2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

憲法

人権の享有主体・私人間効力と法の下の平等

外国人の地方選挙権は「憲法上保障される」でも「禁止される」でもなく、立法政策に委ねられる許容説が判例です。八幡製鉄と南九州税理士会で法人の目的の範囲の広狭が反転する点も、対で押さえないと外します。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

憲法の私人間効力

最大判昭和48年12月12日(三菱樹脂事件)は、憲法の人権規定は私人相互の関係を直接規律するものではないとしたうえで、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条・90条や不法行為に関する規定を適切に運用することで調整を図るべきとした(間接適用説)。そして企業者は契約締結の自由を有し、特定の思想信条を有する者の雇入れを拒んでも当然に違法とはならず、労働者の思想信条を調査してその申告を求めることも違法ではないとした。

覚え方間接適用説。民法1条・90条を通して憲法の価値を及ぼす

01重要暗記項目

01
重要度 S

憲法の私人間効力

最大判昭和48年12月12日(三菱樹脂事件)は、憲法の人権規定は私人相互の関係を直接規律するものではないとしたうえで、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条・90条や不法行為に関する規定を適切に運用することで調整を図るべきとした(間接適用説)。そして企業者は契約締結の自由を有し、特定の思想信条を有する者の雇入れを拒んでも当然に違法とはならず、労働者の思想信条を調査してその申告を求めることも違法ではないとした。

ひっかけ注意「憲法の人権規定は私人間にも直接適用される」とする直接適用説の肢のほか、雇入れの段階と雇入れ後の段階を混同させる肢も出る。雇入れ後は労働基準法3条が信条差別を禁じる。

02
重要度 A

法の下の平等の意味

14条1項の平等は、各人の事実上の差異を前提に同一の事情と条件の下では均等に取り扱うことを意味する相対的平等であり、合理的な区別は許される。最大判平成27年12月16日(夫婦同氏訴訟)は、氏の変更を強制されない自由が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえないとして13条違反を否定し、民法750条は文言上性別に基づく法的な差別的取扱いを定めていないとして14条1項違反も否定し、24条についても立法裁量の範囲を超えないとした。

ひっかけ注意「氏の変更を強制されない自由は13条の人格権として保障される」とする肢。判例はこれを憲法上の権利とは認めていない。

03
重要度 S

外国人の人権享有主体性

最大判昭和53年10月4日(マクリーン事件)は、権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、憲法の人権保障は外国人にも及ぶとした。もっとも入国の自由、在留を継続する権利、再入国の自由(最判平成4年11月16日、森川キャサリーン事件)は保障されない。政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等を除き保障されるが、それは在留制度の枠内で与えられるにとどまり、その行使を在留期間更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでは保障されない。

ひっかけ注意「在留中の政治活動を理由に更新を拒否すれば当然に憲法違反」とする肢が典型。在留制度の枠内という限定を落とさせにくる。

04
重要度 A

法人の人権享有主体性

最大判昭和45年6月24日(八幡製鉄事件)は、憲法第三章の人権は性質上可能な限り内国の法人にも適用されるとしたうえで、会社は社会的実在として相応の社会的作用を負担せざるを得ず、憲法上の政治的行為をなす自由を有するとした。そして政治資金の寄附も、客観的抽象的に観察して会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる以上、定款所定の目的の範囲内の行為であり、取締役の忠実義務違反にもならないとした。

ひっかけ注意「会社の政治献金は定款の目的の範囲外で無効」とする肢。目的の範囲を狭く解する強制加入団体の判例と混同させにくる。

05
重要度 A

選挙権の制限と国家賠償

最大判平成17年9月14日(在外邦人選挙権訴訟)は、遅くとも本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙の時点において、選挙区選出議員の選挙について在外国民に投票を認めない公職選挙法の規定は15条1項・3項、43条1項、44条ただし書に違反するとした。あわせて、立法の内容が憲法上一義的に明白であるのに国会が正当な理由なく長期にわたり立法を怠った場合には国家賠償法上違法となるとして、慰謝料の請求を認容した。

ひっかけ注意「立法不作為が国家賠償法上違法となることはない」とする肢。例外的に違法となる場合があることを認めた点が本判決の意義である。

06
重要度 S

尊属殺重罰規定違憲判決

最大判昭和48年4月4日は、尊属に対する尊重報恩という自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は刑法上の保護に値し、加重処罰の立法目的自体は不合理ではないとした。しかし旧刑法200条が法定刑を死刑と無期懲役刑のみに限り、2回の減軽をしても執行猶予を付し得ないほど加重した点は、目的達成の手段として甚だしく均衡を失し著しく不合理であるとして14条1項に違反するとした。刑法200条は平成7年の改正で削除されている。

ひっかけ注意「立法目的自体が違憲とされた」とする肢が定番。違憲とされたのは刑の加重の程度という手段の側である。

07
重要度 A

非嫡出子相続分違憲決定

最大決平成25年9月4日は、父母が婚姻関係になかったという子自身が選択・修正する余地のない事柄を理由に子に不利益を及ぼすことは許されないとして、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする旧民法900条4号ただし書前段を遅くとも平成13年7月当時において14条1項に違反していたとした。違憲判断の効力については、平成13年7月から本決定までに開始された他の相続について、遺産分割の審判等により確定的なものとなった法律関係には影響を及ぼさないと明示している。

ひっかけ注意違憲判断の遡及効を無限定に認めさせる肢。既に確定した法律関係には影響しないという限定が付されている。

08
重要度 A

外国人の参政権

最判平成7年2月28日は、15条1項の公務員選定罷免権の保障は日本国民に限られ、93条2項の「住民」も地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するから、外国人に地方選挙権が憲法上保障されているわけではないとした(要請説の否定)。もっとも、永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係をもつに至った者について、法律で地方選挙権を付与することは憲法上禁止されておらず、立法政策に委ねられているとした(許容説)。

ひっかけ注意「憲法上保障されている」とする要請説の肢と「憲法上禁止されている」とする禁止説の肢の両方向から出題される。判例は中間の許容説である。

憲法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1権利の性質上日本国民のみを対象とするかを見る。入国・再入国の自由は保障されず、政治活動の自由も在留制度の枠内で認められるにとどまる
  2. 2法人なら強制加入団体かを確認する。強制加入団体では構成員の思想信条との関係で目的の範囲が限定的に解される
  3. 3私人間なら間接適用説で処理する。民法90条や不法行為の規定を通じて調整し、憲法を直接適用しない

04本試験の引っかけ

  • 外国人に地方選挙権が憲法上保障されているとする肢、または憲法上禁止されているとする肢。判例は立法政策に委ねる許容説
  • 憲法14条1項を私人間に直接適用して無効としたとする肢。日産自動車事件が適用したのは民法90条
  • 尊属殺重罰規定違憲判決で立法目的自体が違憲とされたとする肢。違憲とされたのは刑の加重の程度という手段の側

05おさえる判例

  • 八幡製鉄事件最大判昭和45年6月24日

    会社は社会的実在として政治的行為をなす自由を有し、政治資金の寄附も定款の目的の範囲内の行為である

  • 南九州税理士会事件最判平成8年3月19日

    強制加入団体である税理士会が政治団体へ献金するために特別会費を徴収する決議は、目的の範囲外で無効である

  • 三菱樹脂事件最大判昭和48年12月12日

    憲法の人権規定は私人間に直接適用されず、企業者は契約締結の自由を有し、思想信条を調査して申告を求めることも違法ではない

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

人権の享有主体・私人間効力と法の下の平等の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

憲法重要度 S頻出度 16/24(編集部の目安)

外国人の人権享有主体性

最高裁判所は、憲法第3章の人権保障は権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き在留外国人にも等しく及ぶが、外国人の政治活動の自由は外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎず、在留期間の更新にあたり法務大臣が在留中の行為を消極的な事情として斟酌することも許されるとしている。

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行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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