行政法
申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)
審査基準は設定も公表も義務、標準処理期間は設定が努力義務で公表が義務、処分基準は設定も公表も努力義務——この三段構えを言えるかで決まります。申請の到達で審査義務が生じ、受理拒否や返戻が許されない点も頻出です。
要点 8件・確認問題 8問
申請に対する審査・応答
7条は「申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず」と到達主義を採用し、従来の「受理」概念を排除した。形式上の要件に適合しない申請については、速やかに相当の期間を定めて補正を求めるか、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。窓口での受取拒否、返戻、預かり扱いといった処理はいずれも許されない。補正を求めるか直ちに拒否するかは行政庁が選択できる。
覚え方届いたら審査開始。返すのも預かるのも禁止で、補正か拒否かの二択
01重要暗記項目
申請に対する審査・応答
7条は「申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず」と到達主義を採用し、従来の「受理」概念を排除した。形式上の要件に適合しない申請については、速やかに相当の期間を定めて補正を求めるか、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。窓口での受取拒否、返戻、預かり扱いといった処理はいずれも許されない。補正を求めるか直ちに拒否するかは行政庁が選択できる。
ひっかけ注意「まず補正を求めなければならず、直ちに拒否することはできない」とする肢。二者択一であり、どちらを選ぶかは行政庁が決められる。
標準処理期間
6条は「申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間…を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは…公にしておかなければならない」と規定する。設定するかどうかは努力義務、設定した以上その公表は法的義務である。法令により申請の提出先とされている機関が行政庁と異なるときは、その機関に到達してから行政庁に到達するまでに通常要すべき期間も併せて定める。期間を経過しただけで処分が当然に違法となるわけではない。
ひっかけ注意努力義務と法的義務を入れ替える肢。標準処理期間を徒過しただけで直ちに処分が違法になるとする肢も誤りである。
審査基準
審査基準について行政庁が負う義務は三つとも法的義務である。①行政庁は審査基準を定めなければならない(5条1項)②許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとしなければならない(同2項)③行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他適当な方法により公にしておかなければならない(同3項)。「公にする」とは求めがあればいつでも何人にも示せる状態にしておくことをいい、積極的な周知までは求められない。
ひっかけ注意審査基準の設定を努力義務に格下げする肢と、処分基準の設定を法的義務に格上げする肢が両方向から出る。例外を落として「いかなる場合も公にする」とする肢も出る。
標準審理期間
審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁および関係処分庁の事務所における備付けその他適当な方法により公にしておかなければならない(16条)。設定は努力義務、公表は法的義務であり、行政手続法6条の標準処理期間と同じ組合せである。審理員となるべき者の名簿(17条)も同じ構造である。
ひっかけ注意設定義務と公表義務を取り違える肢。行政手続法5条の審査基準(設定も公表も義務)と混同させる肢も出る。
複数の行政庁が関与する処分
11条1項は、同一の申請者からされた関連する複数の申請に対する処分について、他の行政庁において審査中であることのみを理由として自らの審査又は判断を殊更に遅延させてはならないと定める法的義務である。11条2項は、一の申請又は同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対し複数の行政庁が関与する場合に、相互に連絡をとり、申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努めるという努力義務を定め、ワンストップサービスの根拠とされる。
ひっかけ注意11条2項の相互連絡・共同審査を法的義務とする肢。2項は「努めるものとする」であり努力義務にとどまる。
申請拒否処分の理由の提示
申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、処分と同時にその理由を示さなければならない(8条1項本文)。例外は、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められており、かつ当該申請がこれに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときに限られ、この場合も申請者の求めがあれば理由を示さなければならない。処分を書面でするときは理由も書面による(同2項)。
ひっかけ注意例外の要件を「審査基準が公にされているとき」だけに緩める肢。客観的指標による明確性と不適合の明白性という二重の要件が必要である。
届出
届出とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務づけられているものをいう(2条7号)。37条により、届出書の記載事項に不備がないこと等の形式上の要件に適合している届出が、法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされる。受理・不受理という行政実務上の取扱いは否定されており、窓口で受け取られなくても効果は左右されない。
ひっかけ注意「窓口で受け取ってもらえなければ届出をしたことにならない」とする実務感覚に引きずらせる肢。逆に、形式上の要件に適合しない届出は到達しても義務を履行したことにならない。
情報の提供
9条1項は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況および当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならないと定める。9条2項は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載および添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならないと定める。いずれも努力義務にとどまる。2項の相手方には申請前の段階にある「申請をしようとする者」も含まれる点が1項との違いである。
ひっかけ注意努力義務を法的義務に格上げする肢に加え、9条2項の相手方を既に申請した者に限定する肢も出る。申請前の者も対象である。
02正誤を分ける確認順
- 1審査基準・標準処理期間・処分基準のどれかを特定し、設定と公表それぞれが義務か努力義務かを当てはめる
- 2申請が到達しているかを見る。到達すれば遅滞なく審査を開始する義務が生じ、受取拒否・返戻・預かり扱いはできない
- 3形式不備なら、相当の期間を定めて補正を求めるか拒否処分をするかを行政庁が選べる。拒否するなら理由の提示が要る
03覚える数値
- 審査基準 設定は義務・公表は義務
- 標準処理期間 設定は努力義務・公表は義務
- 処分基準 設定も公表も努力義務
04本試験の引っかけ
- 形式不備の申請にはまず補正を求めなければならず直ちに拒否できないとする肢。補正と拒否は行政庁が選択できる
- 申請拒否の理由提示の例外を「審査基準が公にされているとき」に緩める肢。数量的指標による明確性と不適合の明白性という二重の要件が要る
- 公聴会の開催を義務とする肢。10条は必要に応じ公聴会その他の適当な方法で意見を聴く努力義務にとどまる
05おさえる判例
個人タクシー事件最判昭和46年10月28日
多数の申請を並行審査する場合は内部的にせよ具体的な審査基準を設定して公正に適用すべきで、主張と証拠提出の機会を欠く判定に基づく却下処分は違法
群馬中央バス事件最判昭和50年5月29日
公聴会審理に不備があっても、申請者が主張立証を尽くしても認定判断を左右する資料を提出し得たとは認め難いとして、処分を違法とはしなかった
06一次情報
- 根拠
- 行政手続法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
申請に対する処分(審査基準・標準処理期間)の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 22/24(編集部の目安)
審査基準
申請に対する処分の手続について、行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を、許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとして定めるよう努めなければならない。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。