憲法
国会と内閣
再可決という手続があるのは法律案だけで、予算・条約・首相指名では両院協議会が必要的です。参議院の問責決議では総辞職義務が生じないこと、参議院通常選挙の後には総辞職が要らないことも定番の出題です。
要点 8件・確認問題 8問
議院内閣制と内閣の責任
議院内閣制の中核は、内閣が国会の信任に依拠して存立し、行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負う点にある(66条3項)。69条の効果(10日以内に衆議院を解散しない限り総辞職)を生じさせるのは、衆議院で不信任決議案が可決され、または信任決議案が否決された場合に限られ、参議院の問責決議には政治的効果しかない。実務上は7条3号による解散も行われており、解散権の根拠と限界が論点となる。
覚え方総辞職の引き金を引けるのは衆議院だけ
01重要暗記項目
議院内閣制と内閣の責任
議院内閣制の中核は、内閣が国会の信任に依拠して存立し、行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負う点にある(66条3項)。69条の効果(10日以内に衆議院を解散しない限り総辞職)を生じさせるのは、衆議院で不信任決議案が可決され、または信任決議案が否決された場合に限られ、参議院の問責決議には政治的効果しかない。実務上は7条3号による解散も行われており、解散権の根拠と限界が論点となる。
ひっかけ注意参議院の問責決議の可決でも総辞職義務が生じるとする肢が典型。69条の効果は衆議院の議決にのみ結びつく。
内閣の職務
73条が定める内閣の事務は①法律の誠実な執行と国務の総理②外交関係の処理③条約の締結(事前又は時宜によっては事後に国会の承認を経る)④法律の定める基準に従い官吏に関する事務を掌理すること⑤予算を作成して国会に提出すること⑥政令の制定(法律の委任がなければ罰則を設けられない)⑦大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除および復権の決定である。恩赦は内閣が決定し天皇が認証する(7条6号)。最高裁判所長官の指名も内閣の権限である(6条2項)。
ひっかけ注意恩赦の決定主体を天皇とする肢や、条約の国会承認をすべて事前に限る肢。天皇が行うのは認証にとどまる。
臨時会と参議院の緊急集会
常会は毎年1回召集される(52条)。臨時会は内閣が召集を決定できるほか、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば内閣は召集を決定しなければならない(53条)。衆議院解散の日から40日以内に総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会(特別会)を召集する(54条1項)。参議院の緊急集会を求めることができるのは内閣のみであり、参議院議員が自ら求めることはできない。緊急集会でとられた措置は、次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失う(同3項)。
ひっかけ注意召集要求の定足数を3分の1と誤らせる肢のほか、緊急集会を参議院が自ら開けるとする肢も出る。求めることができるのは内閣だけである。
内閣の総辞職
内閣が総辞職しなければならないのは①69条により衆議院で不信任の決議案が可決され又は信任の決議案が否決された後10日以内に衆議院が解散されないとき②内閣総理大臣が欠けたとき③衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったとき(70条)である。参議院議員通常選挙の後は総辞職を要しない。「内閣総理大臣が欠けたとき」とは死亡・失踪・国会議員の地位の喪失等をいい、単なる一時的な故障や海外出張は含まれない。
ひっかけ注意参議院議員通常選挙の後にも総辞職が必要とする肢。70条が挙げるのは衆議院議員総選挙後の国会召集である。
内閣総理大臣の職務
72条により内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務および外交関係について国会に報告し、行政各部を指揮監督する。この指揮監督は閣議にかけて決定した方針に基づくことを要する(内閣法6条)。もっとも最大判平成7年2月22日(ロッキード事件丸紅ルート)は、内閣総理大臣は内閣の首長として、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合でも、行政各部に対し随時その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導・助言等の指示を与える権限を有するとした。
ひっかけ注意内閣法6条の指揮監督の要件を、あらゆる働きかけの要件にすり替える肢。指揮監督と事実上の指示は区別される。
法律案の議決と再可決
法律案は原則として両議院で可決したとき法律となる(59条1項)。衆議院で可決し参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときに法律となる(同2項)。この場合に衆議院が両院協議会を求めることは妨げられないが開催は任意である(同3項)。参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は参議院がこれを否決したものとみなすことができる(同4項)。
ひっかけ注意再可決の要件を「総議員の3分の2」とする肢や、みなし否決の期間を30日とする肢。基準は出席議員かつ60日である。
予算・条約・首相指名の議決
予算は先に衆議院に提出しなければならない(60条1項)。予算・条約の承認・内閣総理大臣の指名のいずれについても両院協議会の開催は必要的であり、意見が一致しないときは衆議院の議決が国会の議決となる。参議院が議決しない場合の期間は、予算と条約が国会休会中の期間を除いて30日、内閣総理大臣の指名が10日である(60条2項、61条、67条2項)。条約の締結には事前又は時宜によっては事後の国会の承認を要する(73条3号)。
ひっかけ注意期間を入れ替える肢のほか、これらの場面で「衆議院の3分の2以上の再議決が必要」とする肢も出る。再可決は法律案だけの制度である。
国務大臣の任免と文民条項
内閣は首長たる内閣総理大臣とその他の国務大臣で組織され(66条1項)、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名される(67条1項)。国務大臣は内閣総理大臣が任命するが、その過半数は国会議員の中から選ばれなければならない(68条1項)。任命も罷免も内閣総理大臣の専権であり、閣議決定を要しない(68条2項)。内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならない(66条2項)。
ひっかけ注意「国務大臣は全員が国会議員でなければならない」とする肢、「罷免には閣議決定が必要」とする肢、「文民条項は内閣総理大臣にのみ及ぶ」とする肢が出る。
02正誤を分ける確認順
- 1議決の対象を確定する。法律案なら再可決(出席議員の3分の2以上)、予算・条約・指名なら両院協議会を経て衆議院の議決が国会の議決になる
- 2参議院が議決しない場合の期間を当てはめる。法律案60日、予算・条約30日、内閣総理大臣の指名10日
- 3内閣の総辞職は3場合に限る。不信任決議後10日以内に衆議院を解散しないとき、内閣総理大臣が欠けたとき、衆議院総選挙後の初の国会召集時
03覚える数値
- 法律案のみなし否決 60日
- 予算・条約の議決 30日
- 内閣総理大臣の指名 10日
- 臨時会の召集要求 いずれかの議院の総議員の4分の1以上
04本試験の引っかけ
- 予算や条約でも衆議院の3分の2以上の再議決が必要とする肢。再可決の制度があるのは法律案だけ
- 参議院の問責決議の可決でも総辞職義務が生じるとする肢。69条の効果は衆議院の議決にのみ結び付く
- 国務大臣の罷免に閣議が必要とする肢や全員が国会議員でなければならないとする肢。罷免は総理の専権で、国会議員は過半数で足りる
06一次情報
- 根拠
- 日本国憲法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
国会と内閣の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
憲法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)
法律案の議決と再可決
衆議院で可決し参議院でこれと異なった議決をした法律案は衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときに法律となり、参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。