民法
相続人と法定相続分
相続放棄をした者の子は代襲しない、という点が計算問題の分岐になります。欠格は当然に生じ廃除は家庭裁判所の審判で生じるという手続の違い、兄弟姉妹に再代襲がなく遺留分もないという二重の限定も頻出です。
要点 8件・確認問題 8問
法定相続分
900条の法定相続分は、子および配偶者が相続人であるときは各2分の1(1号)、配偶者および直系尊属であるときは配偶者3分の2・直系尊属3分の1(2号)、配偶者および兄弟姉妹であるときは配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1(3号)である。子・直系尊属・兄弟姉妹が数人あるときは各自の相続分は相等しい(4号本文)。被相続人が遺言で相続分を指定したときはそれが優先し(902条)、共同相続人の一人または数人についてのみ定めることもできる。
覚え方子と二分の一、尊属と三分の二、兄弟と四分の三
01重要暗記項目
法定相続分
900条の法定相続分は、子および配偶者が相続人であるときは各2分の1(1号)、配偶者および直系尊属であるときは配偶者3分の2・直系尊属3分の1(2号)、配偶者および兄弟姉妹であるときは配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1(3号)である。子・直系尊属・兄弟姉妹が数人あるときは各自の相続分は相等しい(4号本文)。被相続人が遺言で相続分を指定したときはそれが優先し(902条)、共同相続人の一人または数人についてのみ定めることもできる。
ひっかけ注意配偶者と直系尊属の場合の配偶者の相続分を2分の1とする誤りが狙われる。正しくは3分の2である。
推定相続人の廃除
廃除は、遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待をし、もしくは重大な侮辱を加えたとき、またはその他の著しい非行があったときに、被相続人の請求により家庭裁判所が審判で行う(892条)。遺言で廃除の意思を表示したときは遺言執行者が家庭裁判所に請求し、廃除の効力は被相続人の死亡の時にさかのぼる(893条)。被相続人はいつでも廃除の取消しを請求できる(894条)。遺留分を有しない兄弟姉妹は廃除の対象とならず、遺言で相続させない旨を定めれば足りる。
ひっかけ注意兄弟姉妹を廃除できるとする誤りが狙われる。廃除の対象は遺留分を有する推定相続人に限られる。
配偶者と兄弟姉妹の相続分
配偶者は常に相続人となり(890条)、血族相続人の順位に応じて相続分が変わる。兄弟姉妹が相続人となるのは子も直系尊属もいない場合に限られ、そのときの配偶者の相続分は4分の3と最も大きくなる。さらに兄弟姉妹には遺留分がないため(1042条は兄弟姉妹以外の相続人に遺留分を認める)、被相続人が遺言で配偶者に全財産を相続させれば兄弟姉妹は何も取得できない。配偶者に財産を残したい場合の典型的な対策である。
ひっかけ注意兄弟姉妹にも遺留分があるとする誤りが定番。遺留分権利者は兄弟姉妹以外の相続人に限られる。
嫡出でない子の相続分
最大決平成25年9月4日は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする900条4号ただし書前段が、遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断した。同決定は法的安定性に配慮し、既に確定的なものとなった法律関係には影響を及ぼさないとした。これを受けて平成25年12月に同部分が削除され、嫡出子と嫡出でない子の相続分は同等となった。認知された子は嫡出でない子として第一順位の相続人となる。
ひっかけ注意違憲決定により過去の遺産分割がすべてやり直しになるとする誤りが狙われる。確定した法律関係には影響しない。
特別受益者の相続分
903条1項は、共同相続人中に被相続人から遺贈を受け、または婚姻・養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときに、その価額を相続財産に加えて具体的相続分を算定する持戻しを定める。被相続人が異なる意思を表示したときはその意思に従う(3項)。平成30年改正で新設された4項は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用の建物またはその敷地が遺贈・贈与された場合に持戻し免除の意思表示があったものと推定し、配偶者の取り分を厚くした。
ひっかけ注意持戻し免除の推定が婚姻期間を問わず適用されるとする誤りが狙われる。20年以上の夫婦であることが要件である。
半血兄弟姉妹の相続分
900条4号本文は同順位の相続人が数人あるときの相続分を相等しいものとするが、ただし書は父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分を父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血)の2分の1とする。かつて同号ただし書前段にあった嫡出でない子の相続分を2分の1とする部分は違憲判断を受けて削除されたが、半血兄弟姉妹に関する部分は削除されておらず現在も有効である。両者を混同しないことが重要である。
ひっかけ注意半血兄弟姉妹の相続分も平等になったとする誤りが狙われる。削除されたのは嫡出でない子に関する部分だけである。
代襲相続の要件
代襲相続は、被相続人の子が相続開始以前に死亡したとき、891条の欠格事由に該当したとき、廃除によって相続権を失ったときに生じる(887条2項)。相続の放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなされるため(939条)、その子は代襲しない。代襲者となるのは被相続人の直系卑属に限られるため、子の配偶者や養子縁組前に生まれた養子の子は代襲相続人になれない。子の代襲者がさらに相続権を失った場合には再代襲が認められる(887条3項)。
ひっかけ注意相続放棄も代襲原因になるとする誤りが定番。放棄は代襲原因ではない。
相続の放棄の効力
939条により、相続の放棄をした者はその相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされる。この効果は絶対的であり、放棄者の子に代襲相続は生じず、次順位の者が相続人となる。放棄は家庭裁判所への申述という要式行為であり、単に他の相続人に対して放棄する意思を伝えただけでは効力を生じない。放棄した者も、放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、相続人等に引き渡すまで自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならない(940条1項)。
ひっかけ注意共同相続人間の合意だけで放棄が成立するとする誤りが狙われる。家庭裁判所への申述が必要である。
02正誤を分ける確認順
- 1相続人を確定する。配偶者は常に相続人で、血族は子・直系尊属・兄弟姉妹の順に第一順位の者だけが相続人となる
- 2代襲の有無を見る。死亡・欠格・廃除は代襲原因だが放棄は代襲原因にならず、兄弟姉妹の代襲は甥姪の一代限り
- 3相続分を当てはめる。配偶者は子となら2分の1、直系尊属となら3分の2、兄弟姉妹となら4分の3を取る
03覚える数値
- 配偶者の相続分 子と2分の1・直系尊属と3分の2・兄弟姉妹と4分の3
- 半血兄弟姉妹の相続分 全血の2分の1
04本試験の引っかけ
- 相続放棄も代襲原因とする肢。放棄した者は初めから相続人でなかったものとみなされ、その子は代襲しない
- 半血兄弟姉妹の規定も削除されたとする肢。削除されたのは嫡出でない子の相続分に関する部分だけである
- 兄弟姉妹も廃除の対象になるとする肢。廃除は遺留分を有する推定相続人に限られる
05おさえる判例
非嫡出子相続分違憲決定最大決平成25年9月4日
嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定は、遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとした
06一次情報
- 根拠
- 民法
- 基準日
- 2026年4月1日
- 解説
- 編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。
問題演習
相続人と法定相続分の○×一問一答
1/8問解答 0・正解 0
民法重要度 S頻出度 11/24(編集部の目安)
法定相続分
配偶者と直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は三分の一、直系尊属の相続分は三分の二である。
全620問から科目・重要度で解く
行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。