2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

債権者代位権と詐害行為取消権

代位権は裁判外でも行使でき期間制限もないのに、取消権は必ず訴えによらなければならず2年・10年の出訴期間が付く——この非対称が軸です。相続放棄は取消しの対象外、遺産分割協議は対象という判例の対比も頻出です。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

詐害行為取消権の要件

詐害行為取消権の要件は、被保全債権が原則として金銭債権で詐害行為の前の原因に基づいて生じたこと(424条3項)、債務者が債権者を害することを知って行為をしたこと、受益者が行為の時に債権者を害すべき事実を知っていたこと(同1項ただし書)、財産権を目的とする行為であること(同2項)、被保全債権が強制執行により実現できること(同4項)である。転得者への取消請求には、受益者に対する要件に加え、転得者およびその前のすべての転得者が悪意であることを要する(424条の5)。

覚え方詐害の前の原因・債務者の悪意・受益者の悪意・財産権が目的

01重要暗記項目

01
重要度 S

詐害行為取消権の要件

詐害行為取消権の要件は、被保全債権が原則として金銭債権で詐害行為の前の原因に基づいて生じたこと(424条3項)、債務者が債権者を害することを知って行為をしたこと、受益者が行為の時に債権者を害すべき事実を知っていたこと(同1項ただし書)、財産権を目的とする行為であること(同2項)、被保全債権が強制執行により実現できること(同4項)である。転得者への取消請求には、受益者に対する要件に加え、転得者およびその前のすべての転得者が悪意であることを要する(424条の5)。

ひっかけ注意受益者が善意でも取り消せるとする誤りが狙われる。受益者の悪意は要件であり、その立証責任は受益者側が善意を主張立証する構造になっている。

02
重要度 A

詐害行為取消権の期間制限

426条は、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年、行為の時から10年を経過したときに訴えを提起できないとする。いずれも出訴期間であり、詐害行為取消権は必ず訴えによって行使しなければならない(424条1項)。これに対し債権者代位権は裁判外でも行使でき、期間制限の規定もない。改正前の「行為の時から20年」は10年に短縮された。認容判決は債務者およびそのすべての債権者に対しても効力を有する(425条)。

ひっかけ注意詐害行為取消権を裁判外で行使できるとする誤りが定番。行使は訴えによらなければならない。

03
重要度 A

相続放棄と詐害行為

最判昭和49年9月20日は、相続の放棄が身分行為であること、および既得財産を積極的に減少させるものではなく消極的にその増加を妨げるにすぎないことを理由に、詐害行為取消権の対象とならないとした。これに対し最判平成11年6月11日は、遺産分割協議が相続の開始によって共同相続人の共有となった財産の帰属を確定させる行為であり、その性質上財産権を目的とする法律行為であるとして、詐害行為取消しの対象となるとする。

ひっかけ注意相続放棄も財産を減らす行為だから取り消せるとする誤りが狙われる。判例は放棄と遺産分割協議で結論を分ける。

04
重要度 A

不法行為債権を受働債権とする相殺

509条が相殺を禁じる受働債権は、悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務(1号)と、人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務(2号)である。2号は債務不履行に基づく場合も含むため、安全配慮義務違反による賠償債務も受働債権にできない。ただし債権者がその債権を他人から譲り受けたときは禁止が解ける(同条ただし書)。改正前は不法行為債権一般が対象だったため、双方に過失のある物損事故でも相殺が禁じられていたが、改正後は相殺が可能になった。

ひっかけ注意不法行為に基づく損害賠償債権であれば一律に相殺が禁じられるとする改正前の記述が誤りとして出る。

05
重要度 A

代位行使の範囲と効果

被代位権利の目的が可分であるときは、代位行使の範囲は自己の債権額の限度に限られる(423条の2)。金銭の支払または動産の引渡しについては債権者への直接の引渡しを請求でき、相手方が債権者に支払えば被代位権利は消滅する(423条の3)。相手方は債務者に対して主張できる抗弁を債権者にも対抗でき(423条の4)、債務者は代位行使後も自ら取立てその他の処分をする権限を失わない(423条の5)。訴えを提起した債権者は遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければならない(423条の6)。

ひっかけ注意代位行使により債務者が処分権を失うとする改正前の判例法理が誤りとして出る。423条の5は処分権を失わないと明記する。

06
重要度 S

自筆証書遺言の方式

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならない(968条1項)。平成30年改正により、添付する相続財産の目録については自書を要しないこととされたが、目録の毎葉(自書によらない記載が両面にあるときは両面)に署名し押印しなければならない(2項)。加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ変更の場所に押印しなければ効力を生じない(3項)。日付は「吉日」では特定できず無効となる。

ひっかけ注意財産目録にも自書が必要とする改正前の記述、および目録への署名押印を不要とする誤りが狙われる。

07
重要度 A

特別寄与料

1050条は平成30年改正で新設された。請求できるのは被相続人の親族に限られ、相続人、相続の放棄をした者、欠格・廃除により相続権を失った者は除かれる。寄与の態様は無償で療養看護その他の労務を提供したことに限られ、財産上の給付は含まれない。協議が調わないときの家庭裁判所への処分請求は、特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6箇月、または相続開始の時から1年を経過したときはできない(同2項)。

ひっかけ注意内縁の配偶者や事実上の養子など親族でない者も請求できるとする誤りが狙われる。請求主体は親族に限られる。

08
重要度 A

離婚後の子の監護

766条1項は、父母が協議上の離婚をするときに、子の監護をすべき者、監護の分掌、父または母と子との交流、監護に要する費用の分担その他監護について必要な事項を協議で定めるとし、その際は子の利益を最も優先して考慮しなければならないとする。協議が調わないときは家庭裁判所が定め(2項)、必要があれば定めを変更することもできる(3項)。監護についての定めは、監護の範囲外では父母の権利義務に変更を生じない(4項)。令和6年改正では法定養育費の制度も新設された。

ひっかけ注意監護者の指定によって親権の帰属まで変わるとする誤りが狙われる。766条4項は監護の範囲外では権利義務に変更を生じないとする。

民法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1被保全債権の性質を確認する。代位権は原則として弁済期の到来と債務者の無資力が要り、取消権は金銭債権で詐害行為前の原因に基づくことが要る
  2. 2行使方法を分ける。代位権は裁判外でもでき、取消権は必ず訴えによる
  3. 3相手方の主観を見る。取消しには受益者の行為時の悪意が要り、転得者に及ぼすには前のすべての転得者の悪意も要る

03覚える数値

詐害行為取消し 知った時から2年・行為の時から10年
代位行使の範囲 自己の債権額が限度

04本試験の引っかけ

  • 詐害行為取消権を裁判外でも行使できるとする肢。訴えによらなければならない
  • 相続放棄も詐害行為取消しの対象とする肢。放棄は身分行為で対象外、遺産分割協議は対象になる
  • 代位行使後は債務者が処分権を失うとする肢。改正法では債務者は取立てその他の処分の権限を失わない

05おさえる判例

  • 相続放棄と詐害行為取消権最判昭和49年9月20日

    相続放棄は身分行為であり、責任財産を積極的に減少させるものではないから詐害行為取消権の対象とならない

  • 遺産分割協議と詐害行為取消権最判平成11年6月11日

    遺産分割協議は共同相続人の財産権を目的とする法律行為であり、詐害行為取消しの対象となる

06一次情報

根拠
民法
基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

債権者代位権と詐害行為取消権の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 11/24(編集部の目安)

詐害行為取消権の要件

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為について、その債権が当該行為の後に生じた原因に基づくものであるときでも、詐害行為取消請求をすることができる。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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