行政法
聴聞と弁明の機会の付与
許認可の取消しなど打撃の大きい処分は聴聞、それ以外は弁明という振り分けができるかが第一関門です。営業停止を聴聞事案と思い込む誤り、聴聞の文書閲覧や参加人の規定を弁明にも準用してしまう誤りで落とします。
要点 7件・確認問題 8問
聴聞と弁明の機会の付与の使い分け
聴聞となるのは①許認可等を取り消す不利益処分②名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分③法人の役員の解任、業務従事者の解任、会員の除名を命ずる不利益処分④これら以外で行政庁が相当と認めるとき(13条1項1号イからニ)。これらに当たらないものが弁明の機会の付与となる。もっとも13条2項に該当する場合、すなわち公益上緊急に処分をする必要があるとき、資格の不存在等が客観的資料により直接証明されたとき、金銭の納付を命ずる処分等では、聴聞も弁明も一切不要である。
覚え方地位を奪うなら聴聞、しばるだけなら弁明、緊急と金銭ならどちらも不要
01重要暗記項目
聴聞と弁明の機会の付与の使い分け
聴聞となるのは①許認可等を取り消す不利益処分②名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分③法人の役員の解任、業務従事者の解任、会員の除名を命ずる不利益処分④これら以外で行政庁が相当と認めるとき(13条1項1号イからニ)。これらに当たらないものが弁明の機会の付与となる。もっとも13条2項に該当する場合、すなわち公益上緊急に処分をする必要があるとき、資格の不存在等が客観的資料により直接証明されたとき、金銭の納付を命ずる処分等では、聴聞も弁明も一切不要である。
ひっかけ注意業務停止処分に聴聞を要求する肢。営業停止は資格のはく奪ではないので原則として弁明で足りる。13条2項該当時に弁明だけは必要とする肢も誤りである。
弁明の機会の付与
弁明は行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出してする(29条1項)。証拠書類等を提出することもできる(同2項)。通知事項は①予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項②不利益処分の原因となる事実③弁明書の提出先および提出期限(口頭のときはその旨並びに出頭すべき日時および場所)の3つで、15条2項のような教示は要求されない(30条)。準用されるのは所在不明の場合の掲示(15条3項)と代理人(16条)のみである。
ひっかけ注意弁明を原則口頭とする肢や、当事者が口頭による弁明を選択できるとする肢。参加人・文書閲覧・調書・審査請求の制限はいずれも準用されない点も狙われる。
聴聞の審理の方式
20条は①主宰者が最初の期日の冒頭に予定される不利益処分の内容・根拠法令の条項・原因事実を行政庁の職員に説明させる②当事者・参加人は意見を述べ証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁職員に質問できる③主宰者の許可を得て補佐人とともに出頭できる④主宰者は当事者等に質問し、意見陳述や証拠提出を促し、職員に説明を求められる⑤当事者等の一部が出頭しなくても審理を行える⑥審理は行政庁が公開を相当と認めるときを除き公開しない、と定める。
ひっかけ注意行政庁職員への質問を許可不要とする肢と、審理を原則公開とする肢。いずれも原則と例外が逆になっている。
聴聞の通知
行政庁は聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、①予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項②不利益処分の原因となる事実③聴聞の期日および場所④聴聞に関する事務を所掌する組織の名称および所在地を書面により通知する(15条1項)。あわせて、期日に出頭して意見を述べ証拠書類等を提出できること、終結時まで資料の閲覧を求められることを教示する(同2項)。所在不明の場合は事務所の掲示場への掲示によることができ、掲示を始めた日から2週間の経過で到達したものとみなされる(同3項)。
ひっかけ注意通知期間を「14日前まで」など具体的日数に置き換える肢。条文は「相当な期間をおいて」であり日数の定めはない。掲示の起算点を翌日とする肢も誤りである。
聴聞の終結と調書・報告書
主宰者は続行期日を指定でき、あらかじめ書面で通知するが、期日に出頭した者には当該期日に告知すれば足りる(22条1項2項)。正当な理由なく不出頭かつ陳述書等の不提出のときは直ちに終結でき(23条1項)、正当な理由があっても出頭が相当期間引き続き見込めないときは、期限を定めて陳述書および証拠書類等の提出を求め、その期限の到来をもって終結できる(同2項)。主宰者は期日ごとに調書を作成し、終結後速やかに意見を記載した報告書を作成して調書とともに行政庁に提出する(24条)。
ひっかけ注意18条の閲覧(終結時まで)と24条4項の調書・報告書の閲覧(期間の限定なし)を混同させる肢。続行期日の通知を常に書面によるとする肢も誤りである。
聴聞の代理人・参加人
当事者は代理人を選任することができ(16条1項)、代理人は各自当事者のために聴聞に関する一切の行為をすることができる(同2項)。代理人の資格は書面で証明し(同3項)、資格を失ったときは選任した当事者が書面で行政庁に届け出る(同4項)。選任に行政庁の許可は要らない。これに対し、関係人に対する参加の求めと参加の許可はいずれも主宰者が行う(17条1項)。参加人も代理人を選任でき、16条2項から4項が準用される(同3項)。
ひっかけ注意代理人の選任に行政庁の許可を要するとする肢、参加の求めや許可の主体を行政庁とする肢。主宰者の権限と行政庁の権限の振り分けが繰り返し狙われる。
文書等の閲覧
18条1項の閲覧請求権者は「当事者等」、すなわち当事者および当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人である。期間は聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時まで。対象は当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料である。行政庁は第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ閲覧を拒めず、閲覧の日時および場所を指定することができる。
ひっかけ注意閲覧できる期間を「聴聞の期日まで」に縮める肢や、開始時期を「聴聞の期日以降」とする肢。すべての参加人が閲覧できるとする肢も誤りである。
02正誤を分ける確認順
- 113条1項1号のイからニ(許認可等の取消し、資格・地位の直接のはく奪、役員等の解任命令、行政庁が相当と認めるとき)に当たるかで聴聞か弁明かを決める
- 213条2項の5類型(公益上緊急、客観的資料による証明、計測等による確認、金銭の納付命令等、著しく軽微)に当たれば、聴聞も弁明も一切不要になる
- 3聴聞なら期日の審理・文書等の閲覧・参加人・調書と報告書まで動くが、弁明では所在不明の掲示と代理人しか準用されない
03覚える数値
- 聴聞の類型 13条1項1号イ〜ニの4つ
- 意見陳述が不要な場合 13条2項の5類型
- 所在不明の掲示 掲示を始めた日から2週間で到達とみなす
04本試験の引っかけ
- 営業停止処分にも聴聞が必要とする肢。資格や地位のはく奪ではないので、原則は弁明の機会の付与で足りる
- 13条2項に当たる場合でも弁明は必要とする肢。2項に当たれば意見陳述の手続は一切不要になる
- 弁明でも文書等の閲覧や参加人が認められるとする肢。準用されるのは所在不明の場合の掲示と代理人だけ
06一次情報
- 根拠
- 行政手続法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
聴聞と弁明の機会の付与の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
行政法重要度 S頻出度 23/24(編集部の目安)
聴聞と弁明の機会の付与の使い分け
行政庁は、飲食店の営業の許可を取り消す不利益処分をしようとする場合には、その処分が公益上緊急を要するものでない限り、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、意見陳述のための手続として聴聞の手続を執らなければならない。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。