2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

行政法

審理員による審理手続と行政不服審査会

平成26年改正の目玉である審理員と第三者機関の役割分担が軸です。審理員が審査庁の職員から指名される点、口頭意見陳述は申立てがあれば必ず認められる点、諮問が不要になる8つの場合の押さえ方で差が付きます。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

行政不服審査会等への諮問

審査庁は審理員意見書の提出を受けたときは、審査庁が主任の大臣・宮内庁長官・庁の長であれば行政不服審査会に、地方公共団体の長等であれば81条の機関に諮問しなければならない(43条1項)。行政不服審査会は総務省に置かれ委員9人で組織される。諮問を受けた審査会は審理員意見書と事件記録の提出を求め、必要な調査を行ったうえで答申する。答申書の写しは審査請求人および参加人に送付され、答申の内容は公表される(79条)。

覚え方国は行政不服審査会、地方は条例で置く第三者機関

01重要暗記項目

01
重要度 S

行政不服審査会等への諮問

審査庁は審理員意見書の提出を受けたときは、審査庁が主任の大臣・宮内庁長官・庁の長であれば行政不服審査会に、地方公共団体の長等であれば81条の機関に諮問しなければならない(43条1項)。行政不服審査会は総務省に置かれ委員9人で組織される。諮問を受けた審査会は審理員意見書と事件記録の提出を求め、必要な調査を行ったうえで答申する。答申書の写しは審査請求人および参加人に送付され、答申の内容は公表される(79条)。

ひっかけ注意諮問先を審議会一般や議会とする肢。国の審査庁は行政不服審査会、地方公共団体は条例で設置する81条の機関である。

02
重要度 A

審理手続の終結

審理員は必要な審理を終えたと認めるときに審理手続を終結する(41条1項)。申立人が正当な理由なく口頭意見陳述に出頭しないときや、定められた期間内に弁明書・反論書等が提出されないときも終結できる(同2項)。終結したときは、その旨と審理員意見書および事件記録を審査庁に提出する予定時期を審理関係人に通知する(同3項)。終結後は38条1項の閲覧・写しの交付を求められなくなるため、審理中に資料を確認しておく必要がある。

ひっかけ注意閲覧の終期を「裁決があるまで」と書き換えて後ろにずらす肢。審査請求の取下げが裁決があるまでできる点(27条)と混同しやすい。

03
重要度 C

審理手続の承継

15条1項は、審査請求人が死亡したときは相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者が審査請求人の地位を承継すると定めるが、承継されるのは相続の対象となる権利に限られる。最大判昭和42年5月24日(朝日訴訟)は、生活保護の保護受給権は要保護者本人の最低限度の生活を維持するために与えられた一身専属の権利であり相続の対象とならないとして、相続人による承継を否定した。

ひっかけ注意15条1項だけを見て「相続人は常に審査請求人の地位を承継する」とする肢。承継の可否は対象となる権利の性質によって決まる。

04
重要度 S

審理員の除斥事由

審理員は審査庁に所属する職員のうちから審査庁が指名するが(9条1項)、①審査請求に係る処分もしくは当該処分に係る再調査の請求についての決定に関与した者又は関与することとなる者②審査請求人③審査請求人の配偶者・四親等内の親族・同居の親族④審査請求人の代理人⑤③④であった者⑥審査請求人の後見人等⑦利害関係人は指名できない(同2項)。処分に関与した者を審理から排除する点が審理員制度の中核である。

ひっかけ注意「審理員は外部の第三者から選ばれる」とする肢。審理員はあくまで審査庁に所属する職員であり、処分に関与した者などが除外されるにとどまる。

05
重要度 A

審理員の指名

審査庁は、審査庁に所属する職員(審理員となるべき者の名簿を作成した場合はその名簿に記載されている者)のうちから審理員を指名し、その旨を審査請求人および処分庁等に通知しなければならない(9条1項)。ただし①行政委員会や行政審判機関など9条1項各号に掲げる機関が審査庁である場合②条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合③24条により審理手続を経ないで却下する場合には、審理員の指名を要しない。

ひっかけ注意審理員を裁判官のような中立の第三者と考え、選任方法まで当事者主導と誤らせる肢。指名するのは審査庁である。

06
重要度 S

第三者機関型の審査庁と執行停止

処分庁の上級行政庁でも処分庁でもない審査庁は、①審査請求人の申立てがあること②処分庁の意見を聴取することの二つを満たして初めて執行停止ができ、職権による執行停止はできない(25条3項本文)。さらに、とれる措置は処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止に限られ、それ以外の積極的な措置はとれない(同項ただし書)。処分庁に対する監督権を持たないことがその根拠である。

ひっかけ注意25条2項(上級行政庁・処分庁である審査庁)と3項の要件を入れ替える肢が最頻出。職権の可否、意見聴取の要否、措置の範囲の三点で異なる。

07
重要度 A

審査請求書の提出

審査請求は審査請求書を提出してするのが原則で、口頭ですることができるのは他の法律又は条例に口頭でできる旨の定めがある場合に限られる(19条1項)。口頭でする場合、陳述を受けた行政庁は19条2項から5項までの事項を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認したうえで記名押印させなければならない(20条)。審査請求書が19条の規定に違反するときは、審査庁は相当の期間を定めて補正を命じなければならない(23条)。

ひっかけ注意「簡易迅速な手続だから口頭でもできる」とする肢。行政手続法の聴聞・弁明の方式と混同しやすい。

08
重要度 B

行政庁の訴訟参加

23条の行政庁の訴訟参加は、処分庁以外の行政庁が保有する資料や専門的知見を訴訟に取り込むための制度である。裁判所は当事者もしくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもって参加させることができ、あらかじめ当事者および当該行政庁の意見を聴かなければならない。参加した行政庁には民事訴訟法45条1項2項(補助参加人の権限)が準用され、第三者参加と異なり必要的共同訴訟の規律は準用されない。

ひっかけ注意職権参加の可否を否定する肢のほか、準用される民事訴訟法の規定の取り違えも狙われる。第三者は必要的共同訴訟人に準じた地位である。

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02正誤を分ける確認順

  1. 1審理員の指名が要るかを見る。行政委員会等が審査庁の場合や、24条により審理手続を経ないで却下する場合は指名を要しない
  2. 2審理手続の流れを追う。弁明書の提出要求→反論書・意見書→口頭意見陳述(申立てがあれば必ず実施)→提出書類等の閲覧→審理手続の終結
  3. 3審理員意見書の提出後、43条1項の8つの除外事由に当たらなければ行政不服審査会等へ諮問する

03覚える数値

諮問が不要な場合 43条1項の8類型
提出書類等の閲覧 審理手続の終結まで

04本試験の引っかけ

  • 審理員は外部の第三者から選ばれるとする肢。審理員は審査庁に所属する職員で、処分に関与した者などが除斥されるにとどまる
  • 口頭意見陳述を「必要があると認めるとき」に行うとする肢。申立てがあれば必ず認められる
  • 提出書類等の閲覧を「裁決があるまで」できるとする肢。閲覧できるのは審理手続が終結するまでである

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

審理員による審理手続と行政不服審査会の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

行政法重要度 S頻出度 21/24(編集部の目安)

第三者機関型の審査庁と執行停止

処分庁の上級行政庁でも処分庁でもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てがなくても職権で執行停止をすることができる。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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