民法
連帯債務・保証と債権譲渡・弁済・相殺
改正で連帯債務の絶対的効力は更改・相殺・混同の3つだけになり、履行の請求や免除は相対的効力に変わりました。譲渡制限特約に反する譲渡も原則有効になった点、差押えと相殺で無制限説が明文化された点も要注意箇所です。
要点 8件・確認問題 8問
債権譲渡の対抗要件と優劣
467条1項は譲渡人から債務者への通知または債務者の承諾を債務者対抗要件とし、2項は確定日付のある証書によることを債務者以外の第三者に対する対抗要件とする。最判昭和49年3月7日は到達時説を採り、優劣は確定日付の先後ではなく通知が債務者に到達した先後で決するとした。最判昭和55年1月11日は、確定日付ある通知が同時に到達した場合、各譲受人は債務者に対し全額の弁済を請求でき、債務者は同順位者が存在することを理由に弁済を拒めないとする。
覚え方日付ではなく到達の先後で決まる。同時到達なら双方が全額請求できる
01重要暗記項目
債権譲渡の対抗要件と優劣
467条1項は譲渡人から債務者への通知または債務者の承諾を債務者対抗要件とし、2項は確定日付のある証書によることを債務者以外の第三者に対する対抗要件とする。最判昭和49年3月7日は到達時説を採り、優劣は確定日付の先後ではなく通知が債務者に到達した先後で決するとした。最判昭和55年1月11日は、確定日付ある通知が同時に到達した場合、各譲受人は債務者に対し全額の弁済を請求でき、債務者は同順位者が存在することを理由に弁済を拒めないとする。
ひっかけ注意優劣を確定日付の先後で決するとする誤りが定番。判例は到達時説である。
連帯債務の絶対的効力
連帯債務における絶対的効力事由は更改(438条)、相殺(439条1項)、混同(440条)の3つに限られ、それ以外の事由は相対的効力が原則である(441条本文)。改正前に絶対的効力とされていた履行の請求・免除・時効の完成は相対的効力に改められた。ただし債権者と他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときはその意思に従う(441条ただし書)。免除や時効の完成があっても、他の債務者はその者に対して負担部分に応じた求償ができる(445条)。
ひっかけ注意連帯債務者の一人に対する履行の請求が他の債務者にも効力を及ぼすとする改正前の記述が誤りとして出る。
連帯保証の効力
連帯保証は補充性を欠くため、催告の抗弁(452条)・検索の抗弁(453条)がなく、保証人が複数いても分別の利益がない。ただし付従性は維持され、主たる債務が消滅すれば連帯保証債務も消滅し、主たる債務者の抗弁を援用できる(457条2項)。保証契約は書面または電磁的記録でしなければ効力を生じない(446条2項・3項)。契約締結後に主たる債務が加重されても保証人の負担は加重されない(448条2項)。主たる債務者に対する履行の請求による時効の完成猶予・更新は保証人にも効力を生じる(457条1項)。
ひっかけ注意連帯保証には付従性もないとする誤りが狙われる。失われるのは補充性と分別の利益だけである。
個人根保証の極度額
個人根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じず、極度額の定めは書面または電磁的記録によらなければならない(465条の2)。主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれる個人貸金等根保証契約では、元本確定期日は契約締結日から5年以内でなければ効力を生ぜず、定めがないときは締結日から3年を経過する日となる(465条の3)。事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする個人保証は、契約締結日前1箇月以内に作成された公正証書で保証意思を表示していなければ効力を生じない(465条の6)。
ひっかけ注意極度額の定めがなくても保証は有効で上限がないだけとする誤りが狙われる。定めがなければ契約自体が無効である。
譲渡制限の意思表示
改正により譲渡制限の意思表示に反する譲渡も原則として有効となり(466条2項)、悪意または重過失の譲受人に対しては債務者が履行を拒み、譲渡人への弁済等をもって対抗できるにとどまる(同3項)。譲受人が相当の期間を定めて譲渡人への履行を催告し期間内に履行がないときは、債務者は履行を拒めない(同4項)。差押債権者には同3項が適用されない。預貯金債権については例外的に悪意・重過失の譲受人に対抗でき、譲渡は無効となる(466条の5)。
ひっかけ注意譲渡制限特約に反する債権譲渡が無効になるとする改正前の記述が誤りとして出る。無効となるのは預貯金債権の場合だけ。
保証人への情報提供義務
458条の3は、主たる債務者が期限の利益を喪失したことを知った時から2箇月以内の通知を債権者に義務づけ、怠ったときは喪失時から通知時までに生じた遅延損害金について保証債務の履行を請求できないとする。この規定は法人である保証人には適用されない(同3項)。委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は主たる債務の履行状況に関する情報を提供しなければならない(458条の2)。
ひっかけ注意通知を怠ると元本まで請求できなくなるとする誤りが狙われる。請求できなくなるのは遅延損害金部分に限られる。
弁済の充当
充当の順序は、まず当事者の合意(490条)、次に費用・利息・元本の順(489条)、そして488条の指定充当(弁済者の指定が優先し、受領者が指定した場合は弁済者が直ちに異議を述べられる)、最後に488条4項の法定充当となる。法定充当では弁済期にあるものが先、弁済の利益が多いものが先、弁済期が先に到来したものまたは先に到来すべきものが先、それでも同じなら各債務の額に応じて按分される。代物弁済は債権者との契約により(482条)、供託は受領拒絶・受領不能・債権者不確知の場合に認められる(494条)。
ひっかけ注意弁済者の指定により利息より先に元本へ充当できるとする誤りが狙われる。489条の費用・利息・元本の順序が優先する。
法定追認
125条の法定追認事由は、全部または一部の履行、履行の請求、更改、担保の供与、取得した権利の全部または一部の譲渡、強制執行の6つである。異議をとどめたときは擬制されない。前提として124条の追認の要件、すなわち取消原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後であることが必要である。判例は、取消権者が相手方から履行を請求されたにとどまる場合は法定追認にあたらないとする。
ひっかけ注意取消権者が相手方から履行を請求された場合も法定追認になるとする誤りが定番。自ら請求した場合に限られる。
02正誤を分ける確認順
- 1連帯債務では絶対的効力事由(更改・相殺・混同)に当たるかを見る。当たらなければ他の債務者に影響しない
- 2保証なら書面性と付従性を確認する。個人根保証は極度額を書面等で定めなければ無効になる
- 3債権譲渡・相殺では対抗要件と時点を押さえる。第三者対抗要件の優劣は確定日付ある通知の到達の先後で決まる
03覚える数値
- 個人貸金等根保証 元本確定期日は5年以内・定めなければ3年
- 期限の利益喪失の通知 知った時から2か月以内
- 保証契約 書面または電磁的記録が必要
04本試験の引っかけ
- 履行の請求や免除を絶対的効力事由とする肢。改正により相対的効力に改められた
- 譲渡制限特約に反する譲渡を無効とする肢。原則有効で、悪意重過失の譲受人には履行を拒めるにとどまる
- 弁済の充当順序を「元本・利息・費用」とする肢。正しくは費用・利息・元本の順である
05おさえる判例
債権譲渡の対抗要件(到達時説)最判昭和49年3月7日
確定日付ある通知が競合する場合の優劣は、確定日付の先後ではなく債務者への到達の先後で決する
差押えと相殺(無制限説)最大判昭和45年6月24日
差押え前に取得した債権であれば、弁済期の先後を問わず差押債権者に相殺を対抗できる
06一次情報
- 根拠
- 民法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
連帯債務・保証と債権譲渡・弁済・相殺の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
民法重要度 S頻出度 13/24(編集部の目安)
債権譲渡の対抗要件と優劣
同一の債権が二重に譲渡され、いずれの譲渡についても確定日付のある証書による通知がされた場合、譲受人相互の優劣は、その証書に付された確定日付の先後によって決せられる。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。