2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

憲法

表現の自由とプライバシー

検閲の禁止は絶対的で、公共の福祉による例外を許しません。報道の自由は21条で保障されるのに取材の自由は「十分尊重に値する」にとどまるという保障の強度の差も、一段引き上げた肢で狙われます。

要点 7件・確認問題 7

最初に確認

報道の自由と取材の自由

最大決昭和44年11月26日(博多駅事件)は、報道機関の報道は国民の知る権利に奉仕するものとして21条の保障の下にあり、報道のための取材の自由も21条の精神に照らし十分尊重に値するとした。報道の自由が「保障される」のに対し、取材の自由は「十分尊重に値する」という位置づけにとどまり、公正な裁判の実現等のために制約を受けうる。取材フィルムの提出命令の可否は、犯罪の性質・態様・軽重、証拠としての価値、審理の遅延等と、取材の自由が妨げられる程度・報道の自由への影響とを比較衡量して決すべきとした。

覚え方報道の自由は保障、取材の自由は十分尊重に値する

01重要暗記項目

01
重要度 S

報道の自由と取材の自由

最大決昭和44年11月26日(博多駅事件)は、報道機関の報道は国民の知る権利に奉仕するものとして21条の保障の下にあり、報道のための取材の自由も21条の精神に照らし十分尊重に値するとした。報道の自由が「保障される」のに対し、取材の自由は「十分尊重に値する」という位置づけにとどまり、公正な裁判の実現等のために制約を受けうる。取材フィルムの提出命令の可否は、犯罪の性質・態様・軽重、証拠としての価値、審理の遅延等と、取材の自由が妨げられる程度・報道の自由への影響とを比較衡量して決すべきとした。

ひっかけ注意「取材の自由も21条により保障される」と一段強める肢が典型。表現の強度の違いを問う出題である。

02
重要度 B

学問の自由と大学の自治

23条の学問の自由は学問研究の自由、研究発表の自由、教授の自由を含み、大学における学問の自由を保障するため大学の自治が認められる。自治の中心は教授その他の研究者の人事の自治と、施設および学生の管理の自治である。最大判昭和38年5月22日(東大ポポロ事件)は、学生は大学の営造物を利用する地位にとどまり、学問の自由と施設の利用が認められる反射的効果として自治の効果を受けるにすぎず、実社会の政治的社会的活動に当たる集会には大学の自治は及ばないとした。

ひっかけ注意「大学構内である以上、警察官の立入りは常に大学の自治を侵害する」とする肢。集会の実質が政治的社会的活動なら保障は及ばない。

03
重要度 S

検閲の禁止と事前抑制

21条2項前段の検閲の禁止は例外を許さない絶対的禁止である。最大判昭和59年12月12日(税関検査事件)の定義によれば、検閲とは行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる表現物を網羅的一般的に発表前に審査したうえ不適当と認めるものの発表を禁止することをいう。税関検査は①国外で既に発表済みであること②思想内容等を網羅的に審査し規制することを目的としないこと③司法審査の機会があることから検閲に当たらないとされた。

ひっかけ注意「検閲も公共の福祉による制限に服する」とする肢。検閲の禁止は絶対的であり、公共の福祉による例外を認めない。

04
重要度 A

事前差止めの要件

最大判昭和61年6月11日(北方ジャーナル事件)は、公務員または公職選挙の候補者に対する評価・批判等の表現行為の事前差止めは原則として許されず、例外的に許されるのは①その表現内容が真実でなくまたは専ら公益を図る目的のものでないことが明白であり、かつ②被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合に限られるとした。手続としては口頭弁論または債務者の審尋を経るのが原則だが、上記の実体要件が明白に存在する場合には例外が認められる。

ひっかけ注意「事前差止めには常に債務者の審尋が必要」とする肢。要件の存在が明白な場合には審尋を経ないことも許される。

05
重要度 A

財産権の制限

財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律で定められる(29条2項)。最大判昭和62年4月22日(森林法共有林事件)は、規制の目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、又は規制手段が目的達成のための手段として必要性・合理性に欠けることが明らかであって立法府の判断が合理的裁量の範囲を超える場合に違憲となるとした。そのうえで、共有物分割請求権は共有の本質的属性であり、持分価額2分の1以下の共有者による分割請求を許さない森林法186条を違憲とした。

ひっかけ注意「積極目的規制だから明白の原則で合憲とされた」と誘導する肢。財産権では規制目的二分論が明快に用いられていない点に注意する。

06
重要度 B

前科をみだりに公開されない利益

最判昭和56年4月14日(前科照会事件)は、前科および犯罪経歴は人の名誉・信用に直接かかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとした。そして京都市中京区長が弁護士法23条の2に基づく照会に漫然と応じて前科等のすべてを報告したことは、公権力の違法な行使に当たるとした。照会自体が一律に許されないわけではなく、報告が許される場合もあり得る点に注意する。

ひっかけ注意「弁護士法上の照会である以上、応じる義務があるから違法にならない」と誘導する肢。判断されているのは必要性を吟味しなかった点である。

07
重要度 C

自己情報コントロール

最判平成20年3月6日(住基ネット訴訟)は、①本人確認情報は氏名・生年月日・性別・住所と住民票コード等であって秘匿性の高い情報とはいえないこと②法令等の根拠に基づかずに第三者に開示・公表される具体的な危険がないこと③システム上の不備や法制度上の不備がなく、個人情報が一元的に管理される具体的な危険も生じていないことを挙げ、住民の同意なく本人確認情報を管理・利用等する行為は13条に違反しないとした。

ひっかけ注意「本人の同意なく個人情報を利用することは13条に違反する」と結論を裏返す肢。判決は同意の有無を決定的な要素としていない。

憲法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1主体が行政権で、発表前の網羅的一般的な事前審査かを確認する。検閲に当たれば例外なく禁止される
  2. 2検閲でなくても事前抑制なら厳格に判断する。公人への批判の事前差止めは、真実性・公益目的の欠如が明白で重大かつ回復困難な損害のおそれがある場合に限られる
  3. 3規制が不明確でないかを、通常の判断能力を有する一般人の理解を基準に検討する

04本試験の引っかけ

  • 検閲も公共の福祉による制限に服するとする肢。検閲の禁止は絶対的である
  • 取材の自由も21条により保障されるとする肢。判例は「十分尊重に値する」との位置づけにとどめている
  • 事前差止めには常に債務者の審尋が必要とする肢。要件の存在が明白な場合には審尋を経ないことも許される

05おさえる判例

  • 北方ジャーナル事件最大判昭和61年6月11日

    公職選挙の候補者への評価等の事前差止めは、表現内容が真実でなく専ら公益目的でないことが明白で、重大かつ回復困難な損害のおそれがある場合に限り許される

  • 税関検査事件最大判昭和59年12月12日

    検閲とは行政権が主体となり発表前に網羅的一般的に審査するものをいい、税関検査は既に国外で発表済みであること等から検閲に当たらない

  • 博多駅テレビフィルム提出命令事件最大決昭和44年11月26日

    報道の自由は21条の保障に含まれ、取材の自由も十分尊重に値するが、公正な裁判の実現のため比較衡量により制約を受ける

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

表現の自由とプライバシーの○×一問一答

1/7解答 0・正解 0

憲法重要度 S頻出度 13/24(編集部の目安)

検閲の禁止と事前抑制

最高裁判所は、検閲とは行政権が主体となって思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に発表前にその内容を審査したうえ不適当と認めるものの発表を禁止することをいうとしたうえで、輸入禁制品に関する税関検査はこれに該当しないとしている。

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