基礎知識
情報公開法と公文書管理法
開示請求権者は「何人も」で、行政機関は請求の目的や利害関係を審査できません。部分開示は義務・裁量的開示は裁量という条文の書き分け、文書の不存在と存否応答拒否の違いが正誤を分ける典型です。
要点 8件・確認問題 8問
公文書管理法の文書作成義務
公文書管理法4条は、行政機関の職員に対し、経緯も含めた意思決定に至る過程および事務・事業の実績を合理的に跡付け、または検証することができるよう文書を作成すべき義務を課す。例示されるのは、法令の制定改廃およびその経緯、閣議等の決定または了解およびその経緯、複数の行政機関による申合せ等、個人または法人の権利義務の得喪およびその経緯、職員の人事に関する事項である。保存期間が満了した行政文書ファイル等は、歴史公文書等にあたるものを国立公文書館等へ移管し、それ以外は廃棄する(8条)。
覚え方経緯まで残す。満了後は移管か廃棄の二択
01重要暗記項目
公文書管理法の文書作成義務
公文書管理法4条は、行政機関の職員に対し、経緯も含めた意思決定に至る過程および事務・事業の実績を合理的に跡付け、または検証することができるよう文書を作成すべき義務を課す。例示されるのは、法令の制定改廃およびその経緯、閣議等の決定または了解およびその経緯、複数の行政機関による申合せ等、個人または法人の権利義務の得喪およびその経緯、職員の人事に関する事項である。保存期間が満了した行政文書ファイル等は、歴史公文書等にあたるものを国立公文書館等へ移管し、それ以外は廃棄する(8条)。
ひっかけ注意保存期間満了後の行政文書がすべて廃棄されるとする誤りが狙われる。歴史公文書等は国立公文書館等へ移管される。
情報公開法の開示請求権者
情報公開法3条は「何人も」開示請求ができるとし、日本国民に限らず外国人や外国法人も請求できる。開示請求書の記載事項は、請求者の氏名または名称および住所または居所と、行政文書を特定するに足りる事項のみである(4条1項)。請求の目的や理由は記載事項ではなく、目的の如何は開示の可否に影響しない。開示請求書に形式上の不備があるときは、行政機関の長は相当の期間を定めて補正を求めることができ、その際は補正の参考となる情報の提供に努めるものとされる(同2項)。
ひっかけ注意開示請求書に請求の理由を記載しなければならないとする誤り、および外国人が請求できないとする誤りが狙われる。
情報公開法の開示決定等の期限
開示決定等は開示請求があった日から30日以内にしなければならず、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは30日以内に限り延長できる(10条)。補正に要した日数はこれらの期間に算入しない。さらに行政文書が著しく大量であるため60日以内にそのすべてについて決定すると事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合は、相当の部分について期間内に決定し、残りは相当の期間内に決定すれば足りる(11条)。
ひっかけ注意延長期間を60日とする誤り、および補正に要した日数を期間に算入するとする誤りが狙われる。
情報公開法の目的規定
情報公開法1条は、国民主権の理念にのっとり行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とすると定める。立法過程で「知る権利」を明記することは見送られた。基本理念は説明責任(アカウンタビリティ)にある。
ひっかけ注意目的規定に「知る権利」が明記されているとする誤りが定番。明記は見送られている。
行政文書の不開示情報
5条の不開示情報は、個人に関する情報(1号)、行政機関等匿名加工情報等(1号の2)、法人等に関する情報(2号)、国の安全等に関する情報(3号)、公共の安全等に関する情報(4号)、審議・検討等に関する情報(5号)、事務または事業に関する情報(6号)の類型である。このうち国の安全等と公共の安全等については、行政機関の長が支障を及ぼすおそれがあると認めることにつき「相当の理由」があれば足りるとされ、裁判所の審査密度が緩和されている。個人に関する情報でも公務員の職務遂行に係る情報は職名等が開示される。
ひっかけ注意すべての不開示情報について裁判所が同じ密度で審査するとする誤りが狙われる。3号・4号は審査密度が緩和されている。
行政機関等の開示請求権
何人も、行政機関の長等に対し、当該行政機関等の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができ(76条1項)、未成年者・成年被後見人の法定代理人および本人の委任による任意代理人も本人に代わって請求できる(同2項)。開示決定等・訂正決定等・利用停止決定等はいずれも請求があった日から30日以内にしなければならず、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは30日以内に限り延長できる。訂正請求と利用停止請求は、開示決定に基づき開示を受けた後でなければすることができない。
ひっかけ注意他人の保有個人情報も開示請求できるとする誤り、および訂正請求を開示前にできるとする誤りが狙われる。
部分開示と裁量的開示
部分開示(6条1項)は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、当該部分を容易に区分して除くことができるときに、その部分を除いた部分を開示しなければならないという義務規定である。ただし除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは開示しない。これに対し7条の裁量的開示は、不開示情報であっても公益上特に必要があると認めるときに行政機関の長が開示することが「できる」とする裁量規定である。「しなければならない」と「できる」の違いで区別する。
ひっかけ注意裁量的開示を義務と読ませる誤り、および部分開示を裁量とする誤りが狙われる。
存否応答拒否
存否応答拒否(グローマー拒否、8条)は、開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなるときに、当該文書の存否を明らかにしないで請求を拒否できる制度である。特定個人の病歴に関する文書の開示請求などが典型例である。これに対し、行政文書を保有していない場合は開示をしない旨の決定をして書面で通知することとされ(9条2項)、この決定は処分として審査請求や取消訴訟の対象となる。存否応答拒否も処分であり不服申立ての対象となる。
ひっかけ注意文書を保有していない場合も存否応答拒否によるとする誤りが狙われる。不存在の場合は不開示決定をする。
02正誤を分ける確認順
- 1請求要件を確認する。何人も請求でき、開示請求書に目的や理由の記載は要らない
- 2不開示情報に当たるかを類型で判定する。国の安全と公共の安全は、行政機関の長が認めるにつき相当の理由があれば足りる
- 3文書の有無を答えること自体が不開示情報の開示になるなら存否応答拒否、そもそも保有していなければ不存在として拒否する
03覚える数値
- 開示決定等 30日以内(30日以内の延長可)
- 著しく大量の場合の特例 相当の部分を60日以内に決定
04本試験の引っかけ
- 開示請求に利害関係や請求の目的の記載が必要とする肢。行政機関は請求の目的を審査できない
- 部分開示と裁量的開示の義務・裁量を入れ替える肢。部分開示は「しなければならない」、裁量的開示は「できる」
- 情報公開法1条に知る権利が明記されているとする肢。立法過程で明記は見送られた
06一次情報
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
情報公開法と公文書管理法の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
基礎知識重要度 S頻出度 15/24(編集部の目安)
情報公開法の開示請求権者
行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく行政文書の開示請求は、日本国民であるか否かを問わず、また当該文書に関する利害関係の有無を問わず、何人もすることができる。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。