2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

行政法

行政行為の効力と瑕疵

公定力・不可争力・不可変更力・自力執行力を「誰を縛る効力か」で並べ替えられるかが分かれ目です。国家賠償請求に公定力が及ばないこと、不可争力が生じても処分庁の職権取消しは妨げられないことを裏返した肢で失点します。

要点 5件・確認問題 8

最初に確認

行政行為の効力

行政行為には四つの効力がある。①公定力=取消訴訟の排他的管轄から導かれ、権限ある機関が取り消すまで一応有効として扱われる。②不可争力=出訴期間や審査請求期間の経過により私人の側から効力を争えなくなるが、処分庁による職権取消しは妨げられない。③自力執行力=行政代執行法1条により、義務を命ずる根拠とは別個の法律の根拠を要する。④不可変更力=審査請求の裁決など争訟裁断的行為にのみ生じ、行政庁自らの取消しを封じる。

覚え方不可争力は私人を縛り、不可変更力は行政庁を縛る

01重要暗記項目

01
重要度 S

行政行為の効力

行政行為には四つの効力がある。①公定力=取消訴訟の排他的管轄から導かれ、権限ある機関が取り消すまで一応有効として扱われる。②不可争力=出訴期間や審査請求期間の経過により私人の側から効力を争えなくなるが、処分庁による職権取消しは妨げられない。③自力執行力=行政代執行法1条により、義務を命ずる根拠とは別個の法律の根拠を要する。④不可変更力=審査請求の裁決など争訟裁断的行為にのみ生じ、行政庁自らの取消しを封じる。

ひっかけ注意「取消判決を得なければ国家賠償請求はできない」とする肢。国家賠償は金銭賠償を求めるだけで処分の効力を否定しないから公定力は及ばない。

02
重要度 A

行政行為の瑕疵

判例(最判昭和36年3月7日等)は、行政行為が無効となる要件として瑕疵の重大性と明白性の双方を要求する重大明白説を採る。明白性とは処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得る程度であることをいう。ただし課税処分については、第三者の信頼保護を考慮する必要のない特段の事情があるときに明白性を要しないとした判例もある(最判昭和48年4月26日)。取り消し得べき瑕疵にとどまる場合は、権限ある機関が取り消すまで有効に扱われる。

ひっかけ注意「瑕疵が重大でありさえすれば無効となる」と明白性を落とす肢。原則は両要件がそろって初めて無効となる。

03
重要度 S

行政行為の分類

法律行為的行政行為は命令的行為(下命・禁止・許可・免除)と形成的行為(特許・認可・代理)に分かれる。許可は一般的禁止の解除にすぎないため、無許可でした行為も私法上の効力は原則として妨げられない(無免許者がした自動車の売買は有効)。認可は私人間の法律行為を補充してその効力を完成させる行為なので、認可を欠く行為は無効となる(知事の許可を欠く農地の売買は無効)。確認・公証・通知・受理は準法律行為的行政行為である。

ひっかけ注意法令上の「許可」「認可」という名称と講学上の分類が一致するかのように問う肢。農地法3条の「許可」は講学上の認可であり、無許可の売買は無効である。

04
重要度 A

職権取消しと撤回

職権取消しは行為時に存在した瑕疵を理由に効力を遡って失わせるもので、処分庁のほか監督庁も行い得ると解される。撤回は瑕疵なく成立した行為を後発的な事情変更により将来に向かって失効させるもので、処分庁のみが行い得る。最判昭和63年6月17日(優生保護法指定医師事件)は、公益上の必要が高ければ法律に明文の根拠がなくても撤回できるとした。授益的行為の職権取消し・撤回は、相手方の信頼保護と公益との比較衡量により制限を受ける。

ひっかけ注意「撤回には常に明文の法律上の根拠が必要」とする肢や、撤回の効果が処分時に遡るとする肢。撤回は根拠不要かつ将来効である。

05
重要度 B

関連請求に係る訴訟の移送

13条は、取消訴訟と関連請求に係る訴訟が各別の裁判所に係属する場合、相当と認めるときは、関連請求に係る訴訟の係属する裁判所が申立て又は職権で当該訴訟を取消訴訟の係属する裁判所に移送できると定める。関連請求とは処分の原状回復・損害賠償請求など13条各号が掲げる6類型をいう。ただし取消訴訟又は関連請求に係る訴訟が高等裁判所に係属しているときは移送できない。移送の方向は関連請求側から取消訴訟側への一方向である。

ひっかけ注意移送の方向を逆にして「取消訴訟を関連請求の係属裁判所へ移送する」とする肢。高裁係属時の除外も落としやすい。

行政法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1誰を縛る効力かで仕分ける。私人を縛るのが公定力と不可争力、行政庁自身を縛るのが不可変更力
  2. 2瑕疵が重大かつ明白なら無効として出訴期間の制限なく争え、それ以外は取消訴訟で期間内に争うと決める
  3. 3公定力が及ばない場面かを確認する。国家賠償請求と刑事訴訟では、取消判決を経ずに処分の違法を主張できる

03覚える数値

無効の要件 重大性+明白性
取消訴訟の出訴期間 知った日から6か月

04本試験の引っかけ

  • 取消判決を得なければ国家賠償請求ができないとする肢。国賠は処分の効力を否定せず金銭賠償を求めるだけなので公定力は及ばない
  • 瑕疵が重大でありさえすれば無効になるとする肢。判例は重大明白説を採り、明白性も原則として必要
  • 不可争力が生じれば処分庁も職権取消しができないとする肢。不可争力が縛るのは争う側の私人だけ

05おさえる判例

  • 課税処分無効事件最判昭和48年4月26日

    課税処分については、第三者の信頼保護を考慮する必要のない事情があるときは明白性を要しないとした

  • 農地委員会裁決事件最判昭和29年1月21日

    実質的に裁判に類する争訟裁断的行為には不可変更力が生じ、行政庁が自ら取り消すことは許されない

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

行政行為の効力と瑕疵の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

行政法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)

行政行為の効力

最高裁判所は、違法な行政処分によって損害を受けた者が国又は公共団体に対して損害賠償を請求するに当たっては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得ておく必要はないとしている。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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