2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

憲法

司法権と違憲審査制

砂川事件は「一見極めて明白に違憲無効」という留保付きで審査を限定し、苫米地事件は留保なしに審査を否定しました。地方議会議員の出席停止が令和2年に判例変更され、常に司法審査の対象になった点も要注意です。

要点 4件・確認問題 4

最初に確認

付随的違憲審査制

81条は最高裁判所を違憲審査の終審裁判所と定めるが、下級裁判所も違憲審査権を行使できる(最大判昭和25年2月1日)。わが国の制度は具体的な争訟事件の解決に必要な限りで審査する付随的違憲審査制であり、警察予備隊訴訟(最大判昭和27年10月8日)は具体的事件を離れて抽象的に違憲審査をする権限を否定した。審査の対象は一切の法律・命令・規則・処分であり、条約については高度の政治性を理由に審査が及ばない場合があるとされる。違憲判決の効力は個別的効力説が通説である。

覚え方下級裁判所も審査できる。ただし具体的事件がなければ動けない

01重要暗記項目

01
重要度 S

付随的違憲審査制

81条は最高裁判所を違憲審査の終審裁判所と定めるが、下級裁判所も違憲審査権を行使できる(最大判昭和25年2月1日)。わが国の制度は具体的な争訟事件の解決に必要な限りで審査する付随的違憲審査制であり、警察予備隊訴訟(最大判昭和27年10月8日)は具体的事件を離れて抽象的に違憲審査をする権限を否定した。審査の対象は一切の法律・命令・規則・処分であり、条約については高度の政治性を理由に審査が及ばない場合があるとされる。違憲判決の効力は個別的効力説が通説である。

ひっかけ注意「違憲審査権は最高裁判所のみが行使する」とする肢や、違憲判決に一般的効力を認める肢が出る。

02
重要度 S

統治行為論

最大判昭和34年12月16日(砂川事件)は、日米安全保障条約のように高度の政治性を有するものについては、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外であるとして、留保付きで審査を限定した。これに対し最大判昭和35年6月8日(苫米地事件)は、直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、たとえ法律上の争訟となり有効無効の判断が法律上可能である場合であっても司法審査権の外にあるとして、留保なしに審査を否定した。

ひっかけ注意両判決の枠組みを取り違えさせる肢が出る。苫米地事件は留保を付けずに審査を否定している。

03
重要度 A

部分社会の法理

最大判令和2年11月25日は、普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰について、議員は住民の負託を受けて活動する責務を負い、出席停止はその中核的な活動をすることができなくさせるとして、常に司法審査の対象となるとし、出席停止を内部規律の問題として司法審査の対象外とした最大判昭和35年10月19日を変更した。なお最判昭和52年3月15日(富山大学事件)は、単位認定行為は原則として司法審査の対象外、専攻科修了認定は対象となるとしている。

ひっかけ注意変更前の昭和35年判決の結論を現在の判例として出す肢が典型。令和2年に判例変更があった点を押さえる。

04
重要度 A

裁判の公開

82条1項は裁判の対審および判決を公開法廷で行うと定める。判決は例外なく常に公開しなければならず、非公開とできるのは対審のみである。対審を非公開とするには裁判官の全員一致で公の秩序または善良の風俗を害するおそれがあると決する必要がある(同2項本文)。さらに政治犯罪、出版に関する犯罪、憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は常に公開しなければならない(同項ただし書)。

ひっかけ注意「判決も非公開にできる」とする肢や、絶対的公開の三類型を落とす肢。非公開が問題となるのは対審に限られる。

憲法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1法律上の争訟に当たるかをまず確認する。当たらなければ司法権は及ばない
  2. 2当たっても司法権の限界に触れないかを見る。統治行為、部分社会の法理、議院の自律権などが問題になる
  3. 3違憲審査は付随的審査制であり、下級裁判所も行使できる。違憲判決の効力は個別的効力説が通説である

04本試験の引っかけ

  • 砂川事件と苫米地事件の枠組みを取り違える肢。「一見極めて明白」の留保が付くのは砂川事件のほう
  • 地方議会議員の出席停止は司法審査の対象外とする肢。令和2年大法廷判決で変更され、常に対象となる
  • 違憲審査権は最高裁判所のみが行使するとする肢。下級裁判所も違憲審査権を行使できる

05おさえる判例

  • 砂川事件最大判昭和34年12月16日

    高度の政治性を有する条約は、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外にあるとした

  • 苫米地事件最大判昭和35年6月8日

    直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、法律上の争訟となり裁判所による審査が可能であっても司法審査権の外にあるとした

  • 地方議会議員出席停止事件最大判令和2年11月25日

    出席停止の懲罰は議員の中核的活動を妨げるものであり、常に司法審査の対象となるとして従前の判例を変更した

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

司法権と違憲審査制の○×一問一答

1/4解答 0・正解 0

憲法重要度 S頻出度 12/24(編集部の目安)

付随的違憲審査制

最高裁判所は、わが国の裁判所が具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法およびその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下す権限を有するものではないと判示した。

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