基礎知識
財政・経済と社会保障
基礎的財政収支が黒字でも利払費は残るため債務残高が増えることがある、という理屈を問う出題が増えています。介護保険は市町村、後期高齢者医療は都道府県単位の広域連合という運営主体の違いも定番です。
要点 8件・確認問題 8問
国際経済機関の役割
ブレトンウッズ体制の下で、IMF(国際通貨基金)は為替の安定を目的として短期の国際収支不均衡に融資し、国際復興開発銀行(世界銀行、IBRD)は長期の復興・開発資金を融資し、貿易面はGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が担当した。GATTは1995年にWTO(世界貿易機関)へ発展し、紛争解決手続の司法化とサービス貿易・知的財産権への対象拡大が図られた。WTOは全会一致を原則とするため近年は交渉が停滞し、地域的な自由貿易協定が広がっている。
覚え方IMFは短期、世界銀行は長期、貿易はGATTからWTOへ
01重要暗記項目
国際経済機関の役割
ブレトンウッズ体制の下で、IMF(国際通貨基金)は為替の安定を目的として短期の国際収支不均衡に融資し、国際復興開発銀行(世界銀行、IBRD)は長期の復興・開発資金を融資し、貿易面はGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が担当した。GATTは1995年にWTO(世界貿易機関)へ発展し、紛争解決手続の司法化とサービス貿易・知的財産権への対象拡大が図られた。WTOは全会一致を原則とするため近年は交渉が停滞し、地域的な自由貿易協定が広がっている。
ひっかけ注意IMFが長期の開発資金を融資するとする誤りが狙われる。長期の開発融資は世界銀行の役割である。
基礎的財政収支
基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、国債費(元利払い)を除く歳出と、国債発行収入を除く歳入との差額をいう。これが均衡していれば、その年度の政策的経費を新たな借金に頼らずに賄えている状態を意味する。ただし均衡しても利払費は残るため、名目成長率が名目金利を下回る局面では債務残高の対GDP比は上昇しうる。財政健全化目標は、基礎的財政収支の黒字化と債務残高対GDP比の安定的な引下げをあわせて語られることが多い。
ひっかけ注意基礎的財政収支が均衡すれば債務残高が減少するとする誤りが狙われる。利払費の分だけ残高は増えうる。
国債の種類と発行根拠
財政法4条1項は、国の歳出は公債または借入金以外の歳入をもって賄うことを原則とし(健全財政主義)、ただし書で公共事業費、出資金および貸付金の財源については国会の議決を経た金額の範囲内で公債の発行または借入れを認める。これに基づくのが建設国債である。これに対し赤字国債(特例国債)は財政法上の根拠がなく、毎年度特例法を制定して発行される。日本銀行が国債を直接引き受けることは財政法5条により原則として禁止されている(市中消化の原則)。
ひっかけ注意赤字国債も財政法4条ただし書を根拠に発行できるとする誤りが定番。特例法が必要である。
介護保険の仕組み
介護保険の保険者は市町村および特別区である。第1号被保険者は65歳以上の者で、原因を問わず要介護・要支援状態となれば給付を受けられる。第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者で、加齢に伴う特定疾病による場合に限り給付を受けられる。給付を受けるには市町村の要介護認定を受ける必要があり、認定は介護認定審査会の審査判定に基づいて行われる。利用者は原則として費用の1割(所得に応じて2割または3割)を負担する。
ひっかけ注意第2号被保険者が原因を問わず給付を受けられるとする誤りが定番。特定疾病による場合に限られる。
日本銀行の金融政策
金融政策の手段は公開市場操作(オペレーション)が中心であり、買いオペは市中に資金を供給し、売りオペは資金を吸収する。かつての公定歩合操作や預金準備率操作は現在では主要な手段ではない。金融政策は日本銀行政策委員会の金融政策決定会合で決定される。政府が行う財政政策と異なり、金融政策の目的は物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することにある(日本銀行法2条)。日本銀行の独立性は同法3条が定める。
ひっかけ注意買いオペを金融引締めの手段とする誤りが定番。買いオペは資金供給であり緩和方向に働く。
働き方改革と労働時間規制
時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間である。臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)を超えることはできず、月45時間を超えることができるのは年6箇月までである。あわせて、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対する年5日の時季指定義務、雇用形態にかかわらない待遇差の禁止(同一労働同一賃金)も導入された。違反には罰則がある。
ひっかけ注意特別条項があれば上限なく時間外労働をさせられるとする誤りが狙われる。罰則付きの上限が定められている。
予算の種類
予算は内閣が作成して国会に提出し、衆議院に先議権がある(憲法60条1項)。参議院が衆議院と異なる議決をした場合に両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる(同2項)。予算には当初予算のほか、成立後の事情変更に対応する補正予算、成立が間に合わない場合の暫定予算がある。一般会計のほか、特定の事業や資金運用のための特別会計が置かれる。
ひっかけ注意予算にも法律案と同じ60日ルールが適用されるとする誤りが狙われる。予算は30日である。
租税の分類
租税は、課税主体により国税と地方税に、納税者と担税者が一致するかにより直接税と間接税に分類される。この二つの区分は別の切り口であり、組み合わせて整理する。所得税や相続税には累進税率が用いられ所得の再分配機能を持つ。これに対し消費税は所得にかかわらず同率であるため、低所得者ほど所得に占める負担割合が高くなる逆進性が指摘され、飲食料品等に対する軽減税率が設けられている。租税法律主義により、租税の新設・変更には法律の根拠が必要である(憲法84条)。
ひっかけ注意所得税を間接税とする誤り、および消費税に累進性があるとする誤りが狙われる。
02正誤を分ける確認順
- 1財政の話なら根拠法を確認する。建設国債は財政法4条ただし書、赤字国債は毎年度の特例法が根拠になる
- 2指標は定義に戻る。基礎的財政収支は利払費を除いた収支なので、黒字でも債務残高が増えることがある
- 3社会保険は保険者と対象を押さえる。介護保険は市町村、後期高齢者医療は都道府県単位の広域連合が運営する
03覚える数値
- 国民年金の加入 20歳以上60歳未満
- 後期高齢者医療 75歳以上
- 時間外労働の上限 年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間
04本試験の引っかけ
- 建設国債に特例法が必要とする肢。特例法が必要なのは赤字国債(特例国債)のほう
- プライマリーバランスが黒字なら国債残高が減少するとする肢。利払費が除かれているため増えることがある
- 第3号被保険者を自営業者の配偶者とする肢。第2号被保険者に扶養される配偶者である
06一次情報
- 根拠
- 財政法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
財政・経済と社会保障の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
基礎知識重要度 A頻出度 9/24(編集部の目安)
国債の種類と発行根拠
歳入の不足を補うために発行される特例国債(赤字国債)は、道路や港湾等の公共事業費の財源に充てる建設国債と同様に、財政法第4条ただし書を根拠として発行が認められている。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。