2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

行政法

行政手続法の適用範囲と適用除外

行政手続法が扱うのは申請に対する処分・不利益処分・行政指導・届出・命令等の5類型だけで、行政計画や行政調査は入りません。地方公共団体への適用では、処分と届出にだけ付く「条例・規則が根拠のものに限る」という限定を落として失点します。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

行政手続法の目的と対象

行政手続法が定めるのは①申請に対する処分②不利益処分③行政指導④届出⑤命令等を定める手続の5類型である。行政計画の策定、行政契約の締結、行政調査、行政上の強制執行、不服申立ての審理は対象に含まれない。目的は、これらの手続に関する共通事項を定めて行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することにある(1条1項)。透明性とは行政上の意思決定の内容および過程が国民にとって明らかであることをいう。

覚え方処分・指導・届出・命令等の5類型だけ。計画と契約と強制執行は入らない

01重要暗記項目

01
重要度 B

行政手続法の目的と対象

行政手続法が定めるのは①申請に対する処分②不利益処分③行政指導④届出⑤命令等を定める手続の5類型である。行政計画の策定、行政契約の締結、行政調査、行政上の強制執行、不服申立ての審理は対象に含まれない。目的は、これらの手続に関する共通事項を定めて行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することにある(1条1項)。透明性とは行政上の意思決定の内容および過程が国民にとって明らかであることをいう。

ひっかけ注意対象類型に「行政計画の策定」「行政契約の締結」「不服申立ての審理」を紛れ込ませる肢。不服申立ての手続は行政不服審査法の領域である。

02
重要度 B

適用除外の範囲

除外の射程は条文ごとに異なる。3条1項の適用除外(国会の両院の議決によってされる処分、裁判の執行としてされる処分、刑事事件に関する法令に基づき検察官等がする処分など)の効果は「次章から第四章の二までの規定は、適用しない」であり、第2章から第4章の2までが外れる。これに対し4条1項の国の機関等に対する処分等は「この法律の規定は、適用しない」として法律全体が外れる。どの章まで及ぶかで正誤が決まる。

ひっかけ注意除外される章の範囲をすり替える肢。「4条1項では第2章と第3章だけが除外される」とする逆パターンも出題される。

03
重要度 C

行政手続法と他の法律との関係

1条2項は「処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる」と規定し、行政手続法が手続の一般法であることを示す。国税通則法、生活保護法、独占禁止法など個別法に固有の手続規定が置かれている場合はそちらが優先する。優先を認めているのは「他の法律」に限られ、政令や条例に特別の定めがあってもこの規定によって行政手続法が排除されることはない。

ひっかけ注意「他の法令に特別の定めがあるとき」と条文を政令・条例まで広げる肢。道を譲る相手は法律の定めだけである。

04
重要度 B

国の機関等に対する適用除外

4条1項は、国の機関・地方公共団体・その機関等が「固有の資格」において当該処分の名あて人となる処分、これらに対する行政指導、これらが固有の資格でする届出について、法律全体の適用を除外する。固有の資格とは一般私人が立ち得ないような立場をいい、市が一般私人と同じ立場で建築確認や飲食店営業許可を受ける場合には行政手続法の適用がある。行政不服審査法7条2項も同じ「固有の資格」概念を用いており、判断基準は共通である。

ひっかけ注意「国や地方公共団体が名あて人となる処分にはおよそ行政手続法が適用されない」とする肢。固有の資格という限定を落とさせる狙いである。

05
重要度 B

適用除外

7条1項の適用除外には、国会の両院・一院・議会の議決によってされる処分、裁判所の裁判により又は裁判の執行としてされる処分、検査官会議で決すべきものとされている処分、刑事事件に関する法令に基づき検察官等がする処分、学校において教育の目的を達成するために学生等に対してされる処分、刑務所等において収容の目的を達成するためにされる処分、外国人の出入国・帰化に関する処分、学識技能に関する試験・検定の結果についての処分などがある。

ひっかけ注意適用除外は7条1項の限定列挙であるのに「専門的判断を要する処分は一般に除外される」と一般化させる肢が狙われる。

06
重要度 S

地方公共団体に対する適用関係

3条3項により第2章から第6章までが適用除外となるのは①地方公共団体の機関がする処分(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る)②地方公共団体の機関がする行政指導③地方公共団体の機関に対する届出(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る)④地方公共団体の機関が命令等を定める行為の4つである。「条例・規則根拠」という限定が付くのは処分と届出だけで、行政指導と命令等を定める行為は根拠を問わず全部が除外される。

ひっかけ注意「地方公共団体がする処分には行政手続法が一切適用されない」とする肢。生活保護の廃止決定のように法律を根拠とする処分には適用がある。

07
重要度 A

行政事件訴訟の類型

行政事件訴訟は抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の4類型である(2条)。抗告訴訟は行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(3条1項)、当事者訴訟は公法上の法律関係に関する訴訟(4条)で、いずれも自己の法律上の利益を守る主観訴訟である。民衆訴訟・機関訴訟は自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する客観訴訟であり、法律に定める場合において法律に定める者に限り提起できる(42条)。

ひっかけ注意国家賠償請求訴訟を行政事件訴訟の一類型として挙げる肢。国家賠償請求は民事訴訟であり、この4類型には含まれない。

08
重要度 A

不利益処分の定義

不利益処分とは、行政庁が法令に基づき特定の者を名あて人として直接にこれに義務を課し又はその権利を制限する処分をいう(2条4号)。ただし①事実上の行為②申請により求められた許認可等を拒否する処分③名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分④許認可等の効力を失わせる処分であって、その基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由とするもの、は除かれる。申請拒否処分には第2章が適用され、8条の理由の提示で処理される。

ひっかけ注意「営業許可の申請を拒否するには聴聞を経なければならない」とする肢。拒否処分は申請に対する処分であり、要求されるのは理由の提示である。

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02正誤を分ける確認順

  1. 1問われている行為が5類型のどれかを確定する。行政計画・行政契約・行政調査・強制執行・不服申立ての手続は最初から対象外
  2. 2主体が地方公共団体の機関なら3条3項を見る。処分と届出は根拠が条例・規則のときだけ除外、行政指導と命令等は全部除外
  3. 3相手方が国の機関等なら4条1項を見る。固有の資格で名あて人となる場合だけ、法律全体が適用除外になる

03覚える数値

行政手続法の対象 5類型
3条1項 第2章から第4章の2までが不適用
4条1項 法律全体が不適用

04本試験の引っかけ

  • 地方公共団体がする処分には行政手続法が一切適用されないとする肢。生活保護の廃止決定のように法律を根拠とする処分には適用がある
  • 行政指導にも「条例・規則が根拠のものに限る」という限定が付くとする肢。限定が付くのは処分と届出だけ
  • 国や地方公共団体が名あて人ならおよそ適用除外とする肢。除外されるのは固有の資格で名あて人となる場合に限られる

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

行政手続法の適用範囲と適用除外の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

行政法重要度 S頻出度 21/24(編集部の目安)

地方公共団体に対する適用関係

地方公共団体の機関がする処分についてはそのすべてが行政手続法の適用から外れるわけではなく、その根拠となる規定が法律に置かれているものについては、申請に対する処分及び不利益処分に関する行政手続法第2章及び第3章の規定が適用される。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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