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憲法

財政・地方自治と憲法改正

国民健康保険料は反対給付があるため租税ではないが84条の趣旨は及ぶ、という中間的な結論が狙われます。地方特別法の住民投票が国会単独立法の原則の例外であること、99条の尊重擁護義務に国民が入らないことも定番です。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

憲法改正の手続

憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には特別の国民投票または国会の定める選挙の際に行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする(96条1項)。承認を経たときは天皇が国民の名で、この憲法と一体を成すものとして直ちに公布する(同2項)。99条の憲法尊重擁護義務を負うのは天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員であり、国民は列挙されていない。

覚え方発議は総議員の3分の2、国民の承認は過半数

01重要暗記項目

01
重要度 A

憲法改正の手続

憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には特別の国民投票または国会の定める選挙の際に行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする(96条1項)。承認を経たときは天皇が国民の名で、この憲法と一体を成すものとして直ちに公布する(同2項)。99条の憲法尊重擁護義務を負うのは天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員であり、国民は列挙されていない。

ひっかけ注意発議要件を出席議員とする肢、国民の承認に3分の2を要求する肢のほか、99条の義務主体に国民を加える肢も頻出である。

02
重要度 B

地方自治の本旨

92条の地方自治の本旨は、地方公共団体が国から独立して事務を処理する団体自治と、住民の意思に基づいて運営される住民自治から成る。93条2項は地方公共団体の長、議会の議員および法律の定めるその他の吏員を住民が直接選挙すると定め、住民自治を具体化する。長と議会がともに住民の直接選挙で選ばれる首長制が憲法上の要請であり、議院内閣制とは異なる。94条は地方公共団体に財産の管理、事務の処理、行政の執行の権能と、法律の範囲内で条例を制定する権能を認める。

ひっかけ注意団体自治と住民自治の内容を入れ替える肢が出る。長の直接公選が憲法上の要請である点も問われる。

03
重要度 B

地方特別法の住民投票

95条にいう地方自治特別法とは、特定の地方公共団体の組織・運営・権能について国が一方的に特例を定める法律をいい、単に特定の地域を対象とするにすぎない法律(国の事務や国の施設に関するもの)は含まれない。その地方公共団体の住民の投票において過半数の同意が得られなければ国会は制定できず、これは国会単独立法の原則の例外である。実例は広島平和記念都市建設法など昭和20年代に集中しており、近年の適用例はない。

ひっかけ注意「住民投票は法律成立後の効力要件にすぎない」とする肢や、対象を単に地域を限定する法律一般に広げる肢が出る。

04
重要度 A

公金支出の制限

最大判平成22年1月20日(空知太神社事件)は目的効果基準を明示せず、①国公有地が無償で宗教的施設の敷地として利用されている状態が生じた経緯②当該施設の性格③無償提供の態様等の諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断するとして89条・20条1項後段違反を認めた。もっとも違憲状態の解消手段は撤去・明渡し以外に譲与や有償貸付け等もあり得るとして、直ちに撤去等を命ずることなく原審に差し戻している。89条後段の私学助成は法令上の監督が及ぶことを理由に許容されると解されている。

ひっかけ注意「違憲だから直ちに施設の撤去と土地明渡しを命じた」とする肢。判決は他の解消手段の検討を求めて差し戻している。私学助成を違憲とする肢も誤りである。

05
重要度 A

国権の最高機関と唯一の立法機関

41条の「国権の最高機関」は、国会が主権者たる国民を直接代表する機関であることを政治的に強調した美称にすぎないと解される(政治的美称説)。「唯一の立法機関」からは、国会以外の機関による立法を認めない国会中心立法の原則と、国会の議決のみで法律が成立する国会単独立法の原則が導かれる。前者の例外は議院規則(58条2項)、最高裁判所規則(77条1項)、条例(94条)、後者の例外は一の地方公共団体のみに適用される特別法の住民投票(95条)である。

ひっかけ注意最高機関性から統括機関としての法的権限を導く肢が出る。また政令を国会中心立法の例外として挙げる肢も誤りで、政令は法律の委任等に基づくものである。

06
重要度 A

租税法律主義

84条は、あらたに租税を課しまたは現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とすると定める。租税とは、特別の給付に対する反対給付としてではなく、国等が課税権に基づき強制的に賦課徴収する金銭給付をいう。最大判平成18年3月1日(旭川市国民健康保険条例事件)は、国民健康保険料は反対給付として徴収されるものであるから租税には当たらないが、強制徴収される点で84条の趣旨が及ぶとした。国民健康保険税の形式をとる場合は84条が直接適用される。

ひっかけ注意「保険料も84条にいう租税に当たる」と一段強める肢が出る。租税該当性の否定と趣旨の及び方を区別させる出題である。

07
重要度 A

特別裁判所の禁止

76条2項前段は特別裁判所の設置を禁止する。特別裁判所とは通常裁判所の系列から独立した特別の裁判機関をいい、明治憲法下の行政裁判所や軍法会議がこれに当たる。憲法自身が認めた例外は国会の弾劾裁判所(64条)と各議院による議員の資格争訟の裁判(55条)である。また76条2項後段は行政機関が終審として裁判を行うことを禁じるにとどまるから、前審としての審判は許され、公正取引委員会の審判や特許庁の審決がその例である。

ひっかけ注意「行政機関は前審としても裁判できない」と76条2項後段を読み違えさせる肢が典型。弾劾裁判所と資格争訟の裁判が憲法上の例外である点も問われる。

08
重要度 A

免責特権

51条により、両議院の議員は議院で行った演説、討論または表決について院外で責任を問われない。免責されるのは民事責任・刑事責任および弁護士の懲戒責任などの法的責任であり、対象は議院での職務行為およびこれに付随する行為に限られるから、暴力行為のような職務と無関係な行為には及ばない。主体は両議院の議員に限られ、議院で発言する国務大臣や証人・参考人には及ばない。院内での懲罰(58条2項)は妨げられず、地方議会の議員にも免責特権はない。

ひっかけ注意「民事責任だけが免除される」とする肢のほか、免責を国務大臣や地方議会議員に広げる肢も出る。対象は国会議員の職務上の発言である。

憲法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1強制的に賦課徴収される金銭給付でも、反対給付性があれば租税ではない。ただし84条の趣旨は及びうる
  2. 2予算・決算・予備費を手続で分ける。予備費の支出は事後に国会の承諾が要り、決算は議決ではなく審査の対象である
  3. 3特定の地方公共団体の組織・運営・権能について特例を定める法律なら、住民投票で過半数の同意が要る

03覚える数値

憲法改正の発議 各議院の総議員の3分の2以上
国民の承認 過半数
財政状況の報告 少なくとも毎年1回

04本試験の引っかけ

  • 国民健康保険料も84条にいう租税に当たるとする肢。反対給付性があるため租税そのものではない
  • 私立学校への助成金は89条後段に反し違憲とする肢。法令上の監督が及ぶことを理由に許容されると解されている
  • 99条の憲法尊重擁護義務の主体に国民を加える肢。列挙されているのは天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員

05おさえる判例

  • 旭川市国民健康保険条例事件最大判平成18年3月1日

    国民健康保険料は反対給付として徴収されるため租税ではないが、強制的に賦課徴収される点で憲法84条の趣旨が及ぶとした

06一次情報

基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

財政・地方自治と憲法改正の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

憲法重要度 A頻出度 11/24(編集部の目安)

租税法律主義

最高裁判所は、市町村が行う国民健康保険の保険料は被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものであるから憲法84条にいう租税にはあたらないが、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するので、同条の趣旨が及ぶとしている。

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行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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