2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

行政法

不利益処分の理由の提示と処分基準

理由をどこまで書けば足りるかを、公にされた処分基準の有無まで含めて判断できるかが分かれ目です。差し迫った必要による例外は義務の免除ではなく先送りにすぎない点、理由付記の不備が裁決で治癒されない点で落とします。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

不利益処分の理由の提示

14条1項本文は不利益処分と同時の理由提示を義務づけ、ただし書は当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合の例外を認める。ただしこの例外による場合でも、名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に理由を示さなければならない(同2項)。義務が消滅するのではなく時期が後ろにずれるだけである。不利益処分を書面でするときは理由も書面による(同3項)。

覚え方差し迫った必要があっても、免除ではなく先送り

01重要暗記項目

01
重要度 S

不利益処分の理由の提示

14条1項本文は不利益処分と同時の理由提示を義務づけ、ただし書は当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合の例外を認める。ただしこの例外による場合でも、名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に理由を示さなければならない(同2項)。義務が消滅するのではなく時期が後ろにずれるだけである。不利益処分を書面でするときは理由も書面による(同3項)。

ひっかけ注意8条1項ただし書(客観的指標による例外)と14条1項ただし書(差し迫った必要)を入れ替える肢。例外事由が条文ごとに異なる。

02
重要度 A

聴聞を経てされる不利益処分の決定

行政庁は不利益処分の決定をするときは、聴聞調書の内容および報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌しなければならない(26条)。参酌自体は法的義務であるが、主宰者の意見に法的拘束力はない。行政庁は聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる(25条)。27条が審査請求を制限するのは聴聞の節の規定に基づく処分(参加の不許可、文書閲覧の拒否など)およびその不作為であり、不利益処分そのものは争える。

ひっかけ注意「聴聞を経てされた不利益処分についても審査請求ができない」と27条の対象を広げる肢。制限されるのは節の規定に基づく中間的処分に対する審査請求である。

03
重要度 S

理由の提示に関する判例

最判平成23年6月7日(一級建築士免許取消事件)は、14条1項本文の趣旨を行政庁の判断の慎重・合理性の担保による恣意の抑制と不服申立ての便宜と解し、示すべき理由の程度は根拠法令の規定内容、処分基準の存否・内容・公表の有無、処分の性質および内容、原因事実の内容等を総合考慮して決すべきとして、処分基準の適用関係を示さなかった本件処分を違法とした。最判昭和60年1月22日(旅券発給拒否事件)は根拠条項の記載だけでは足りないとし、最判昭和47年12月5日は理由付記の不備が裁決では治癒されないとした。

ひっかけ注意「根拠法条と原因事実が記載されていれば理由の提示として十分」とする肢。公にされた処分基準があるときはその適用関係の提示まで要求される。

04
重要度 A

処分基準

処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう(2条8号ハ)。行政庁は処分基準を定め、かつこれを公にしておくよう努めなければならない(12条1項)から、設定も公表も努力義務である。もっとも定めるに当たっては不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならず(12条2項)、この具体化は法的義務である。

ひっかけ注意処分基準の設定・公表を法的義務とする肢。逆に12条2項の具体化まで努力義務とする肢も出るので、項ごとに語尾を区別する。

05
重要度 A

処分基準に関する判例

最判平成27年3月3日は、12条1項により定められ公にされた処分基準は行政庁の判断過程の公正と透明性を確保し相手方の権利利益の保護に資するものであるから、先行処分を理由とする加重の定めがある場合に行政庁が処分基準と異なる取扱いをすることは、公正かつ平等な取扱いの要請や基準に対する相手方の信頼保護の観点から、特段の事情がない限り裁量権の逸脱濫用に当たるとした。同判決は加重の期間内は処分期間経過後も訴えの利益が残るとしている。

ひっかけ注意「処分基準は行政規則にすぎず外部効果がないから法的拘束力を持たない」という一般論だけで押し切らせる肢。公にされていれば自己拘束を生む。

06
重要度 B

釈明処分の特則

23条の2は平成16年改正で新設された釈明処分の特則である。裁判所は訴訟関係を明瞭にするため、被告である国等の行政庁に対し処分の内容、根拠となる法令の条項、原因となる事実その他処分の理由を明らかにする資料の提出を求めることができ、それ以外の行政庁に対しては当該資料の送付を嘱託することができる。裁決を経た後の取消訴訟では審査請求に係る事件の記録についても同様の処分ができる(同2項)。提出を強制する効力はなく、応じない場合の制裁規定も置かれていない。

ひっかけ注意被告側行政庁への「提出を求める」と、それ以外の行政庁への「送付を嘱託する」の書き分けが狙われる。応じない場合の制裁規定がない点も落としやすい。

07
重要度 A

弁明書の提出

審理員は指名されると直ちに審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付し(29条1項)、相当の期間を定めて弁明書の提出を求める(同2項)。弁明書には処分の内容および理由(不作為の場合は処分をしていない理由と予定される処分の時期等)を記載する(同3項)。行政手続法上の聴聞調書・報告書や弁明書を保有していれば添付する(同4項)。提出された弁明書は審査請求人および参加人に送付される(同5項)。

ひっかけ注意弁明書の送付先を審査請求人のみとする肢や、弁明書の提出を審査庁が求めるとする肢。求めるのは審理員であり、送付先は請求人と参加人の双方である。

08
重要度 S

裁決の拘束力

裁決は関係行政庁を拘束する(52条1項)。したがって同一事情の下で同一理由による同一処分を繰り返すことは許されない(反復禁止効)。申請に基づいてした処分が手続の違法・不当を理由に取り消され、又は申請を却下・棄却した処分が取り消されたときは、処分庁は裁決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない(同2項)。公示された処分が取り消されたときは、処分庁はその旨を公示しなければならない(同3項)。

ひっかけ注意拘束力が審査請求人にも及ぶとする肢や、取消しの効果は処分の消滅にとどまり再度の処分義務はないとする肢。

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02正誤を分ける確認順

  1. 1処分と同時に理由が示されたかを見る。示されていないなら14条1項ただし書の差し迫った必要に当たるかを検討する
  2. 2例外に当たっても義務は消えず、処分後相当の期間内に理由を示す必要がある。免除ではなく先送りと押さえる
  3. 3公にされた処分基準があるなら、その適用関係まで示されているかを見る。根拠法条と原因事実だけでは足りない

03覚える数値

処分基準 設定・公表とも努力義務
12条2項 処分基準の具体化は法的義務

04本試験の引っかけ

  • 根拠法条と原因事実が記載されていれば理由提示として十分とする肢。公にされた処分基準があれば、その適用関係の提示まで要る
  • 理由付記の不備は審査請求の裁決で具体的根拠が明らかにされれば治癒されるとする肢。判例は事後の追完を認めない
  • 理由は常に書面で示さなければならないとする肢。書面が要るのは処分を書面でするときで、口頭の処分なら理由も口頭で足りる

05おさえる判例

  • 一級建築士免許取消事件最判平成23年6月7日

    提示すべき理由の程度は根拠法令の内容、処分基準の存否・内容・公表の有無、処分の性質等を総合考慮して決すべきで、処分基準の適用関係を示さなかった本件は違法

  • 旅券発給拒否事件最判昭和60年1月22日

    根拠条項の記載だけでは、いかなる事実にいかなる法規を適用して拒否したのかを記載自体から了知できず、理由付記として不十分

  • 営業停止処分基準事件最判平成27年3月3日

    公にされた処分基準に加重の定めがある場合、特段の事情がない限りこれと異なる取扱いをすることは裁量権の逸脱濫用に当たる

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

不利益処分の理由の提示と処分基準の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

行政法重要度 S頻出度 24/24(編集部の目安)

不利益処分の理由の提示

行政庁は、不利益処分をする場合には、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があるときを除き、その名あて人に対し、当該不利益処分と同時にその理由を示さなければならない。

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行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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