2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

不法行為(使用者責任・工作物責任)

工作物責任は占有者が中間責任、所有者が無過失責任という段差が核です。使用者責任は外形標準説で判断し、被用者から使用者への逆求償も認められました。失火責任法が債務不履行には及ばない点も頻出です。

要点 7件・確認問題 7

最初に確認

不法行為の要件と責任能力

709条の要件は、故意または過失、他人の権利または法律上保護される利益の侵害、損害の発生、行為と損害との因果関係である。責任を弁識する能力を欠く未成年者(おおむね12歳程度が目安)や精神上の障害により弁識能力を欠く者は責任を負わず(712条・713条)、監督義務者が714条の中間責任を負う。責任能力のある未成年者の行為でも、監督義務者自身の義務違反と結果との間に相当因果関係があれば709条の責任を問える(最判昭和49年3月22日)。

覚え方責任能力なしなら714条、ありなら親自身の709条責任

01重要暗記項目

01
重要度 A

不法行為の要件と責任能力

709条の要件は、故意または過失、他人の権利または法律上保護される利益の侵害、損害の発生、行為と損害との因果関係である。責任を弁識する能力を欠く未成年者(おおむね12歳程度が目安)や精神上の障害により弁識能力を欠く者は責任を負わず(712条・713条)、監督義務者が714条の中間責任を負う。責任能力のある未成年者の行為でも、監督義務者自身の義務違反と結果との間に相当因果関係があれば709条の責任を問える(最判昭和49年3月22日)。

ひっかけ注意責任能力のある未成年者の行為について親が一切責任を負わないとする誤りが狙われる。709条による責任追及の余地がある。

02
重要度 A

工作物責任

717条1項本文は土地の工作物の設置または保存の瑕疵について占有者の中間責任を定め、ただし書は占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに所有者が責任を負うとする。所有者には免責事由がなく、無過失であっても責任を免れない無過失責任である。竹木の栽植または支持に瑕疵がある場合にも準用される(同2項)。損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者または所有者はその者に求償できる(同3項)。国家賠償法2条の営造物責任は717条と異なり占有者の免責を認めていない。

ひっかけ注意所有者も必要な注意をしたことを証明すれば免責されるとする誤りが定番。所有者の責任は無過失責任である。

03
重要度 A

不法行為の消滅時効

724条は、被害者または法定代理人が損害および加害者を知った時から3年(1号)、不法行為の時から20年(2号)で損害賠償請求権が時効消滅するとする。20年は改正により除斥期間ではなく消滅時効期間と整理され、完成猶予・更新の規定が適用される。724条の2は人の生命または身体を害する不法行為について1号の3年を5年に読み替える。債務不履行構成なら166条1項・167条により5年と20年になるため、生命身体侵害では両構成の期間が一致する。

ひっかけ注意724条2号の20年を除斥期間として完成猶予が働かないとする改正前の記述が誤りとして出題される。

04
重要度 A

不法行為による損害賠償請求権の期間制限

最判昭和48年11月16日は、724条1号の「加害者を知った時」とは、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に加害者を知った時をいうとした。単に加害行為者の氏名を知っただけでは足りない。人の生命または身体を害する不法行為では1号の3年が5年に読み替えられる(724条の2)。724条2号の20年は改正により消滅時効と整理されたため、完成猶予・更新の規定が適用され、援用も必要となる。継続的不法行為では損害が発生するごとに別個に時効が進行する。

ひっかけ注意被害者が加害者の住所氏名を知った時点で直ちに起算するとする誤りが狙われる。判例は請求可能性まで求める。

05
重要度 A

共同不法行為

719条1項前段は数人が共同の不法行為により損害を加えたときの連帯責任を、後段は共同行為者のうち誰が損害を加えたか知ることができないときの因果関係の推定を定め、2項は教唆者・幇助者を共同行為者とみなす。最判平成13年3月13日は、交通事故と医療事故が順次競合した事案で、各不法行為と結果との間に相当因果関係がある以上、各自が損害の全額について連帯して責任を負い、寄与度に応じた減額はできないとした。共同不法行為者の一人に対する債務の免除は他の者に効力を及ぼさない。

ひっかけ注意各加害者が寄与度に応じた分割責任を負うとする誤りが狙われる。判例は全額連帯責任とする。

06
重要度 S

日常家事債務の連帯責任

761条は夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときの連帯責任を定め、判例はここに夫婦相互の代理権が含まれると解する。日常家事の範囲を超える行為について、最判昭和44年12月18日は、110条を直接適用すると762条1項の夫婦別産制が損なわれるとして直接適用を否定し、第三者において当該行為が当該夫婦の日常家事に属すると信ずるにつき正当の理由があるときに限り110条の趣旨を類推適用するとした。範囲は夫婦の社会的地位・資産・収入等から客観的に判断される。

ひっかけ注意範囲外の行為について110条を直接適用するとする誤りが定番。判例は趣旨の類推適用にとどめている。

07
重要度 B

失火責任法の適用範囲

失火の責任に関する法律は、失火者に重大な過失があるときを除き709条の適用を排除する。最判昭和30年3月25日は、賃借人の失火により賃借建物が焼失した場合の返還義務の履行不能について債務不履行責任を認め、同法の適用を否定した。同法は不法行為責任にのみ適用されるからである。使用者責任(715条)では被用者に重過失があれば使用者は自らに重過失がなくても責任を負い、責任無能力者の失火については監督義務者自身の重過失の有無で判断される(最判平成7年1月24日)。

ひっかけ注意賃借人の失火による賃借物の焼失にも失火責任法が適用されるとする誤りが定番。債務不履行責任には適用されない。

民法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1責任主体を決める。被用者の行為なら715条、工作物の瑕疵なら717条で、まず占有者、免責されたら所有者
  2. 2「事業の執行について」は外形標準説で判断する。ただし相手方が職務権限外を知り、または重過失により知らなかったときは保護されない
  3. 3期間制限を当てはめる。損害および加害者を知った時から3年(生命身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年

03覚える数値

不法行為の時効 3年(生命身体の侵害は5年)・20年
責任無能力者の監督義務者責任 714条は中間責任

04本試験の引っかけ

  • 工作物責任で占有者と所有者の責任の性質を入れ替える肢。所有者には免責事由がない
  • 賃借人の失火による返還義務の履行不能にも失火責任法を適用する肢。判例は債務不履行責任には適用しない
  • 共同不法行為で寄与度に応じた分割責任にとどまるとする肢。各自が損害の全額について連帯責任を負う

05おさえる判例

  • 使用者責任と外形標準説最判昭和40年11月30日

    行為の外形から職務の範囲内と認められれば事業の執行についてに当たるが、相手方が職務権限外を知りまたは重過失により知らなかったときは保護されない

  • 被用者から使用者への逆求償最判令和2年2月28日

    損害を賠償した被用者は、諸般の事情に照らし相当と認められる額について使用者に求償することができる

  • 交通事故と医療事故の競合最判平成13年3月13日

    各不法行為と結果との間に相当因果関係がある以上、各自が損害の全額について連帯責任を負い、寄与度に応じた減額はできない

06一次情報

根拠
民法
基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

不法行為(使用者責任・工作物責任)の○×一問一答

1/7解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 9/24(編集部の目安)

日常家事債務の連帯責任

夫婦の一方が日常家事の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合、その第三者は民法百十条の表見代理の規定の直接適用によって保護されるとするのが判例である。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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