2026年11月試験対応2026年4月1日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

民法

遺言と遺留分

遺留分減殺請求は金銭債権としての遺留分侵害額請求に改められ、目的物が当然に共有になることはなくなりました。総体的遺留分は直系尊属のみなら3分の1・それ以外は2分の1で、この二つの割合の入替えが最頻出です。

要点 8件・確認問題 8

最初に確認

遺留分の割合

遺留分権利者は兄弟姉妹以外の相続人、すなわち配偶者・子(およびその代襲者)・直系尊属である。総体的遺留分は直系尊属のみが相続人であるときは被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1である(1042条1項)。相続人が数人あるときは、この割合に各自の法定相続分を乗じて個別的遺留分を算出する(同2項)。遺留分を算定するための財産の価額は、相続開始時に有した財産の価額に贈与した財産の価額を加え、債務の全額を控除して算定する(1043条1項)。

覚え方直系尊属だけなら三分の一、それ以外は二分の一

01重要暗記項目

01
重要度 S

遺留分の割合

遺留分権利者は兄弟姉妹以外の相続人、すなわち配偶者・子(およびその代襲者)・直系尊属である。総体的遺留分は直系尊属のみが相続人であるときは被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1である(1042条1項)。相続人が数人あるときは、この割合に各自の法定相続分を乗じて個別的遺留分を算出する(同2項)。遺留分を算定するための財産の価額は、相続開始時に有した財産の価額に贈与した財産の価額を加え、債務の全額を控除して算定する(1043条1項)。

ひっかけ注意直系尊属のみが相続人の場合にも2分の1とする誤りが定番。この場合だけ3分の1である。

02
重要度 S

遺留分侵害額請求権

改正前の遺留分減殺請求権は物権的効力を有し、行使により目的物が共有となる問題があった。改正後の遺留分侵害額請求権は金銭債権であり(1046条1項)、受遺者または受贈者は遺贈または贈与の目的の価額を限度として負担する。負担の順序は、受遺者が受贈者に先立ち、受遺者が複数のときはその目的の価額の割合に応じ、受贈者が複数のときは後の贈与から順次前の贈与にさかのぼる(1047条1項)。裁判所は受遺者等の請求により金銭債務の全部または一部の支払につき相当の期限を許与できる(同5項)。

ひっかけ注意遺留分侵害額請求により目的物が当然に共有になるとする改正前の記述が誤りとして出る。効果は金銭債権である。

03
重要度 A

遺言書の検認

1004条1項は、遺言書の保管者またはこれを発見した相続人に対し、相続の開始を知った後遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求すべき義務を課す。検認は遺言書の状態を確認し保存を確実にする手続であって、遺言の有効無効を判断するものではない。公正証書遺言と遺言書保管所に保管された自筆証書遺言には適用されない(同2項、保管法11条)。封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できない(同3項)。検認を怠っても遺言は無効とならないが、過料の制裁がある。

ひっかけ注意検認を経ない遺言が無効になるとする誤りが定番。検認は証拠保全手続であり効力要件ではない。

04
重要度 A

相続させる旨の遺言

最判平成3年4月19日は、特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言は、遺言書の記載から遺贈と解すべき特段の事情のない限り遺産分割の方法を定めたものであり、何らの行為を要せずに被相続人の死亡の時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継されるとした。現行法はこれを特定財産承継遺言と呼ぶ(1014条2項)。遺言執行者は対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。もっとも法定相続分を超える部分は899条の2により対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない。

ひっかけ注意特定財産承継遺言でも遺産分割の手続を経なければ権利が移転しないとする誤りが狙われる。判例は当然承継とする。

05
重要度 S

相続による権利の承継と対抗要件

899条の2は平成30年改正で新設され、遺産分割・相続分の指定・特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)のいずれによる承継であっても、法定相続分を超える部分については登記・登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないとした。これにより、特定財産承継遺言があれば登記なしに対抗できるとしていた最判平成14年6月10日の法理は変更された。承継した権利が債権である場合は、承継人が遺言等の内容を明らかにして債務者に通知すれば足りる(同2項)。

ひっかけ注意「相続させる」旨の遺言による承継には対抗要件が不要とする改正前の判例法理が誤りとして出る。

06
重要度 A

相続と登記

最判昭和42年1月20日は、相続放棄の遡及効は絶対的で、第三者に対しても登記等なくして対抗できるとした。これに対し遺産分割によって法定相続分を超えて取得した部分は、登記がなければ分割後の第三者に対抗できない(最判昭和46年1月26日)。899条の2第1項はこれを一般化し、遺言による承継も含め、相続による権利の承継は法定相続分を超える部分について対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないとする。

ひっかけ注意相続放棄にも登記が必要とする誤り、逆に「相続させる」旨の遺言なら登記不要とする改正前の記述が誤りとして出る。

07
重要度 A

相続放棄と登記

最判昭和42年1月20日は、相続の放棄をした者は初めから相続人でなかったことになるから、放棄後に放棄者の債権者がその者の持分を差し押さえて登記をしても、他の共同相続人は登記なくして自己の権利を主張できるとした。放棄の遡及効は登記なしに第三者にも及ぶ絶対的なものだからである。これに対し遺産分割や相続分の指定によって法定相続分を超えて取得した部分については、899条の2により対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない。

ひっかけ注意放棄後に現れた差押債権者に対しては登記が必要とする誤りが狙われる。判例は登記不要とする。

08
重要度 B

相続債務の承継

金銭債務のような可分債務は相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割承継される。最判平成21年3月24日は、相続人の一人に全財産を相続させる旨の遺言により相続分の全部が指定された場合、相続人間では債務も全部承継されるが、相続債権者に対する関係では、債権者が指定された相続分に応じた債務の承継を承認しない限り、各共同相続人に対して法定相続分に応じた権利行使をすることを妨げられないとした。902条の2がこれを明文化している。

ひっかけ注意相続分の指定により債権者も指定された割合でしか請求できなくなるとする誤りが狙われる。債権者の承認が必要である。

民法の暗記表を見る →

02正誤を分ける確認順

  1. 1遺言の方式を確認する。自筆証書は全文・日付・氏名の自書と押印が要り、財産目録だけは自書不要で毎葉に署名押印する
  2. 2検認の要否を見る。公正証書遺言と遺言書保管所に保管された自筆証書遺言は検認が要らない
  3. 3遺留分は割合を確定してから侵害額を算定する。負担は受遺者が受贈者に先立ち、受贈者が複数なら後の贈与から順に遡る

03覚える数値

総体的遺留分 直系尊属のみ3分の1・それ以外2分の1
遺留分侵害額請求 知った時から1年・相続開始から10年
兄弟姉妹に遺留分はない

04本試験の引っかけ

  • 遺留分侵害額請求により目的物が当然に共有となるとする肢。改正後は金銭債権である
  • 検認を遺言の効力要件とする肢。検認を欠いても遺言は無効にならない
  • 相続させる旨の遺言なら登記なしに対抗できるとする肢。899条の2により法定相続分を超える部分は登記が要る

05おさえる判例

  • 相続させる旨の遺言最判平成3年4月19日

    特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言は、特段の事情がない限り何らの行為も要せず、被相続人の死亡時に当該遺産が承継される

  • 全部の相続分指定と相続債務最判平成21年3月24日

    相続分の全部が指定されても、相続債権者は承認しない限り各共同相続人に法定相続分に応じた権利行使をすることができる

06一次情報

根拠
民法
基準日
2026年4月1日
解説
編集部による書き下ろし。過去問本文は転載していません。

問題演習

遺言と遺留分の○×一問一答

1/8解答 0・正解 0

民法重要度 S頻出度 10/24(編集部の目安)

遺留分の割合

直系尊属のみが相続人である場合の遺留分は、遺留分を算定するための財産の価額の二分の一である。

全620問から科目・重要度で解く

行政法240問、民法180問を中心に6科目を収録。

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