2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

憲法

経済的自由・人身の自由と社会権

消極目的規制は厳格な合理性の基準、積極目的規制は明白の原則という規制目的二分論の当てはめが軸です。薬事法事件と小売市場事件で目的の性質を入れ替えると結論が逆転するので、対で覚えていないと落とします。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

職業選択の自由と積極目的規制

最大判昭和47年11月22日(小売市場事件)は、憲法が個人の経済活動の自由に対し社会経済政策の実施の一手段として一定の合理的規制措置を予定していることを根拠に、社会経済分野における法的規制措置については立法府の政策的技術的裁量を尊重し、当該措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とするという明白の原則を採用した。そのうえで小売商業調整特別措置法の距離制限を中小企業保護のための積極目的規制として合憲とした。

覚え方小売市場は積極目的で合憲、薬事法は消極目的で違憲

01重要暗記項目

01
重要度 A

職業選択の自由と積極目的規制

最大判昭和47年11月22日(小売市場事件)は、憲法が個人の経済活動の自由に対し社会経済政策の実施の一手段として一定の合理的規制措置を予定していることを根拠に、社会経済分野における法的規制措置については立法府の政策的技術的裁量を尊重し、当該措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とするという明白の原則を採用した。そのうえで小売商業調整特別措置法の距離制限を中小企業保護のための積極目的規制として合憲とした。

ひっかけ注意薬事法事件と規制目的の性質を入れ替えて審査基準を誤らせる肢が定番である。適用される基準が逆になれば結論も逆になる。

02
重要度 S

規制目的二分論

最大判昭和50年4月30日(薬事法距離制限事件)は、職業の許可制は職業選択の自由そのものに対する強力な制限であるから、原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、消極目的(国民の生命・健康に対する危険の防止)の規制ではさらに、より緩やかな規制手段では目的を十分に達成できないことが必要であるとした(厳格な合理性の基準)。そのうえで競争激化による不良医薬品供給の危険を観念上の想定にすぎないとして距離制限を違憲とした。

ひっかけ注意薬局の距離制限を積極目的規制と誤らせる肢。積極目的と判断されれば明白の原則が適用され結論が逆になる。

03
重要度 S

生存権の法的性格

最大判昭和42年5月24日(朝日訴訟)は、25条1項はすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではなく、具体的権利は生活保護法によって初めて与えられるとした。最大判昭和57年7月7日(堀木訴訟)はこれを承け、社会保障立法における給付の在り方は国の財政事情や高度の専門技術的・政策的判断を要するとして広い立法裁量を認めた。

ひっかけ注意「25条から直接に具体的な給付請求権が生じる」とする肢が典型。具体的権利は生活保護法等の法律によって与えられる。

04
重要度 A

明確性の原則

表現の自由を規制する法令には特に明確性が要求され、不明確な規制は表現行為に萎縮効果を生む。最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)は、通常の判断能力を有する一般人の理解において具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうかで判断すべきとした。同判決は条例と法令の関係についても、対象事項と規定文言の対比だけでなく趣旨・目的・内容・効果を比較して矛盾抵触の有無を判断すべきという枠組みを示した。

ひっかけ注意基準を「立法者や法律専門家の理解」にすり替える肢。基準はあくまで通常の判断能力を有する一般人である。

05
重要度 A

31条と行政手続

最大判平成4年7月1日(成田新法事件)は、31条による適正手続の保障は直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については刑事手続でないとの理由のみで当然にその保障の枠外にあると判断すべきではないとした。もっとも行政処分の相手方に事前の告知・弁解・防御の機会を与えるかどうかは、制限される権利利益の内容・性質・制限の程度、達成しようとする公益の内容・程度・緊急性等を総合較量して決すべきであり、常に必ずその機会を与えることを必要とするものではないとした。

ひっかけ注意「行政手続にも常に事前の告知・弁解・防御の機会が必要」と強める肢と、「31条は行政手続に一切及ばない」とする肢の両方向が出る。

06
重要度 A

国歌斉唱の職務命令

最判平成23年5月30日は、卒業式等における国歌斉唱の際の起立斉唱行為は学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作であり、特定の思想の表明として外部から認識されるものではないから、思想良心の自由を直ちに制約するものではないとした。もっとも一般的客観的に見て国旗国歌に対する敬意の表明の要素を含むから間接的な制約となる面はあるとしたうえ、職務命令の目的・内容と制約の態様を総合較量して必要性・合理性を認め合憲とした。

ひっかけ注意「間接的な制約となる面はまったくない」と言い切る肢と、「直接的制約だから違憲」とする肢の両方向がある。判例は間接的制約を認めたうえで合憲としている。

07
重要度 B

裁判官の身分保障

司法権の独立には司法府の独立と裁判官の職権行使の独立(76条3項)が含まれる。裁判官は、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合と公の弾劾による場合を除いては罷免されず、行政機関が裁判官の懲戒処分を行うことはできない(78条)。懲戒は裁判所が裁判手続によって行う。報酬は在任中これを減額することができない(79条6項、80条2項)。裁判所内部からの干渉も職権の独立を害するとされ、平賀書簡事件がその例である。

ひっかけ注意「懲戒処分は裁判所も行えない」とする肢や、報酬の減額を一律に可能とする肢。禁止されているのは行政機関による懲戒である。

08
重要度 B

正当な補償

29条3項は補償請求の直接の根拠となりうるから、法令に補償規定を欠いてもその一事で違憲無効とはならない(最大判昭和43年11月27日、河川附近地制限令事件)。もっとも財産権に内在する社会的制約として当然に受忍すべき制限であれば補償は不要であり、最大判昭和38年6月26日(奈良県ため池条例事件)は、堤とうの使用禁止が財産権行使のほとんど全面的な禁止であっても、災害防止のため当然に受忍しなければならない責務であるとして補償を要しないとした。

ひっかけ注意「補償規定がない以上、補償を請求する法的手段はない」とする肢と「補償規定を欠く法令は当然に違憲無効」とする肢の双方が出る。

憲法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1規制の目的が国民の生命健康への危険防止(消極目的)か、社会経済政策(積極目的)かを見分ける
  2. 2消極目的なら、より緩やかな規制手段では目的を十分に達成できないことまで要求する厳格な合理性の基準を当てはめる
  3. 3積極目的なら、著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲とする明白の原則を当てはめる

04本試験の引っかけ

  • 薬局の距離制限を積極目的規制とする肢。消極目的規制と判断されたため厳格な合理性の基準が用いられた
  • 憲法25条から直接に具体的な給付請求権が生じるとする肢。具体的権利は生活保護法等の法律によって与えられる
  • 行政手続にも常に事前の告知・弁解・防御の機会が必要とする肢。総合較量で決すべきで、常に必要とは限らない

05おさえる判例

  • 薬事法距離制限事件最大判昭和50年4月30日

    消極目的の許可制については、より緩やかな規制手段では目的を十分達成できないことを要するとして距離制限を違憲とした

  • 小売市場事件最大判昭和47年11月22日

    積極目的の社会経済政策上の規制については、著しく不合理であることが明白な場合に限り違憲とする明白の原則を採った

  • 成田新法事件最大判平成4年7月1日

    憲法31条の保障は行政手続にも及び得るが、事前の告知・弁解・防御の機会を与えるかは総合較量で決すべきで、常に必要とは限らない

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

経済的自由・人身の自由と社会権の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

憲法重要度 S頻出度 14/24(編集部の目安)

規制目的二分論

最高裁判所は、薬局の開設について適正配置を要求する距離制限は主として国民の生命および健康に対する危険の防止という消極的、警察的目的のための規制であるとしたうえで、その必要性と合理性を認めることができないから憲法22条1項に違反するとしている。

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行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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