処分の取消訴訟は当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体を、裁決の取消訴訟は当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告とする(11条1項)。処分をした行政庁が国・公共団体に所属しない指定法人等の場合は当該行政庁が被告となり(同2項)、被告とすべき国等がないときは当該事務の帰属する国又は公共団体が被告となる(同3項)。訴状には処分庁を記載する(同4項)。
ひっかけ注意訴状に処分庁を記載する義務があることから、処分庁自体が被告だと誤らせる肢。記載事項と被告適格は別の話である。
取消訴訟の管轄
取消訴訟は被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分もしくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する(12条1項)。加えて、不動産又は特定の場所に係る処分はその所在地の裁判所(同2項)、事案の処理に当たった下級行政機関の所在地の裁判所(同3項)にも提起できる。国又は独立行政法人等を被告とする場合は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(特定管轄裁判所)にも提起できる(同4項)。
ひっかけ注意「高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所」を「高等裁判所」と縮めて示す改変が典型。第一審は地方裁判所であり、高裁に直接提起することはできない。
審査請求と取消訴訟の関係
審査請求と取消訴訟のいずれを先に選ぶかは原則として原告の自由である(8条1項本文)。両者が並行して係属する場合、裁判所は審査請求に対する裁決があるまで訴訟手続を中止することができる(8条3項)。前置が必要な場合でも8条2項の例外事由に当たれば裁決を経ずに出訴でき、審査請求をした者には14条3項により裁決を基準とする出訴期間が適用される。制度の接続部分がまとめて問われやすい。
ひっかけ注意原則と例外を逆転させ、前置主義が原則であるかのように書く肢。8条3項の中止を裁判所の義務とする肢も誤りで、「できる」規定である。
抗告訴訟の法定類型
3条1項は抗告訴訟を「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」と包括的に定義し、2項以下で処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴えの6類型を定める。平成16年改正で義務付け訴訟・差止訴訟が法定されたが、法定類型に当たらない無名抗告訴訟(法定外抗告訴訟)の提起が一律に封じられたわけではない。
ひっかけ注意「抗告訴訟は6類型に限定される」と言い切る肢。逆に「義務付け訴訟は判例上認められているだけで法定されていない」とする肢も誤りで、37条の2・37条の3に明文がある。
当事者訴訟の意義
当事者訴訟には、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分・裁決に関する訴訟で法令の規定により法律関係の一方当事者を被告とするもの(形式的当事者訴訟。土地収用の損失補償額をめぐる訴訟が典型)と、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)がある(4条)。平成16年改正で後段に「確認の訴え」が例示として明記され、在外国民の選挙権確認訴訟などがこれに当たる。
ひっかけ注意在外国民の選挙権確認訴訟のような公法上の地位の確認を民事訴訟だと誤らせる肢。処分を介さない公法上の法律関係の争いは当事者訴訟である。
自由選択主義
8条1項本文は、処分の取消しの訴えは当該処分につき審査請求ができる場合においても直ちに提起することを妨げないと定め、自由選択主義を原則とする。例外は、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起できない旨の定めがある場合(審査請求前置)に限られる(同項ただし書)。平成26年の行政不服審査法改正に伴う整備法により、多くの前置規定が廃止・縮減された。
ひっかけ注意「不服申立ては訴訟の前置手続である」という旧来のイメージに引きずらせる肢。原則と例外が逆になっている。
請求の追加的併合
取消訴訟には関連請求に係る訴えを併合することができる(16条1項)。第三者は口頭弁論の終結に至るまで当事者の一方を被告として関連請求に係る訴えを併合提起でき(18条)、原告も同様に併合提起できる(19条1項)。いずれも取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは相手方の同意を要する(16条2項の準用)。処分の取消しの訴えを裁決取消訴訟に併合提起する場合、出訴期間の遵守は裁決取消訴訟の提起時を基準とする(20条)。
ひっかけ注意高裁係属時の同意要件を落とす肢が典型。なお同意は、被告が異議を述べずに本案について弁論をすればあったものとみなされる。
02正誤を分ける確認順
- 1被告を確定する。処分庁の所属する国または公共団体が被告で、訴状に処分庁を記載する義務があるだけで処分庁が被告になるわけではない
- 2出訴期間を当てはめる。知った日から6か月・処分の日から1年、審査請求をしたときは裁決を知った日から6か月・裁決の日から1年
- 3前置の要否を確認する。原則は自由選択で、前置の定めがあっても3か月経過・緊急の必要・正当な理由があれば裁決を経ずに出訴できる
03覚える数値
- 出訴期間 知った日から6か月・処分の日から1年
- 前置の例外 審査請求から3か月経過
- 被告の変更 出訴期間は当初の訴え提起時を基準とする
04本試験の引っかけ
- 被告を処分庁とする肢。平成16年改正で行政庁主義から行政主体主義に変わっている
- 審査請求前置が原則であるかのような肢。8条1項本文の原則は自由選択主義である
- 特定管轄裁判所を「高等裁判所」と縮める肢。原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高裁の所在地を管轄する地方裁判所である
06一次情報
- 根拠
- 行政事件訴訟法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
取消訴訟の訴訟要件(被告適格・出訴期間・管轄)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 24/24(編集部の目安)
取消訴訟の出訴期間
取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
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